弥生は、2025年4月に新たな製品ブランドとなる法人向けクラウド会計サービス「弥生会計 Next」を正式にリリースした。8月時点での登録数は、当初計画を上回る5000件を突破する順調な滑り出しを見せている。
今回、2024年10月に新たに弥生の社長兼CEOに就任した武藤健一郎氏のインタビューを前後編にわたり紹介する。前編は、弥生NEXTシリーズの中核製品「弥生会計 Next」の動向や、同社が描く成長戦略などについて、武藤氏に聞いた。
クラウド型会計ソフト「弥生会計 Next」の市場反響と導入状況
○--2025年4月8日に「弥生会計 Next」を正式リリースしました。2024年10月からの先行体験プログラムにより、1000件以上のフィードバックをもとに改善を加え、市場投入をしたと聞いています。いまの手応えはどうですか。
武藤氏(以下、敬称略):最初の3カ月で約4000件の登録があり、8月時点では5000件以上に達しています。これは当初計画を上回るものとなっています。むしろ、計画が少し保守的だったかなと反省しているほどです(笑)。
初めて導入するユーザー、他社から乗り換えるユーザー、弥生のデスクトップ製品から移行するユーザーが、それぞれ3分の1ずつぐらいの構成となっています。
つまり、3分の2がこれまで弥生に触れていなかったユーザーという言い方もできる一方で、デスクトップ製品を使っていたユーザーが、クラウドネイティブの新たな弥生に興味を持っていただいていることにも自信を深めています。
まずは、3カ月を無料でお試しいただけます。
○--「弥生会計 Next」のどこに期待が集まっているのでしょうか。
武藤:デスクトップ製品の「弥生会計」に比べると「弥生会計Next」に搭載している機能数は少ないのですが、その分わかりやすく、価格設定も魅力的である点に、評価が集まっています。
初めての会計ソフトとして使ってみたいという人に適していることや、会計士事務所に任せていたものを自分でやってみようという意識を持っている人たちが注目しています。また、6月には弥生会計Nextに「AI取引入力β版」を追加しています。さらに、2025年7月からはWeb CMをスタートし、8月からはテレビCMも開始しました。
中小企業の経営者や経理担当者が抱える不安や恐怖、焦り、業務負荷といった課題に、弥生Nextが寄り添うことを訴求したもので、弥生の「挑戦と安心」の想いから生まれたキャラクターであるネックスとストンが、中小企業の経営者や経理担当者を煩雑な会計業務から解放し、本業に集中するための一歩を後押しする内容としています。
○--「弥生会計Next」の初年度の自己評価は、何を指標にしますか。
武藤:どれだけの人が弥生会計Nextに登録をしてもらえるか、そこからどれぐらいの人が有料に移行してもらえるかを重視します。また、社内では、利用定着率という指標があります。これは、弥生会計Nextを利用しているユーザーが画面操作をした場合に、製品を理解しながら使用しているかどうかがわかるものです。
.