松田聖子中森明菜岩崎良美──。1980年代を代表する「昭和の歌姫」たちが、令和の時代に再び脚光を浴びている。
往年のファンだけでなく、若い世代にも支持が広がり、コンサートや新作リリースなどの話題が相次いでいるのだ。

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その象徴的な出来事の一つが、岩崎良美の代表曲『タッチ』の再評価だ。現在開催中のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)のNetflix大会応援ソングとしてB’zの稲葉浩志がカバーしたことをきっかけに、楽曲への注目が再燃。岩崎が歌う過去の映像や音源にも関心が集まり、ネット上で「無性に本家が聴きたくなった」「B’zもいいけど、本家は爽やかで本当に『青春』って感じ」などと、改めてその魅力が語られている。

昭和アイドルの代表格である松田聖子も、その存在感を改めて示している。昨年末のNHK紅白歌合戦』に特別企画枠で出場し、番組のラストで歌唱。歌手別視聴率で堂々のトップに輝いた。今年2月には初の韓国公演を開催し、約8000人の観客を集めて大成功を収めた。K-POPアイドルが聖子の楽曲をカバーするなどしたことで若者層からの認知度も高く、会場では代表曲『青い珊瑚礁』の大合唱が起きるなど、国境を越えた人気を証明している。

中森明菜の動向も大きな注目を集めている。先日、約20年ぶりとなる待望のライブツアー開催を発表し、デビュー44周年記念日となる5月1日に約8年6カ月ぶりとなるフルアルバム『AKINA NOTE』を発売することも決定。長期休養を経ていよいよ完全復活モードとなり、往年のファンはもちろん、80年代の活躍を知らない若い世代からも熱い視線が注がれている。


さらに南野陽子は、昨年7月から始まった40周年記念コンサートツアーが各地でチケット完売が続くなど、再ブレイクの様相を見せている。ツアーのラスト公演は6月18日に東京・NHKホールで開催予定。加えて2025年には神戸松蔭大学の客員教授に就任するなど、活動の幅を広げている。

小泉今日子もまた、アイドル出身という枠を超えて独自の立ち位置を築いている。タレントが避けがちな政治的発言で話題を呼ぶ一方、2025年4月期に当時59歳にしてフジテレビ系月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』で中井貴一とダブル主演を務め、俳優としても存在感を示した。さらに還暦を迎えた2026年には、自身最大級のホールツアー『KK60 コイズミ記念館 KYOKO KOIZUMI TOUR 2026』を開催。5月2日と3日には、日本武道館での2DAYS公演も控えている。

なぜ、昭和の歌姫たちが令和の時代に再び輝きを放っているのだろうか。

その大きな理由の一つは、当時のスターならではの存在感と認知度の高さだ。80年代はテレビが"娯楽の王様”と呼ばれる時代だった。テレビを中心に活躍していた松田聖子、中森明菜、小泉今日子らアイドルたちは、世代や地域を問わず誰もが知る存在だった。いわゆる「国民的スター」が成立していた時代であり、だからこそ存在感も際立っていた。


もう一つの大きな要因が「実力」だ。当時は現在のようなピッチ補正などの音声修正技術が一般化しておらず、ライブやテレビでの歌唱は"生歌の実力”がほぼそのまま伝わるため、この時代のアイドルは新人時代に厳しいレッスンを重ねた。そのため総じて歌唱力が高い傾向にあり、現在でもコンサート人気が衰えない理由の一つとなっている。

さらに、楽曲そのものの強さも大きい。『青い珊瑚礁』『DESIRE-情熱-』『タッチ』など、当時のヒット曲はファン以外に浸透し、発売から数十年が経った今でも多くの人が口ずさめる。親しみやすいメロディーと印象的な歌詞は世代を超えて共有され、サブスクの普及によって若い世代からも「エモい」と再評価されている。

一方、近年は「今の時代には昭和のようなスターがいない」という声も少なくない。もちろん現在も宇多田ヒカル、あいみょん、Adoなど人気女性アーティストは数多く存在するが、絶対的なスターがあまりいないように感じられる背景には、時代の変化がある。

70年代には山口百恵という"伝説的スター”が誕生し、当時はテレビという巨大メディアがスターを生み出す装置として機能していた。しかし現在はYouTubeやSNS、配信サービスなどメディアが細分化し、人々の趣味嗜好も多様化している。その結果、かつてのような"誰もが知るスター”が生まれにくい環境になったと言われる。

さらにSNSの普及によって芸能人の私生活や素顔が可視化されやすくなり、スターの神秘性が薄れたことも影響している。
昭和のスターが持っていた"手の届かない別世界の存在”というイメージは、現代では成立しにくくなっているのだ。

昭和の歌姫たちが令和の時代に人気を再燃させるなか、改めて浮かび上がるのは「スターとは何か」という問いだ。時代が変わった今でも、松田聖子や中森明菜らの名前が語られ続ける理由はどこにあるのか。令和のエンタメ界に、あの時代のような"絶対的スター”は再び生まれるのだろうか。

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