タレントとして活動しながら家業の経営にも携わり、精力的な日々を送っている井口綾子。昨年、子宮頸部高度異形成の手術を経験。
病を機に家族や命と向き合い直した彼女が、仕事への覚悟と「後悔のない今を生きる」という想いを語る。(前中後編の後編)>>前編・中編は下の関連記事からご覧ください。

【写真】『まるどりぃ~ココだけの話~』でMCを務める井口綾子の撮り下ろし【7点】

――井口さんのように家業の「EXCEL(エクセル)美容室」の経営に携わりながら、タレント活動も継続している方は珍しいですよね。

井口 新たに起業されて、自分のブランドを立ち上げるタレントの方はいらっしゃいますけど、家業を継いでいるというのはあまりいない印象ですね。過去に自分の中で「唯一無二って何なんだろう」と葛藤した時期もあったんですけど、今は他にあまりいないかなという強みはあります。

――芸能活動と家業の両立はいかがですか。

井口 芸能のお仕事はいつ入るか分からないので、オファーをいただいたら、父も応援してくれているので、「そっちを優先していいよ」と言ってくれています。それ以外はエクセルの業務をしていますが、どちらも好きでやっていることなので、そこまで両立が大変とは思わないですね。

――パーソナリティーを務める『井口綾子 will run』(ニッポン放送)は、「事業承継」にスポットを当てたラジオ番組ですが、井口さんの立場からこその説得力があります。

井口 ありがとうございます。タレント一本でやっていた頃よりも、別のお仕事をしているからこそ話せる幅が増えていますし、それが生かされているなと感じます。

――実際に事業承継をした、様々な企業の当事者をゲストに迎えていますが、シンパシーを感じることも多いのではないでしょうか。


井口 まだ私は完全に事業承継したわけではないのですが、ゲストで出てくださる方は事業承継されて、すでに成功されている方々で。そこに至るまではお父様との衝突や葛藤もあって、みなさん私と同じようなことがあるんだなと思いながら聞いていて勉強になります。

――井口さんもお父様とぶつかることはあるんですか。

井口 今でもぶつかることはありますし、お叱りというか、強めのアドバイスもあります。でも大先輩なので、不満とかはなく、ありがたく受け止めています。これから私が受け継ぐとなった時に、社員の方にも認めてもらえるように、今与えられている業務はちゃんと結果を出していかないといけないなと思っています。娘だから継がせたみたいには思われたくないですからね。

私もそうですが父も美容師ではないので、だからこそ美容師さんの職人技をリスペクトしています。自分たちにはできない素晴らしい職業だから、心からサポートできるんです。美容師さんたちは技術に関しては本当に一流ですが、経営や数字のことはまた別の専門性が必要ですよね。それぞれが得意なことを担っているからこそ、うまくいっているのだと感じます。
私も社長になりたいというよりは、そういう社風を受け継いでいきたいんです。
今も一番スタッフのことを思っているのは父ですし、そこも受け継いで、エクセルにいるスタッフの方々を幸せにしたいという気持ちでいることを、ちゃんと理解していただかなければいけない。みなさん、自分たちの美容師人生を安心して任せられる相手かどうかを、感覚として判断していると思うので、ちゃんと結果で見てもらえるように頑張っています。

――昨年10月に子宮頸がんの前段階である「子宮頸部高度異形成」と診断され、子宮頸部の組織を切除する「円錐切除手術」を受けたことを公表しました。人生観に変化はありましたか。

井口 「一日一日を大切に」というとありきたりですけど、自分のことだけではなくて、今まで以上に家族のことを考えるようになりました。まだまだ父も元気ですけど、来年どうなっているか分からない。私自身、病気になるわけがないと思っていたけど実際になりましたからね。絶対にありえないってことはないと思っています。常に最悪のケースも想像している方が、気持ち的にも楽だし、覚悟もできます。そうなった時に後悔のないような行動をしたいなと日頃から思っています。

――家族との時間はいかがですか。

井口 仕事が忙しいと家族の時間を作るのがつい後回しになってしまって、父や母から旅行に誘われても、数日間休みを取るのは大変だなと思うこともあります。
でも、両親が「今やりたい」と思っていることは、今一緒にかなえないと、できなくなったときにきっと後悔する。そう思うようになってからは、その気持ちをほかのきょうだいにも伝えるようにしています。以前は、親だからいつでも会えると思っていましたが、後悔のないように今を大切にしたいと意識するようになりました。

――これからの目標を教えてください。

井口 家業については、いつでもスタッフの方々がエクセルに入ってよかったと思ってもらえる環境にすることです。そう思ってもらうことで技術に集中して、お客様を幸せにするというサイクルになるので、そういう環境づくりは常にチャレンジをしながらやっていきたいです。そうすることで、私が会社に入った意味も出せていけたらいいなと思います。

――芸能活動はいかがでしょうか。

井口 家業の仕事もするようになって、自分の話せる幅や仕事の幅も増えたので、それを生かした仕事をもっと増やしていきたいです。あとは病気を経験したことで、検診の大切さや自分の体を知っていくことの大切さを体感しました。同じような不安を抱えている女性に向けて、その不安が少しでも和らぐような発信をしたいですし、検診を後回しにしている方には、「絶対に行った方がいいよ」と伝えていけるような女性向けのお仕事もしていけたらいいなと思っています。

【前編】井口綾子「誹謗中傷で“ちゃんと傷つく”と知った」準ミス青山で得た“芸能界での耐性”
編集部おすすめ