10月5日に劇場デビュー12周年を迎えたSKE48。劇場を大切にする彼女たちは、毎年この日を中心に劇場や、劇場が入るSUNSHINE SAKAEで周年記念イベントを開催してきた。
だが、コロナ禍の今年、周年イベントもその形を変えざるを得なかった。そして彼女たちが選んだのは“挑戦”という方向性だった。

AICH SKY EXPOに会場を移し、3日(土)から5日(月)にかけて、総配信時間30時間以上、総楽曲数188曲以上という、48史上最大かつ最長の配信LIVEフェス「SKE48 12th Anniversary Fes 2020~12公演一挙披露祭~」を開催したのだ。5日に開催されたグランドフィナーレでは、9期研究生の昇格と、松井珠理奈の卒業シングルの発売も発表され、大団円を迎えたこのイベント。終了直後に、グループの次代を担う6期生の北野瑠華と8期生の北川愛乃に対談してもらい、長時間の配信ライブを終えた直後の気持ちと、13年目にかける思いを聞いた。

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――3日間、お疲れさまでした! かなりの疲労度だと思いますが……。

北野 疲労度は1000です!

――基準がよくわかりませんけど、すごいことは伝わってきます(笑)。

北野 それくらい疲れました! 今までコンサートはたくさんやってきましたけど、比べ物にならないです。

――その原因は?

北野 劇場のステージよりも広かったから、移動する距離が長くなったことがまず挙げられますね。もうひとつは、過去に何度も出ている公演だとしても、今回用の決まり事があったからです。たとえば、ハイタッチはしないとか。「次はいつもと違うから気を付けないとな……」と考えながら踊っていると、頭も体も使うから余計疲れるんです。


北川 私も疲労度100以上でした。私は全12公演のうち3公演に出させていただいて、初めての公演が2つあったんですけど……。

北野 それは疲れるよね、精神的にも。私も3つ出たけど、全部出たことある公演だったから。

北川 公演当日よりも、覚えるまでが大変でした。「パジャマドライブ」の場合、覚えるまでに6日間くらいかかって、そのうえ振り付けを固めていかないといけないので。それに、私は覚えるのが苦手なんですよ。分からないところは映像をアップにしたりスローモーションにしたりして覚えていたんですけど、それでも頭に入ってこないから、「あー、もう!」ってイライラしながら(笑)。

――3日間が終わって、どんな気持ちになりましたか?

北野 やっぱり劇場公演が好きだなって思いました。今回はファンの方も30人限定で、さらに声援を上げてはいけないというルールだったので寂しさもあったけど、16人で公演をすること自体が久しぶりだったので、楽しかったです。SKE48は劇場公演なんだなって感じました。

北川 この数か月、私も寂しさを感じていました。
ファンの方となかなかお会いできない期間が続いていたし、大きなコンサートも2月のエコパアリーナ以来なかったですから。この3日間の公演は配信もされて、ファンの方がたくさんツイートしてくださったので、オンラインでもファンの方とつながれるんだと感じることができました。こういう形は続けていきたいですね。

――印象的だった瞬間や出来事はありますか?

北川 最終日の昇格発表です。最近、9期生の年上メンバー、特に石川花音ちゃんや藤本冬香ちゃんとお話しする機会が増えたんですけど、「このまま研究生だったらどうしよう」ってずっと悩んでいたみたいで。頑張っているのを近くで見ていたから、昇格が発表されて私もうるうるしました。

北野 リハーサル期間を含めてなんですけど、みんなでひとつの公演を作っているんだと感じることができたのが印象に残りました。それも、同じチームのメンバーではなくて、今回きりのメンバーだったのが印象的で。どうしても同じチームや同じ期のメンバーとばかりコミュニケーションを取ってしまうものじゃないですか。だけど、いつもとは違うメンバーとひとつのものを作る作業をしたことで距離が縮まったし、その瞬間がキラキラしていたなって感じていて。その感覚を味わえたことがよかったです。

――それは公演後の囲み会見で他のメンバーも話していましたね。


北野 裏でスタンバイしている時に、さとかほ(佐藤佳穂)が「今回で瑠華さんと距離が縮まった気がする」って言ったんです。以前からよく話すメンバーではあったけど、そう言ってくれたのは嬉しかったですね。「え? もう距離は縮まってるよ」って返したんですけど。そうだ、岡本彩夏ちゃんとは3公演とも一緒のスケジュールでした。彩夏ちゃんがチームKIIに昇格した後、一緒に活動することがなかったんですよね。でも、今回の公演を通じてお話することができて、距離は縮まったかな。

北川 私は2公演同じだった菅原茉椰さん、鎌田菜月さんとたくさんお話しできました。リハーサルの空き時間にたくさん写真を撮りました。

――今回、コンサートではなく、かつて劇場でやった演目の再演でした。それについてどう思いましたか?

北野 なかなか思うように活動ができなくて、ファンの方やメンバーのフラストレーションが溜まっている中で、私たちが魅力を最大限に発揮できるものは何かって考えると、劇場公演だと思うんです。みんながキラキラ輝いている姿をお見せするには公演が一番だなって思いました。

北川 たくさんのアイドルグループがあるけど、劇場公演は48グループならではの強みだと思います。
それに大人数が出るコンサートだと、自分が目立てる機会が減ってしまうのもあるし……(笑)。
北野 それはあるよね(笑)。みんなのモチベーションが高くなるのは公演のほうだからね。

――SKE48は12周年を迎えましたが、12年を経験しているのは松井珠理奈さんだけです。6期生と8期生は周年イベントをどんな気持ちで迎えるものなんですか?

北野 6期生は7年くらいの歴ですけど、すべての歴史を知っているわけではありません。それでも、「12年も続いているグループに自分は在籍しているんだぞ」って誇りに思っています。

北川 私は入る前からSKE48に憧れていました。そんな場所に自分が立てているのは幸せなことだと思います。12年も続けることができたのは先輩方が引っ張ってくださったからですし、ファンの皆さんがいてくださるからだし、スタッフさんの力もあってなので、いろんな方に支えられてきたから今につながっているんだと思います。

――余談ですけど、12年前って何をしていました?

北野 9歳だから……学級委員とか班長をやってました。前に立つことをやりたくて、調子に乗ってました(笑)。

北川 私は小学校低学年で大阪に引っ越す前、福岡に住んでいたんですけど、その頃ですね。
小学校に上がる前はどこにでもよく寝転ぶ子で。「帰るよ」ってお母さんが言っても、「やだー!」って駄々をこねて、外でも構わず寝転んで抵抗していました。で、お母さんに引きずられながら家に帰るっていう(笑)。

――12年経つと人は変わるものですね(笑)。変わるといえば、SKE48もメンバーが移り変わってきました。この3日間でそういった変化を感じたことはありましたか?

北野 ありました。「0start」公演ってほんの2年前までやっていた公演なのに、「あぁ、(松村)香織さんはもういないんだ」とか「(内山)命さんはあの日のMCでこんなことを話していたな」とか、みんなで思い出していました。

北川 私、(出演した)「シアターの女神」公演を観たことがなかったので、振り起こしのために観ていたんですね。そうしたら、MCがすごく面白いんです! 今は卒業されている先輩ばかりでしたけど、勉強になるなぁと思いながら観ていました。

――最終日、珠理奈さんの卒業シングル発売が発表されました。どう思いましたか?

北野 いよいよその時が近づいているんだなと感じました。寂しさはあるけど、珠理奈さんは自分の卒業を前向きにとらえているし、後輩のことを思ってくれてもいるので。
そんな珠理奈さんの背中をその瞬間まで見ていたいと思いました。

北川 ちゅり(高柳明音)さんもそうですけど、卒業が延びていることが私は嬉しいです。まだいてほしいと思うので……。でも、卒業の目途が立つと、「あ、もうすぐなんだな」と思ってしまいます。残された時間を大切にしたいです。

――13年目に突入しましたが、今後のグループ像は見えていますか?

北野 珠理奈さん、ちゅりさんがいないSKE48って誰も想像ができていないと思います。今までずっと先頭に立って、引っ張ってくれた方なので。

北川 私も、今後どうなるんだろうって考えています。不安な気持ちも大きいけど、新しいメンバーが多くなるとも言えるので、新しいイメージを発信していきたいです。新しいグループ像を作っていかないと、続いていかないかもなって。

北野 今までもいろんなメンバーが卒業してきて、そのたびに「どうなるんだろう?」っていう悩みを抱えてきたけど、なんだかんだ活動は続けられているし、強い気持ちで「ウチらがやってやるぞ!」と思ったほうが、自分らしさが発揮できるグループでいられると思うんですよね。そうじゃないとファンの方も迷ってしまうと思うので。だから、強い気持ちを持つことを忘れずに活動したいと思います。

▽北野瑠華(きたの・るか)
1999年5月25日生まれ、岐阜県出身。チームKII副リーダー。6期生。ニックネームは「るかてぃん」

▽北川愛乃(きたがわ・よしの)
2001年1月24日生まれ、大阪府出身。チームS所属。8期生。ニックネームは「よこにゃん」
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