※本コラムは『ウェディングウォーズ』最終話までのネタバレを含みます。
結婚を前提に交際をしている8組のカップルが、過酷な合宿生活の中でお互いの“愛を試す”熾烈なミッションに挑み、結婚資金1000万円の獲得を目指す婚前合宿サバイバル番組ABEMAの「ウェディングウォーズ」がついに最終回を迎えた。
前半では「もう誰も結婚しない方がいいのでは?」とさえ思っていたが、過酷すぎる数々の試練と合宿を乗り越えてきたカップルの絆はただものではない。今回は5話~最終話までの後半戦の見どころと、一筋縄ではいかないさまざまな恋愛においての問題を乗り越えたカップルから学ぶ結婚において“大切なこと”を紐解いていく。
○愛情表現の違いに悩むカップルの行方
スキンシップとセックスレス問題の深刻さが浮き彫りになっていたハトミ&さやかカップル。ハトミは自身がEDで勃たないことや、そもそもセックスに対して嫌悪感があることをひろむ&みずほに相談していたが、見ているところ、本来は一番話すべき恋人であるさやかには話していない。正直話しづらいのもわかるが、理由も分からずに拒否されて悲しんでいるさやかを見ているのはいたたまれないし、いつまでも話さずには居られないだろう。
また、二人が話していないことによって抱えている問題はこれだけではない。ハトミは男子会で脳髄が人の2倍あり、通常だと障害があるレベルなので、「子どもに遺伝するのが怖い」と話していたのだが、おそらくそれもさやかは知らなさそうなのだ。
だからこそ、さやかは結婚について「親から今まで愛してもらったように、わたしも子どもを作って、子どものことも愛したい。二人で、子どもを大切に育てていきたい。わたしの考えている結婚はそれ」と答えている。結婚前から愛情表現の違いに苦しめられているだけでなく、結婚観まで大きく違うのだ。正直“好きだけでここまできた感”が否めず、二人は大事なことを話せていなさすぎる……。
さらに、さまざまな問題もあってか、さやかのストレスと独占欲が爆発。さやかは「みんなのハトミになってるのが嫌だ」「私のハトミ」「全部受け入れるよ~ハトミなら」と周囲の目も気にせずハトミに抱きにいくのだ。
これには若干周囲も引き気味だし、当の本人であるハトミも重く感じたようで「私のハトミはいきすぎじゃない?」「そうだけどそれは言わなくていい」と引いてしまっていた。正直、一番やっちゃいけないやり方な気がする。
また、追い討ちをかけるように、ハトミが参加者女性と仲良いことに嫉妬。それに同意を求めるように他のカップルに意見を求めるも、「嫉妬するような関係には見えない」「何も思わないです」と言われる始末。完全に暴走しているのだ。
不穏な空気が漂いはじめた場面でサユリが口を開く。「嫉妬心を抱くのは悪いことじゃない」と相手の気持ちに寄り添いつつも、「でも、その気持ちをぶつける相手が違っていた」と冷静に諭した。その言葉を受け、さやかも徐々に冷静さを取り戻していった。
好きだから結婚したいという気持ちもわかるが、乗り越えなければいけない壁がいくつもあるのに話し合えていないので、“何が問題か”もはっきりとさせれていない二人。これではいつまで経っても解決しないので、周囲に相談するより、好きの気持ちで誤魔化すより、真実や自分の気持ちをしっかりとお互いに伝えあって欲しい。
そうでないと、結婚後も上手くいく未来が正直見えないように思ってしまう。
○浮気&貯金0カップルらが脱落に
5話では、柴介&マミモンの芸人カップルが脱落。この二人といえば、番組がなければ墓場まで持っていってバレることがなかったかもしれない浮気が、嘘発見器を使ったポリグラフ検査によってバレている。マミモンは合宿中に別れを決断したカップルがいた場合、先着一組に100万円が贈呈されるというルールもチラついていたものの、結局その選択肢は取らず。
大縄跳びでの脱落デスマッチで最下位にはなってしまったものの、柴助は、「今後は悲しい涙を絶対に流させちゃいけない」「マミモンのことをちゃんと見て、マミモンが愛を感じられるような行動を今後取って、信頼してもらえたら」と過去の過ちを反省し、今後の信頼回復に務めると宣言。マミモンも「絶対に許せない感じでもないし、前向きに進んでいきたい」と返しており、二人は手を繋いで帰っていく。
この番組がなければ発見されなかった“浮気”という最悪の裏切りではあったものの、幸か不幸かそれによって、柴介は“マミモンを幸せにしたい”と心から思い、行動するようなきっかけになっただろう。完璧なカップルなどいないし、何か問題が起こった時ほど、どう行動していくのかが、人と関わり続けていくには大事なのだと改めて感じさせられた。
さらに、6話では最年少カップルのなおき&りあらが脱落し、7話では序盤から良い成績を収めていた、ひろむ&みずほカップルが脱落してしまう。
この二人は、ひろむが無職でみずほの実家に居候中という何とも擁護しがたい状況だったが、ひろむもひろむでみずほの母と合わないようだった。というより、ひろむVSみずほ母といった感じだ。みずほからすれば、恋人に自分の親の悪口を言われるのも、自分の親から恋人の悪口を聞くのもつらいだろう。
もう実家に住むのなんてやめてしまえばいいのに! と思っていたが、結婚したいみずほからしたら二人は上手くやってほしいのだろう。改めてひろむに「家のことを全部やってくれて、みずほを産んでくれたお母さんに、優しい気持ちでいてほしい。みずほを産んでくれた人だから。それくらい偉大な人だから」とみずほが伝えるのだ。
すると、ひろむは「それは大事な視点だと思う」と意外にも素直に言い出す。そう、ひろむは自由奔放で能天気だが、ピュアでもある。みずほの母と「仲良くしたい」と寄り添う姿勢を見せ、「みずほを喜ばせ続けたら信用してくれるかな?」と言い、「すぐに書かないと忘れちゃうから」と反省点までメモをするのだ。頑固な男は手の施しようがないが、こうやって歩み寄る姿勢があるところを見ると、みずほが惹かれるのも分かる気がした。
脱落後も、「こんなに楽しい機会を作ってくれたスタッフのみんなに感謝をしています」と頭を下げた姿に、思わず「そんなところまで気が回るんだ」とびっくり。働いて真面目に生きる、ということこそできていないかもしれないが、ハトミの悩みに真剣に聞いて解決策を見出そうとしたり、みずほの気持ちに寄り添う姿勢を見せたりするひろむを見ると、人間らしい、他の人にはない魅力があるのだろう。
○1000万円を手にしたのは誰なのか
最終回に残ったのはハトミ&さやか、セバス&サユリ、大野くん&かおこの3組。最後はカップルで合計20キロの重さの荷物を、男女別々のルートでゴール地点に運び、到着までのタイムを競うというミッション。
その他、ルートは塗装されている道である分距離が長い道と、登山道で過酷な分距離が短い道のどちらを選ぶか決められること、20キロの重さの荷物配分は1キロ単位でカップルが話し合って決められること、ゴールする前にパートナーの走行を手助けした場合は失格になること、現在の順位に応じたハンデが与えられること、などが説明された。
結果、1番にゴールしたカップルはセバス&サユリだったものの、2番目にゴールしたハトミ&さやかが“順位に応じたハンデ”によって1位に。
また、大野くんは最後の一人になってしまったかおこを迎えにいったことにより失格だったが、正直これで迎えにきてくれないほうがつらいので、愛と引き換えの失格である。この番組内で唯一といって良いほど問題なく穏やかな二人だったので、どうか1000万円がなくても結婚して幸せに暮らしてほしいと、心が温かくなった。
見事結婚資金1000万円を手に入れられることになった、ハトミ&さやか。正直、結婚して大丈夫か? の不安が一番強かったカップルではあるし、周りを巻き込みまくったお騒がせカップルではある。
しかし、結婚は条件でするものでもないし、今回の過酷なミッションのように愛があれば乗り越えられるのかもしれない。と、さまざまな希望を託したくなったのも事実である。獲るべきカップルが取ったと言えばそうなのかもしれないので、これからしっかりお互いで腹を割って話し合って結婚に向かっていってほしいと思った。
どうしても恋愛と結婚は違うため、価値観や条件が違うと、他の人にしたら? と思ってしまいがちだ。実際に、今回の番組を見始めた時も、ほとんどのカップルが難ありで、辞めたほうがいいのでは? と思ってしまった。けれど、実際に付き合っているとそんなことも乗り越えたくなるくらいの愛があり、愛があるから譲渡できたりもするものだと、忘れかけていたことを思い出したような気がした。
「合わないから別れる」「結婚をやめる」ではなく、「この人だから結婚したい」「だから譲る」。恋愛と結婚は違うとよくいったものだが、どんな過酷な道でも愛があれば頑張れるようなこともあるのだろう。参加カップルがそれぞれ幸せな道に進んで欲しいと、最終回では心から願わずにはいられなかった。
▼『ウェディングウォーズ』第1話 本編映像
https://www.youtube.com/watch?v=djLGYxygb74&t=60s
(瑞姫)
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