俳優の竹野内豊が主演を務める映画『雪風 YUKIKAZE』(公開中)のヒットを記念した舞台挨拶が実施され、竹野内と共演の奥平大兼、田中麗奈が登壇した。

今から、80年前、平和な海が戦場だった時代、数々の激戦を最前線で戦い抜いた駆逐艦「雪風」は、僚艦が大破炎上していく中、絶えず不死身ともいえる戦いぶりを見せ、主力である甲型駆逐艦38隻のうち、ほぼ無傷で終戦を迎えたのは「雪風」ただ一艦のみだった。
作品のタイトルは、この「雪風」からとられている。「雪風」は、常に戦場に留まると、沈没する僚艦から海に投げ出された仲間たちを救い、ともに帰還させた。作品は、その知られざる史実を背景に、太平洋戦争の渦中から戦後、さらに現代へと繋がる激動の時代を懸命に生き抜いた人々の姿を描き出す。

8月27日に本作のヒットを記念した舞台挨拶がTOHO シネマズ日比谷で実施され、主演の竹野内豊と共演の奥平大兼、田中麗奈が登壇した。

竹野内は「満員御礼ということで今回のイベントがファイナルとなります。皆さんに伝えたいことがこの映画にたくさんあります。一つだけ申し上げたいことは、80年という節目に「雪風」を描いた作品が世に送り出されること、そして戦争を伝える人が徐々にいなくなっている中でかつてこういう事実があったと伝えることは大きな意味があったのではないかと思います」と挨拶。続いて、奥平は「映画が公開して少し時間が経ちまして友人や年代が上の方から映画見たよと言っていただくことが多くて、すごく嬉しいなと思っております」と、田中は「出演したシーン数はあまり多くないのですが、今回地方のキャンペーンなどで直接映画の反応を感じることができたので幸せなことだと思います。全国の皆様から映画を観た感想が私の方にも届いておりまして、これからも皆様に広げていければいいなと思っております」 とそれぞれ感謝の気持ちを伝えた。

イベントでは、10代で駆逐艦「初霜」に電信員として乗艦していた故・今井桂さんが本作へ感想を寄せた映像が投影された。そのコメントを受けて竹野内は「今井さんがおっしゃっていたように、"壮絶な戦いであの時は何が何だかわからなかった"というお話いただいて思い出したのですが、前に別の戦争映画をやった時に戦争を体験された方にお話をうかがったことがあって、"戦争というのは敵の弾で命を失うと思うだろ。違うんだよ。
みんな怖いから一斉に撃ち始める。味方の弾でも死んでしまうこともあった。それが戦争の恐ろしさだ"と教えていただいて。戦争を体験した人じゃないとその壮絶さは分からないと思いますし、二度と繰り返してはいけないなと思います。そのためにこの映画をご覧いただけたらいいなと思います」と自身の体験も交えて想いを明かした。奥平は「平和がある大切さを伝えることが大事なんだなと改めて思いました。今年22歳で初めて戦争映画に携わらせていただきましたが、また戦争を題材にした作品に携わる機会があるかもしれないので、この『雪風 YUKIKAZE』から学んだこと、受け継いだ気持ちを年を重ねても無くさずに残していきたいと強く思いました」と話し、田中は「戦争のことを語りたくないと思う方も多い中で、本作を製作する上で今井さんはスタッフと色々なコミュニケーションを取っていただいたと聞いているので、つらい経験を『雪風 YUKIKAZE』に託してくださった。ご自身の辛かったことを思い出すことは身を削る想いだったかと思います。今井さんの想いに感謝しております。このメッセージを受け取ったからには次の世代に伝えていく義務があるんだなと改めて感じました」と今井さんへ感謝を伝えると共に作品に託された思いをしっかりと受け止めていた。

最後に竹野内は「本当に私たちは今井さんのように実体験された方のお話を聞くことができなくなっています。時とともに戦争という現実味が薄れてきてしまっていると思います。
私たちがバトンを受け取って、私たちが後世に伝えていくことが義務ではないのかなと思います」とメッセージを送り舞台挨拶を締めくくった。

(C)2025 Yukikaze Partners.

【編集部MEMO】
山田敏久監督は、『空母いぶき』と『山本五十六』のほか、映画評論家・水野晴郎氏がマイク・ミズノ名義で監督した超名作『シベリア超特急』で助監督を務めていた。長編映画の監督は本作が初となる。また、スーパーバイザーとして、『ローレライ』『戦国自衛隊1549』『亡国のイージス』などの作品で知られる福井晴敏氏が名を連ねている。
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