ドラマで大きな根幹をなすのが文学だ。今作の主要人物にして、全ての発端となるミステリアスな美少女・菅原新菜役を務めるのは近年モデル・女優として目覚ましい活躍を見せる玉城ティナ。彼女に自身の学生時代の話と影響を受けた本について聞いた。(前後編の後編)
※前編:玉城ティナ、ミステリアスな文芸美少女に「観ている方も真剣に性について悩んでいただけたら」はこちらから。
【写真】制服姿の似合う玉城ティナが演じるミステリアスな文学少女、ドラマスチール&撮り下ろしカット
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――今作の大きな根幹をなす文学についてもうかがえればと。最近でも『現代思想』(青土社)の増刊号にて澁澤龍彦・著『快楽主義の哲学』を推薦されていらっしゃるなど、新菜同様に文学に明るいイメージがあります。
玉城 いやいや、あれは学生時代に、たまたま手に取っただけで(笑)。
――澁澤をたまたま手に取る方がすごいですよ(笑)。
玉城 あ~!そうです、そうです!「世界に存在するものは全て何かのパロディである」っていうことをワッ!と書いた内容なんですけど、スゴイですよね。なんであんなくだらなくて、変な本を書いたんでしょうね(笑)? 最初読んだときは何がなんだかサッパリわからなかったんですけど、最近は言いたいことがなんとなくわかってきたんですよ。私もきっと全てがどうでもよくなったら「太陽も肛門と同じだ!」と思うんだろうなぁって(笑)。
――アハハ!そう思う日がこないことを祈ります。
玉城 あとは『惡の華』をキッカケにボードレールも読みました。彼の作品からは、彼が抱くコンプレックスがひしひしと伝わってくるんですよね。詩集って男性作家のものと女性作家のものを読み比べると、違いが感じられて面白いんですよ。私の感想ですが男性の詩は“悲痛さ”を感じる作品が多く、切なさが良い意味で味になっている気がします。
――人生で一番印象に残っている作品はありますか?
玉城 う~ん……やはり、沖縄にいたころから読んでいる江國香織さんの作品でしょうか。本当にどれも素敵で。

――玉城さん自身の高校時代はいかがでした? 中学3年生の時分で東京に出てこられたので、青春を堪能できなかったのでは?
玉城 確かにもう高校入学した時点では仕事をしていましたから、文芸部の5人のような時間は過ごせませんでしたね。なので高校生役を演じる時に、自分の中の経験や記憶を役に“降ろしてくる”という感覚はあまりなかったんです。ただ、『荒乙』では、実際の自分の経験ではないながらも、22歳になり「高校時代ってこうだったよな」とあの時の自分を俯瞰してみたり、周りの同級生がどういうことをしていたかな?ということを思い出して、その時の思い出や記憶を役や感情に乗せられた気がします。
――むしろ、そうした青春時代=芸能生活だった玉城さんから見て、文芸部の5人が送る青春に眩しさを感じますか?
玉城 うらやましいですよ。彼女たちのように同じような悩みや考えを友だちと共有したり、自分の心を癒す拠り所、自分が自分でいられる場所を学生時代に見つけるって難しいと思うんですよ。そうした出会いや場所を見つけられた人って、大人になって躓く出来事があっても一度その場所に戻れるという安心感があって、それだけで救われると思うんです。文芸部のみんなはきっと大人になっても、高校時代の素敵な想い出と共に過ごしていくんでしょうね。

▽ドラマイズム『荒ぶる季節の乙女どもよ。』
9月8日(火)から毎週火曜深夜放送
MBS深夜0:59~/TBS深夜1:28~
TBS放送終了後、TSUTAYAプレミアムで最新話配信開始
出演:山田杏奈、玉城ティナ、横田真悠、畑芽育、田中珠里
井上瑞稀(HiHi Jets/ジャニーズJr.)、前田旺志郎、田川隼嗣
鶴見辰吾、古川雄輝
監督:酒井麻衣(『ぴぷる~AIと結婚生活はじめました~』『恋のツキ』)、井樫彩(『真っ赤な星』『溶ける』)、水波圭太
脚本:岡田麿里(『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』)
▽玉城ティナインタビュー
ヘアメイク 今井貴子
スタイリスト 松居瑠里
衣装クレジット
ワンピース¥48,000/CHANCE(H3O ファッションビュロー)
シューズはスタイリスト私物
【問い合わせ先】
H3O ファッションビュロー
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