7月22日に約1年9カ月ぶりのニューシングル『シャーベットピンク』を発売したNGT48。グループとして思うような活動ができない期間、個人としてテレビ番組に出演し、「世間とNGT48をつなぎ止めよう」と奮闘してきたのが中井りかだ。
だが、バラエティ番組で活躍しながらも、彼女の心に引っかかっていたのは、「私の職業はアイドル。もっとアイドルがやりたい」という気持ちだった。「アイドルは通過点ではない」「アイドルなめんなよ」そう言い切る彼女にこの2年間の胸に抱えていた思いを語ってもらった。

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――今回のシングルが発売されることは、NGT48劇場で発表されたんですよね。

中井 そうです。メンバーが集められて発表されたんですけど、そろそろシングルを出したいなと思っていたので、とても嬉しかったです。「やっと出せる……」という安心した気持ちが強かったですね。30人全員が選抜という形で再スタートを切れるのも安心材料でした。

――メンバーと久しぶりに会ったのはその発表の時ですか?

中井 それ以前に何人かのメンバーとはお仕事したこともあったんですけど、全員で顔を合わせる機会はなかなかありませんでした。その時にみんなと会えて思ったのは、見ている方向が同じだなということでした。自分の中で不安だった何かが、その瞬間すっと落ちた気がしました。

――空気で感じたんですね。


中井 そうですね。今年1月、合宿をやった中から選ばれたメンバーでコンサートをやっていたんですけど、その時点で空気感がいいなとは思っていました。でも、その後、コロナの影響で会うこともできなくなって、みんなはどんな気持ちでいるんだろうと少し不安もあったんです。シングルの発売が発表されてみんな喜んでいたので、気持ちは一緒なんだなって嬉しくなりました。

――表題曲はアイドルソングとしてストレート勝負をしてきましたね。

中井 今までのシングルはおしゃれな感じだったじゃないですか。それが、今回は「アイドル!」「きゃぴきゃぴ!」「夏!」「恋!」「青春!」みたいな(笑)。NGT48としても夏曲がほしかったので、ドンピシャでした。今までのMVは雪の上を走らされてばかりだったので(笑)。

 カップリングの『絶望の後で』は今のNGT48だから歌える曲です。メッセージ性も強いし、歌っていて込み上げてくるものがあります。コンサートで披露する機会があったら、感極まってしまうんだろうなって。
ダンスの先生には、「今のままじゃ全然足りない。今まで辛かったこともあっただろうけど、みんなで乗り越えていこうという曲なんだから、今のみんなにしか表現できないんだよ」と言われました。そしたら、みんな涙を流し始めて。曲と重なるところがあったんでしょうね。振り付けが難しかったから、私は頭がそっちにいっていて、泣くどころじゃなかったんですけど(笑)。

――そのMVですが、どんな撮影でした?

中井 『シャーベットピンク』のダンスシーンは海の近くの突堤で撮影しました。ソーシャルディスタンスを保ちながらの撮影で、メンバーの間隔を測って、各自が立ち位置をバミって……という感じでした。そうした甲斐があって、ドローンで撮影した映像はめっちゃきれいでした。
 あと、各メンバーがソロでデートシーンを撮影しているんですけど、私だけ設定がおかしいんです。他のメンバーは、同じ学校の男の子を好きになって、久しぶりに再会した……みたいな、ピュアなテーマなんですよ。なのに、私の設定は、30代のコンビニの店長をしているフリーターさんを好きになった……みたいな。でも、設定上はめっちゃイケメンらしくて。
だから、「ねぇ、職に就いて~」と言いながら撮影したら、そこが使われてました。

――お疲れ様でした(笑)。『絶望の後で』のMVは?

中井 (本間)日陽が登山をしている裏で、他のメンバーは草原で歌っていました。草原だからめっちゃ踊りにくくて。足が草に絡まったりして(笑)。踊るのはDメロからで、それまではじっと耐えて、自分が辛かったことに思いを馳せるんです。私は5年間のことを思い出していました。いろいろあったなぁ……としみじみしていたら泣きそうになりましたね。なんだか走馬灯を見ているような気持ちになりました。踊るシーンは、「ここから先に進むぞ」という意思を込めた振り付けが気持ちよかったです。肩で風を切って走っていくイメージなんですけど、「おらー、どけー!」という気持ちを前に出しました。ただ、あんまり私の顔は抜かれていなくて、もっと映してくれてもいいじゃんとは思いました(笑)。


――思うように活動できない期間がありました。その結果、考えは変わりましたか?

中井 変わりました。グループの活動ができない期間は、自分が前に出て闘わないといけないという責任を感じていて。ソロでお仕事をしているということはそういう意味だと、私が世間とNGT48をつなぎとめるんだという気持ちでした。その役割を果たせたかわからないけど、そのぶん視野が狭くなってしまったとも思いました。メンバーと久しぶりに会うと、頼もしさを感じたんですね。「もっと頼っていいんだ」と思えました。「メンバーのこと、好きだな」みたいな。改めてそう感じる機会なんて、それまではなかったんですけどね。

――新型コロナウィルス感染拡大防止による外出自粛期間はどう過ごしていましたか?

中井 夜、メンバーに電話して、朝の6時くらいまで話していました。といっても、一緒にゲームをしていただけなんですけど(笑)。でも、ちゃんと真剣な話もしましたよ。
「今後NGT48をどうしていこう」とか。そこで思ったのは、この1年9か月を経験できたのは私たちだけなんだから、そこは強みだよねということでした。これを糧にして前へ進んでいくしかないんです。それがグループとしての目標です。同じ目標を持つことで、一緒に頑張っていきたいです。

――具体的な目標は?

中井 まずは新潟でライブをすることです。こういう状況なので、どうなるかわからないけど、私たちの職業はアイドルなので、みんなの前で歌って踊りたいです。

――会社の体制も名称も変わりました。そこで感じていることはありますか?

中井 メンバーのことをよく考えてくれているなと思っています。何かあったら、すぐ話を聞いてくれるし、スタッフさんも含めて全員でグループを作り上げようという気持ちを感じています。

――個人でやってみたいことはありますか?

中井 これまではバラエティのお仕事を中心にさせていただきました。『青春高校3年C組』は毎日楽しかったし、自分のためにもなりました。
ただ、私はアイドルです。アイドルをやりたくてアイドルになりました。そこがバラエティに出ている期間、ずっと心に引っかかっていました。もっとアイドルがやりたいって。アイドルが通過点というメンバーもいるでしょうけど、私は「アイドルなめんなよ」と思っているので。これからはアイドル活動から離れていた時間を取り戻したいです。そして、今までやってきたことをグループに還元させられればいいなと思っています。

NGT48 5thシングル『シャーベットピンク』
発売日:2020年7月22日
前作から約1年9ヶ月ぶりのシングル。センターは藤崎未夢が務め6月11日の発表時点で在籍する一期生と研究生の全30人が参加する全員選抜。

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