AKB48グループの中でもっとも魅力的な歌い手を決める「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」。昨年、12月1日に開催TBSチャンネルで生放送された決勝戦では、加入して間もないSTU48の池田裕楽が優勝し、完全実力勝負でシンデレラストーリーを体現した。
3位に輝いたのはAKB48、STU48を支えるフロントメンバーであり、実力派エースの岡田奈々。3年連続出場している岡田に、アイドルと〝歌唱力〟について、持論を聞いた。

【写真】AKB48グループ歌唱力No.1決定戦第3回の様子

ーー歴史に残る激闘でした。大会を総括していかがですか?

岡田 私は第1回・第2回も参加させていただきましたが、今回は特別でしたね。技術レベルが上がっていることはもちろん、参加メンバーの意気込みというか気合が年々激しくなっているんです。バックステージでも全員がずーっと歌い込んでいましたし。第1回のときは、こんな感じではなかったんです。「直前まで練習するなんて恥ずかしい」みたいな気持ちも残っていましたから。今はギリギリの真剣勝負。周りを気にしている余裕もないです。

ーー緊張感も半端じゃない?

岡田 毎回、終わったあとは「もう次は出ません」とスタッフさんに伝えています。それくらいこのイベントのプレッシャーは尋常じゃないんです。
やっぱりしんどいです、自分の歌に順位がつけられるのって。だって私のファンは「なぁちゃんの歌が一番好きだよ」と普段から言ってくれるわけで、その期待に応えられないと、自分が情けなくなってくるというか……。それに加えて、あのステージには魔物が棲んでいますし。

ーー魔物とは?

岡田 みんなの緊張感が渦巻いて独特の磁場になっているから、普段はやらないようなミスもしてしまうんです。今回も自分の中で100%は出し切りましたけど、決して100点の出来ではなかったですし。

ーーAKB48グループの選抜総選挙と歌唱力No.1決定戦、どちらがキツいですか?

岡田 う~ん……(熟考して)同じくらいしんどいです。それで毎回「次は出ません」と言うんですけど、イベントの時期が近づくとなぜか歌いたい曲が出てくるんですよねぇ。「この曲を歌ってファンの方に伝えたいたいな」と思っちゃう。だから苦しいだけじゃなくて魅力があるイベントなのは間違いないです。それと今年に関していうと、コロナ禍もあってステージで歌う機会が減ったじゃないですか。それもあって、なおさら自分の歌をみなさんに届けたかったんですよね。

ーーそれにしても今回はSTU48勢の躍進が目立ちましたね。


岡田 本当にうれしいです! まだデビューして3年も経たないグループなのに、これって大変なことだと思うんですよ。「なぜSTU48は歌が上手い子が多いの?」って聞かれることもあるんですけど、メンバーを見ていると幼少期からきちんとレッスンを受けている子が多いんですよね。PerfumeさんやBABYMETALさんを生み出したアクターズスクール広島もありますし、もともとそういう土壌だったというのあるのかなとも思います。

ーー優勝した池田裕楽さんにいたっては、まだ研究生ですからね。

岡田 私も最初は母親が娘を心配するような心境で「大丈夫かな?」と見守っていたんです。だけど歌を聴いてみたら、明らかに私より上手いじゃないですか。予選の段階で「もうこの子には敵わない」と白旗を揚げていました。池田ちゃんは私と矢作萌夏ちゃんが一緒に歌っていた第2回の歌唱力№1ファイナリストライブを観て、STU48のオーディションを受けたらしいんです。目標にしていた私をあっさり超えていくんだから……逸材ですよね(笑)。

ーー岡田さんが歌うとき、肝に銘じていることはありますか?

岡田 私の場合、カラオケの機械が100点を出すような正確な歌を目指しているわけではないんです。それよりも、その場で沸き起こる自分の感情を歌に乗せて届けることが大事。ただ上手いだけの歌だったら、味がなくなっちゃいますから。
あとは1曲の中で抑揚をつけることも意識しているかな。強弱のポイントは、あらかじめ自分の中で細かく決めておくことが多いです。

ーーところでアイドルは歌が上手い必要ってあるんでしょうか? ファンは必ずしも歌唱力を求めていない気もします。

岡田 アイドルも、もちろん歌が上手いにこしたことはないと思います。歌が上手ければ、単純に活動の幅が広がりますし。今は世の中全体が歌やダンスを実力主義的な方向で見ていると思うので、その流れからも逃れられないでしょうし。若手メンバーたちもチャンスを掴もうと歌やダンスの実力で上位を目指すようになってきてると思います。私、それ事態はすごく素敵なことだと思うんです。ただ一方で、AKB48グループは歌やダンスがそんなに上手じゃない子も上を目指すチャンスがあるアイドルだと思っているんです。だからAKB48が実力一辺倒になっていくというのは果たしてどうなのかなという疑問は自分の中でありますね。いろんな個性があっていいと思うので……。

ーーなるほど。
それにしてもこのイベントは最高だから、もっと注目されてもいいと思うんですよ。

岡田 それは本当に思います! さっきは「もう出たくない」みたいな弱音も吐きましたけど、観ている方からするとこんなヒリヒリするイベントは面白いに決まってると思います。最近は48グループも親しみやすい平和主義的な雰囲気になっていますよね。でも、ここには初期のバチバチした緊張感が残っていますから。実際、アイドル同士がここまで本気でバトルするイベントって他にないと思うんです。これまでAKB48にあまり関心がなかった方も惹きつけられるイベントだと思いますし、「最近のAKB48は……」と離れていったファンの方も楽しめるんじゃないかな。

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