アドビは米国時間8月19日、Adobe Acrobatを含む新たなプラットフォーム「Acrobat Studio」を発表した。ローンチ当初は英語版のみの提供で、日本語版は後日提供予定。
Acrobat Studioは、PDFツール「Adobe Acrobat」、デザインツール「Adobe Express」、AI エージェントを統合したもので、ビジネスや学習などの一連の作業をワンストップで行えるとしている。
Acrobat Studioに実装されたワークスペース「PDF Spaces」は、生成AIベースのアシスタント機能「Acrobat AI アシスタント」の進化版。
PDF Spacesは、PDFファイルのみならずWebのURLやWord、PowerPointのファイルなど、さまざまな形式のファイルを投げ込むことで、AI エージェントがインサイトの獲得やアイデア出し、情報の統合などが行いやすいように変換する。
アップロード可能なファイル数は最大100ファイル(1ファイルあたり100MBまで)。現在の対応ファイル形式は以下の通りだが、今後音声ファイルの対応も目指す。
○「PDF Spaces」対応フォーマット
PDF、DOCX、PPTX、TXT、RTF、XLSX、VTT、ウェブURL、コピーされたテキスト、クラウドファイル(Adobeクラウドストレージ、Box、DropBox、Google Drive、OneDrive)
PDF Spaces内のAI アシスタントには、「インストラクター」「アナリスト」「エンターテイナー」などの特定の役割を割り当てられる。例えば、「インストラクター」の役割を持つAI アシスタントは、教師が生徒に説明するようなスタイルで情報を提示する。
既存の役割を指定する以外にも、自分のプロジェクトのニーズに合わせて定義した役割をAI アシスタントに付与することもできる。
パーソナライズされたAI アシスタントを含むPDF Spacesは他のユーザーと共有可能。PDF Spacesの作成にはAcrobat Studioのアカウントが必要になるが、招待を受けるユーザーがAcrobat Studioのサブスクリプションを契約する必要はない。
Acrobat Studioユーザーは、初心者から使えるデザインツール「Adobe Express」プレミアムプランの全機能やアセットにアクセス可能。
現状はユーザー自身がAdobe Expressでプレゼン資料や販促ツールを作ることになるが、将来的にはPDF Spaces内の情報を元にAIアシスタントがプレゼン資料を自動生成するような機能も検討しているという。
Acrobat StudioにはAcrobat Proの機能がすべて含まれ、ドキュメントの編集、ファイルの結合、紙文書のスキャン、契約書や合意書への電子署名など作業が行える。また、スキャン文書や契約書を含むドキュメント内容を要約するAI 搭載機能も備える。
Acrobat Studioは透明性を徹底する設計で、最先端の暗号化、セキュアなサンドボックス環境、コンプライアンス対応機能、集中型デプロイを実現したとする。
AIアシスタントは従業員が利用を指定したドキュメントのみを分析。また分析対象文書内の情報ソースに直接リンクするクリック可能な引用を提示することで、原文と比較してチェックすることもできる。顧客データをAI モデルの学習に使用せず、サードパーティーベンダーによる使用も禁止している。