ダウンタウン松本人志が、3月1日放送の日本テレビ系『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』内で流れたCMに出演。これを‟地上波復帰への大きな一歩”と見る向きがある一方、「CM出演と番組復帰は別」との指摘もある。
地上波復帰は本当に近づいたのか。それとも一時的な話題にすぎないのか。

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松本が出演したのは、美容外科「高須クリニック」のCM。院長の高須克弥氏がドバイ上空をヘリコプターで飛びながら、決めゼリフの「イエス!銀座高須クリニック」を言い放つおなじみのCMシリーズだ。今回のCMでは、会議室で高須氏の背後に黒髪のかつらと髭で‟変装”した松本が一瞬だけ映り込んでいた。松本はノーギャラで出演したという。

地上波CM出演は約2年ぶりとなり、ネット上では「松ちゃんが出てた!」「インパクトがすごい」「高須院長に感謝」「出演の仕方が面白すぎる」などと反響が広がった。「ガキ使にも復帰できそう」といった声も上がり、地上波復帰へ大きく前進したとの見方が浮上した。

しかし、ここで冷静に考えるべきは「CM出演=地上波復帰」ではないという点だ。

実際、元SMAP香取慎吾稲垣吾郎草彅剛は旧ジャニーズ事務所からの独立後、CMや配信番組では活躍していたが、地上波番組への出演はしばらく途絶えていた。女優・のんは大手事務所からの独立後もCM露出は継続していたが、やはり地上波への本格復帰には長い時間を要した。いずれも地上波への本格復帰が実現したのは、芸能界の‟忖度体質”が問題視され、テレビ業界の構造に変化が生じてからだった。
また、元雨上がり決死隊宮迫博之は、2020年に地上波CMへの出演を果たしたが、いまだ地上波バラエティへの復帰は限定的な状況だ。

つまり、CM出演は「トラブル解決」や「みそぎ完了」のサインではない。CMは企業が広告効果を見込めると判断すれば起用されるものだが、それが番組出演に直接つながるわけではない。番組への起用は、テレビ局が世論やスポンサーの反応、コンプライアンスなどを踏まえ、総合的に判断するためだ。

松本は「性加害疑惑」報道をめぐる出版社との裁判に注力するため、2024年1月に活動を休止。裁判終結後、2025年11月に有料配信サービス「DOWNTOWN+」で約1年10カ月ぶりに活動を再開した。しかし裁判は松本が訴えを取り下げ、双方の合意で終結したため、事実関係の司法判断が示されたわけではない。そのため、テレビ局は慎重な判断を迫られているとみられ、CMに出演しても地上波復帰が近づいたとは言えないのが実情だ。

そんななか、松本の地上波復帰への新たな布石として注目されているのが『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』発の人気企画「絶対に笑ってはいけない」シリーズの海外展開だ。同シリーズは松本が発案者として企画を主導し、かつては大みそか恒例の特番としてNHK紅白歌合戦』と視聴率争いをするほどの人気を博していた。

吉本興業は、世界的エンターテインメント企業バニジェイ・エンターテインメントとパートナーシップを締結し、同社が有する25の国と地域、約130の制作会社からなる制作ネットワークを通じて「絶対に笑ってはいけない」シリーズのローカル版を製作するという。

日本のバラエティは、海外市場でも高く評価されている。
古くはTBS系『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』の海外版が各国で大ヒットしており、近年ではTBS系『SASUKE』が海外版『Ninja Warrior』として世界的フォーマットに成長し、フジテレビ系『料理の鉄人』も『Iron Chef』として各国で制作された。さらに、同じく松本が携わった『ガキ使』の企画「サイレント図書館」は『Silent Library』として米国版などが制作された。

「絶対に笑ってはいけない」がフォーマットとして海外で価値を認められれば、クリエイターとしての松本の国外評価が跳ね上がる可能性がある。海外での実績が‟逆輸入”的に国内評価を押し上げる流れは、日本のエンタメ界では珍しくない。もしそうなれば、松本の地上波復帰への強力な追い風になるだろう。

一方で、SNSなどを見ればわかるように松本に対する国内評価は二極化している。松本を応援する声と根強い拒絶反応が混在しており、賛否は分かれたままだ。この‟割れた空気”がどのように収束するか。それがテレビ局の最終判断を大きく左右する。

配信サービス「DOWNTOWN+」のコンテンツはどんどん充実しており、地上波復帰にこだわる必要はないとの声もある。だが配信サービスの構想を語ったインタビューで「テレビへの決別だとか、反テレビだとか、そういうものではない」と強調するなど、松本の中には地上波復帰への強い思いがあるとの見方がある。そういう意味では、コンテンツの海外展開や配信サービスの充実は「地上波復帰の環境を整える」という観点でも有効な一手となる。


松本を必要とする声と、拒絶する声。そのどちらが‟主流”なのか。分断はまだ埋まっていない。このままテレビ局は世論を理由に慎重姿勢を続けるのか、それとも起用へと動き出すのか。私たちは‟騒動を経たタレントの再起”をどこまで受け入れるのか。松本人志の地上波復帰は、私たちにもその答えを迫っている。

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