『ミス東スポ2025』で審査員特別賞に輝いたグラビアアイドルの堀このみが、なんと女子プロレスラーとしてデビューを果たした。

【写真】ミス東スポのグラドル・堀このみ、ZERO1デビュー戦の様子【2点】

いまやグラビアから女子プロレスへの転身は珍しいことでないが、そこに『ミス東スポ』という肩書きがつくと、プロレスファンの注目も集まりやすい。
しかも、彼女が入門したのは女子プロレス団体ではなく、男女混合団体となるZERO1。なにからなにまでイレギュラーなデビューだった。

 ZERO1でGMを務める元・女子プロレスラーの工藤めぐみがずっと指導にあたってきた。工藤めぐみといえば「邪道姫」の称号で知られる女子プロレス界における過激なデスマッチのパイオニアだが、もともとのルーツは全日本女子プロレスにある。本人も「私が指導しているのは、基本的に40年前、ジャガー横田さんに教えていただいたことを、そのまま伝えているだけ」と語っており、堀このみは昭和から連綿とつながる超王道の女子プロレスを学んできたことになる。

 そんな修行の日々について聞いてみると、堀このみは「工藤さんに『40年間のプロレス人生で、こんなに手のかかる練習生ははじめてだ」と言われました」と苦笑いする。たしかにスポーツ歴があるわけでもなく、正直、運動神経もそこまでよさそうではないが……。

「たしかに手はかかりましたね。説明するのが難しいんですけど、たとえば練習中に『今の動きはダメだね』って注意するじゃないですか? 普通だったら、そう言われたら、その前後の一連の動きも含めて直すんですけど、彼女は言われた部分だけ直すんですよ。おそらく、ものすごくまっすぐすぎて、そうなっちゃうんでしょうけど、また別のところを指摘して、それを直しての繰り返しになるので、ひとつのことを覚えるだけで何倍も時間がかかってしまうんですよね」と工藤めぐみ。めちゃくちゃ不器用ながら、真剣に取り組んでくれているので、そのあたり、いろいろと歯がゆかったようだ。

じつはもうひとつ、問題があった。
それは堀このみがこれまで運動部に所属した経験がなく、いわゆるタテ社会というものをまったく知らないで育ってしまった、ということ。さすがに令和の時代に厳しいタテ社会などはないのだが、それでも最低限の礼儀・礼節は求められる。男子の選手も一緒だから、なおさらである。だが、まったく経験がない堀このみはなにが正解なのかがわからず、周りから「調子に乗っている」と誤解されがちだった、という。

 たしかにグラビアアイドルの世界では、横一線にライバルが並び、ちょっとでも目立つために他を押しのけてでも目立つように爪痕を残す、というのがひとつのサバイバル術。そのやり方はデビューしてからならまだしも、練習生として集団行動をするには向いていない。実際に稽古をつけたことがあるベテランレスラーの堀田祐美子も「あの子は本当に調子に乗りやすいんだよ」と振り返る。そして、そんな彼女を知っているからこそ、あえてデビュー戦の相手を買って出た。

試合前に客席からの声援に手を振って応える堀このみの姿(グラビアアイドルとしては大正解、である)を見て「やっぱり調子に乗りやがったな。これはわからせないといけない」と心を鬼にした堀田。もちろん、なにもやらせないで秒殺してしまうという選択肢もあったが、堀田はまったく逆のやり方を選んだ。

「あの子が今、できる技ってドロップキックとエルボーぐらいでしょ? だったら何発でも食らってやるよ。
私は何発、食らっても倒れない自信があるし、さらに『打ってこい!』と私が挑発したときに、あの子がどうでるかだよね? 技術的にはどうにもならないけど、限界を超えたところで技に『気持ち』が乗っかってきたら、それでいい。1発か2発だけだったけど、気持ちが乗って、お客さんも沸いた攻めがあったでしょ? それでよかったと思うよ」

 ビクともしない堀田に、完全に体力が尽き、心も折れ、技の途中で動きが止まってしまうシーンもあったが、たしかに客席をドッと沸かせた“魂の一撃”は散見された。工藤めぐみも「試合を観ていたら、涙が出てきちゃって……」とその気持ちが伝わってきたことを認めた。近年、いろんな団体で新人離れした脅威のデビュー戦を見せつけられて、すっかり感覚が麻痺していたが、そもそもデビュー戦というのは、まだ技術の伴わないルーキーが気持ちだけで闘い抜くもの。そういう意味では、久しぶりにデビュー戦らしいデビュー戦を見た気がするし、これから堀このみのプロレス人生を観ていくのが楽しみになってきた。

 この春からZERO1女子部は新団体『Rose』として本格始動することとなり、3月1日には板橋でプレ旗揚げ戦を行うことになったのだが、当初、そのラインナップに堀このみの名前は入っていなかった。

「まだ、どんな試合をするかわからないし、まずはデビュー戦とその後の地方興行を“査定試合”として、プレ旗揚げ戦のカードを決めたいと思います」と語っていた工藤めぐみは、デビューからの数試合を観て「頭で考えるプロレスになりはじめているので、ここは体でプロレスを感じてほしい」と、プレ旗揚げ戦での対戦相手にベテランのパワーファイター・伊藤薫を指名。デビュー戦以上にとてつもない壁が立ちはだかることとなった。

 邪道姫が育てる、ミス東スポ。異色の新人女子プロレスラーは超大物との連戦で、どれだけ成長を見せつけることができるのか? いろんな意味で目が離せないルーキーがここに誕生した。

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