【写真】2.21神戸での前哨戦、4年半ぶりに相まみえた鈴芽とMIRAI【3点】
運命とはどこでどう交わるのかわからない。プロレスラーはリングに上がり続けている限り、いつかどこかで再会できるとよく言われるが、鈴芽は「もうMIRAIと闘うことは一生ないだろうと思いこんでいた」という。
2019年、ふたりは東京女子プロレスの練習生として出会った。すでに他団体で練習の経験があったMIRAIのほうがデビューも早く、常に一歩先を歩いていたが、鈴芽がデビューするとタッグチーム『BeeStar』を結成。タッグ王座に挑戦するチャンスにも恵まれたが、2021年8月にMIRAIが退団したことによりタッグは自然消滅。ふたりはそれぞれの道を歩むことになった。
「外に出て活躍していることは耳にしていましたけど、MIRAIが東京女子プロレスを卒業していくときに『あぁ、もうリングで会うことはないんだろうな』と思ったし、まさか、こういう形で闘う日が来るとは考えてもいなかったので、本当に驚いています。人生って、なにが起こるかわかりませんね」
東京女子プロレスを退団したMIRAIはその後、スターダム、そしてマリーゴールドと主戦場を移し、昨年秋にみちのくプロレスへ電撃移籍。そして、今年1月4日に東京女子プロレスに里帰り参戦すると、一発でインターナショナル・プリンセス王座を獲得。「このベルトを巻いたということは、東京女子プロレスに上がり続けられるんですよね?」と確認したMIRAIは闘いたい相手として「まだ名前は出せないけど、ひとり、縁のある選手がいるので。
「MIRAIがそういうコメントを出していたことは知っていましたけど、それが私だっていう確信って100%はなかったんですよ。4年半、別々の道を歩んできたから、私には今のMIRAIの気持ちがわからない部分もある。でも、それでいいと思うんです。両国国技館のリングで、試合を通じて、私はMIRAIの今の気持ちを知りたいので」
昔から東京女子プロレスを観てきたファンからしたら、これ以上なくワクワクする再会であるが、最近、観始めた人からしたら、まったく接点のなかったふたりによるフレッシュで刺激的な顔合わせに映る。MIRAIはどの団体でもベルトを巻いて、トップ戦線で闘ってきたし、鈴芽もここ数年は「名勝負製造機」と評されるほど、クオリティーの高い試合を展開してきた。
その極地が今年の1月4日、後楽園ホールでおこなわれた渡辺未詩とのプリンセス・オブ・プリンセス選手権。体格やパワーでは劣る鈴芽だが、見ている側の想像の斜め上をいく攻撃で観客を、そして対戦相手の渡辺未詩までも驚かせた。斜め上を行く攻防が幾重にも積み重なって、最終的には誰もが拍手を贈るベストバウトとなった。この試合のインパクトがまだまだ脳裏に強烈に焼き付いているからこそ、MIRAI戦への期待も高まってしまう。
「あの試合は私にとってのターニングポイントになると思います。
2・21神戸大会では、最初で最後の前哨戦がおこなわれ、タッグながら、約4年半ぶりに鈴芽はMIRAIとリングで肌を合わせた。真正面からぶつかっていった結果、全般的にMIRAIがパワーで押しまくる展開に。どうやらMIRAIのほうは鈴芽の技を研究しているようで、うまく切り返されるシーンもいくつかあった。いろんな団体でずっとベルトを巻き続けてきたMIRAIだけに前哨戦の闘い方を熟知しているな、という印象だ。
「あのころと変わった部分もあれば、変わらない部分もあったんですけど、とにかく『負けたくない!』という気持ちが強くなった前哨戦でしたね。私は負けず嫌いで、それが自分のファイトスタイルだとも思っているんですけど、同期のMIRAIが相手だと、こんなにも『負けたくない!』って思いが強くなるんだってことを思い出しました。
新人のときから、私はMIRAIに勝てることってほとんどなかったんですよ。試合でも直接勝てたことはないし、技術でも体力でも勝てなかった。でも、当時からひとつだけ負けていなかったことがあります。それは『東京女子プロレスが好きだ』という気持ち。
4月にはアメリカでの試合も決まっている。そのリングにインターナショナルのベルトを巻いて上がりたいという野望もあるし、5月6日にはプロレスラーになって初となる地元凱旋興行が茨城で開催されるので、やっぱりベルトを手に帰りたい。いくつもの大きな想いを背負って、3月29日、鈴芽は両国国技館のリングに立つ。
「とにかくひとりでも多くの方に来ていただきたいですね。MIRAIのファンで、いままで東京女子プロレスを観てこなかった、という方にも観ていただきたいですし、もっともっと東京女子プロレスをたくさんの方に知ってもらうきっかけになる大事な試合だと思っています」
まったく違う道を歩んできた4年半。前哨戦で数分だけクロスしたが、本格的にふたつの運命が交わるのは両国国技館になる。ファーストコンタクトの衝撃は初遭遇でしか味わうことができない。ふたりのドラマを知る人も、まったく知らない人も、きっと心を動かされる極上の女子プロレスになるはずだ。
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