女優の倍賞千恵子と、木村拓哉が主演を務める映画『TOKYOタクシー』(11月21日公開)の新場面写真6点が公開となった。

『TOKYOタクシー』は山田洋次監督の劇場公開91本目となる最新作で、2022年に公開され、スマッシュヒットを記録した『パリタクシー』の日本版リメイク。


タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、高野すみれ(倍賞千恵子)を東京・柴又から、神奈川の葉山にある高齢者施設まで送ることになったのだが、その道中で起こるさまざまな出来事、すみれに起こった過去が描かれる。

この度、倍賞千恵子が演じる終活に向かうマダム・高野すみれと、木村拓哉演じる鬱々とした日々を送るタクシー運転手・宇佐美浩二の「たった1日の旅」の瞬間と、優香が演じる浩二の妻・薫と中島瑠菜が演じる娘・奈菜が楽しげに笑顔を見せる場面写真6点が公開となった。「ただの送迎」だったはずの道のりが、やがて、すみれと浩二にとってかけがいのない時間へと変わっていく様子が写し出されている。

紫のコートにサングラスをかけおしゃれをするすみれだが、タクシーから外の様子を眺める表情を捉えたカットからはどこか物寂しさが滲んでいる。そして、浩二が険しい表情を浮かべながらハンドルを握るカットからは、仕事や家のことで悩みながらも家族のために働く父としての哀愁が漂っている。そんな二人がレストランで食事をするシーンや、イルミネーションに囲まれた街中を笑顔で楽しそうに歩くシーンも切り取られ、二人にとってかけがえのない特別な一日となったことが伝わってくる。そして、浩二の妻・薫と娘・奈菜が楽しそうに笑顔を溢すカットも。一人娘の奈菜は憧れの音大の附属高校に進学したいという夢を持っているが、その裏で浩二と薫は高い学費を払うため家計のやりくりに四苦八苦する……という、山田作品らしい家族愛と人情に溢れたハートフルな物語を予感させる。

本作は、ストーリーの多くがタクシー車内の会話劇で進んでいく。運転シーンの撮影は、山田組らしく『男はつらいよ』シリーズの寅さんが生まれ育った土地でもお馴染みの柴又から始まった。すみれと浩二の旅のスタート地点でもある柴又帝釈天での撮影では、テストから木村本人がタクシーの運転を行い、本番も一発OK。二人の旅路は誰もが知る東京の名所を巡っていくが、車内シーンの多くは渋滞が多発する東京の交通事情を鑑みて、車窓の風景を映したLEDパネルの中にタクシーを置いて撮影し、本物さながらの映像を実現するVP(バーチャルプ ロダクション)という技術を採用。
いまなお新しい撮影スタイルに挑み続ける山田洋次監督の手腕にも注目いただきたい。

(C)2025映画「TOKYO タクシー」製作委員会

【編集部MEMO】
原作となったフランス映画『パリタクシー』は、クリスチャン・カリオン監督作で、コメディアンのダニー・ブーン、歌手のリーヌ・ルノー共演でパリを舞台としている。こちらは、パリの中心街から12.6km離れたブリ=シュル=マルヌから、中心街の反対側にあるクルブヴォワまでの道中を描いた作品だ。美しいパリの街並みを捉えたのは、『クレールの刺繍』『ブラックボックス:音声分析捜査』など、30本以上の映画制作に携わってきた撮影監督のピエール・コットロー。
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