※本コラムは『ウェディングウォーズ』第4話までのネタバレを含みます。

結婚を前提に交際をしている8組のカップルが、過酷な合宿生活の中でお互いの“愛を試す”熾烈なミッションに挑み、結婚資金1000万円の獲得を目指す婚前合宿サバイバル番組「ウェディングウォーズ」がABEMAで放送中だ。


なんとも太っ腹な賞金に「ABEMAさん、さすがに豪華すぎませんか?」と始まる前から羨ましがっていたものの、蓋を開けてみれば婚前サバイバル合宿はいつ終了するかは不明という、精神的にどんどんキツくなっていきそうなルールが待ち構えており、一筋縄ではいかない過酷さに思わずヒエッとなる。さらに、合宿中に別れを決断したカップルがいた場合、先着一組に100万円が贈呈されるという、人間性を試されるような設定付き。

普段とは全く違った環境下で、果たしてどれだけのカップルが参加時と同じ気持ちでいられるのか……。今回は結婚前に見て反面教師にすべきとも言える本作の前半1話~4話を考察する。

○問題だらけのカップルたち

第1話では8組のカップルが初めて合宿地に到着し、二人で力を合わせて500メートル先のゴールを目指す泥地レースが最初のミッションとして開催される。

が、序盤からいきなり揉めていたのがハトミ&さやかカップル。他のカップルが手を取り協力し合いながら進む中、転んださやかをフル無視で走ってくハトミ。

正直ドン引きだし、開始早々「さやか! 大変な時に助けてくれない男はやめておけ!」と届かないのに画面越しにしゃべりかけたくてたまらない。さらに、ハトミが“貯金0”ということまで明らかになり、本当に結婚して大丈夫か!? と不安になるのだが、問題があるのはこの1組だけではない。

手を握り、助け合いつつも1位になったひろむ&みずほカップルも、ひろむが無職で現在みずほの実家に居候中という、なんとも頭を抱えるような状況。

しかも、居候の身かつ無職であるにもかかわらず態度だけはでかいので、みずほの母から「みずほと一緒に住むなら、もうちょっとみずほのこと見て愛してかわいがって」「それができないなら一緒にいないでほしい。もう出てってほしい」と言われる始末。
みずほの母の言葉が正論パンチすぎるのに、ひろむは全く響いていない様子なのもまじで怖い。

貯金ゼロと無職という強すぎるワードが飛び出す中、さらにMC陣と視聴者を驚かせたのがミッションによっての浮気バレである。嘘発見器を使ったポリグラフ検査が行われ、芸人カップルであるマミモンが「絶対に言えない恋愛に関する秘密がある」と質問すると、柴助が「いいえ」と答えたのにもかかわらず、嘘発見器が“嘘”を察知する。芸人の浮気、お家芸すぎるだろう。

柴助を信じているマミモンだったが、問いただしてみると最初は「お店に行った」という程度だったのに、翌朝には「ファンの人と1回あります」とまさかの暴露。なんで律儀に全部言っちゃうんだ……!!!

さすがにこれにはショックだった様子のマミモン。先着1組にだけ100万円が付与されるというルールのため、「信じられなくなった時が別れる時かな」「別れて50万円をもらって帰るのも手」と悩んでいたが、相手の浮気による破局なのにしっかり折半する気があるのが優しすぎる。私なら100万絶対独り占めするのに……。
○荒れ果てた戦場に咲く唯一の花

第2話から第3話では、脱落デスマッチ「愛の30秒キス」と「出会いの一本橋」が行われ、それぞれ最下位だったムン&るい、だいご&ちひろカップルが脱落することに。

8組から6組にカップルが減ったものの、そのうち半分が貯金0か無職か浮気男か……なんて、何とも応援しづらい。が、そんな問題だらけなカップルの中でも一際応援したくなる存在が、クリエイターの大野くん&かおこだ。

18年間養護施設で育ったという大野くんは母親から「あなたを産まなければ良かった」と言われ、深い傷を負っている。
しかし、それで他人に対し疑心暗鬼になったり、誰かを愛せなくなって攻撃するのではなく、「1回傷ついたらある程度耐性がつく」「向き合い続けたら、強くなれる。人に優しくできる」と素直かつ前向きであり、ダメ男たちの中で一際輝くアスファルトに咲く美しい花のように見える。よくぞグレずに育ってくれた……!

また、そんな大野くんの彼女であるかおこも同じようにすばらしい。「私にとっては、血の繋がった両親や家族に愛されるのは当たり前なこと」とは語りつつも、彼に対し、「かわいそう」という感情を抱くのではなく、「でも、血のつながっていないたくさんの先生とか、兄弟たちに、両親と同じくらいの愛で愛されるのってすごくないですか?」「それは多分彼の人柄」と真っ直ぐ尊敬の眼差しを向けていた。なんて尊いカップルなんだ……。

全く違う境遇であるのにも関わらず、真っ直ぐに生き、お互いを尊敬し合うような関係性はこの番組で唯一見ていて心がホッとする瞬間である。さらに、かおこの大野くんに対する「人生ごと好き。丸ごと大好き」という愛情深さが感じられる言葉にもグッとくる。

どんな状況下でも腐らずに前を向く強さとそれを優しさに変える人間力、相手と自分の違いを受け入れることや心から尊敬し合うことなど、このカップルからは良い部分を学ぶことが多い。1000万円がなくてもあなたたち二人なら絶対幸せになれるよ!!
○変わろうとする行動の大切さ

問題だらけではあるものの、ファンとの浮気問題から別れを視野に入れていたマミモンも、経営者であるるいの「マミモンが許せるか。これも含めて彼だって認めてあげるか」という言葉に、「お互いに高め合っていけるのが良いカップルだと思うので、わたしが柴助を高めさせないと」と破局を思い止まり、柴助もだいごに相談して関係修復への努力を見せるなど、番組に参加したことによって成長できそうなカップルもいることに若干安心。(番組のミッションが無ければ浮気はバレなかったわけだが……)言葉や姿勢ではなく、きちんと行動に移せる人間は改善の余地がありますからね。


一方で、第4話ではハトミ&さやかのスキンシップとセックスレス問題の深刻さが浮き彫りに。ハトミは自身がEDで勃たないことをひろむ&みずほに相談。さやかはスキンシップが愛情だと考えているのにもかかわらず、ハトミがそれを避けるのは「セックスを始めると考えると気持ち悪くなっちゃう」からだと語る。

しかし、EDではなかった時のことも“週一キープできていた”とまるで義務でできていたように語るところに、セックスに対するお互いの大きな違いを感じる。これは思っていたより深刻……。

ひろむは「過去最高のセックスってどういうシチュエーション?」「いつ性的興奮を覚えた?」と今時AVの序盤でもしないような質問を投げかけるのだが、その瞳は至って真剣でほぼカウンセラー。「毎日楽しくて幸せなのにそういうことになってくると嫌」と真剣に語るハトミをみると、セックスへの嫌悪感から自分からスキンシップを避けたり、ふざけてしまっている行動にも納得だ。

にしても、相手ではなく、行為自体が嫌なパターンのセックスレスはかなり改善が難しいだろう。結婚前にこの問題を乗り越えないことには、正直結婚してから上手くいく可能性はほぼ0なので、なんとか乗り越えてほしい……。というか、この問題を乗り越えられれば世のセックスレスカップルの参考書にしたいレベルの改善案になるはずだ。ぜひともその解決方法を探ってほしい。
○一緒に乗り越え、成長するということ

金銭的に厳しすぎる現実、信頼関係の破綻、愛情表現の違い……。
問題だらけのカップルの現実が序盤からどんどん明らかになっていき、正直こんなに不安要素があるのによく結婚したいと思えるな!? というのが本音なのだが、そこには本人たちにしか分からない魅力や絆があるのだろう。

結婚には障害が付き物だし、“好きだから”と一緒に手を取り合って乗り越えていくのが恋愛と結婚の違いなら、ぜひ乗り越えていってほしい。が、乗り越えるべき壁かどうかはしっかり見定めて欲しいとも思う。

結婚という人生の大きな決断を前にしたカップルたちの心情に深く共感し、理想を追い求めるだけではなく、現実的な問題にどう向き合っていくかが、最終的な愛を築くために必要不可欠であることを学べる本作は、自身の恋愛観を振り返る良いきっかけにもなる。カップルそれぞれの成長に期待しながら、後半も楽しみに見守りたい。

▼『ウェディングウォーズ』第1話 本編映像
https://www.youtube.com/watch?v=djLGYxygb74&t=60s

(瑞姫)
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