映画『遠い山なみの光』(公開中)の、主演を務める広瀬すずと共演の二階堂ふみが1950年代の長崎で初めて出会う重要シーンの映像が公開となった。
『遠い山なみの光』は、ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロ氏の長編デビュー作を、石川慶監督が映画化。
この度、公開となったのは、戦後間もない長崎で悦子(広瀬)と佐知子(二階堂)が初めて顔をあわせる印象的な出会いのシーン。冒頭、悦子は佐知子の幼い娘・万里子を追いかけ、佐知子たちが住む河岸のバラック小屋へ。家の外で洗濯をしていた佐知子と初めて出会う。普段あまり人が寄りつくことはないであろう古びた家の前まで来た悦子を怪訝そうな目で見る佐知子に対し、悦子は「はじめまして。この子、そこの橋で喧嘩しとったみたい。大勢の男の子たち相手によ」と先程あった出来事を説明する。だが、佐知子は「あなた、子どもの喧嘩見たことないの?」と長崎弁ではない話し方で切り返し、冷めた態度で洗濯物を続ける。悦子は「でも例の物騒か事件もあることですし、気をつけたほうが……」と巷を騒がせている陰惨な幼児絞殺事件のことを引き合いに出して畳みかけるが、「それはどうも」とまるで他人事のような素っ気ない返事をする佐知子。そんな佐知子に戸惑いながらもしばしの会話を続け、悦子が帰ろうとしたとき、佐知子は振り向きざまに「あなたどこの人?」と問いかける。悦子が「私、そこの団地に住んどります、緒方悦子と申します」と軽く微笑み答えると、佐知子は「悦子さん、お茶でもどう? ちょっと上がってきなさいよ」と口に笑みを浮かべながら悦子を家に招き入れようとするのだった。
○U-NEXTが特別番組を独占配信中
さらに、動画配信サービス「U-NEXT」独占で配信中の特別番組『謎めぐる旅 ~映画「遠い山なみの光」を読み解く5つのヒント~』全5話をYouTubeにて、期間限定で公開している。2024年6月から始まった本作の撮影舞台裏や、スタッフ・キャストのインタビュー、今年5月のカンヌ国際映画祭の様子などの映像を交えながら、映画で描かれる世界観や 登場人物にまつわる"謎"をさまざまな切り口から掘り下げる。ナレーションは映画にも出演する松下洸平、吉田羊が担当している。9月4日より特別番組の最終話(第5話)が公開され、9月30日まで期間限定で無料公開される。「記憶の秘密」を巡る謎多き本作の解像度を高める内容で、映画を観る前はもちろん、観た後にも楽しめる内容となっている。
(C)『遠い山なみの光』製作委員会
【編集部MEMO】
原作者、エグゼクティブ・プロデューサーのカズオ・イシグロは、本作で描かれる長崎県の出身で、幼年期に渡英したのち、1983年にイギリス国籍を取得。2017年にノーベル文学賞を受賞している。本作以外にも映画化された作品は数多く、『日の名残り』『上海の伯爵夫人』『わたしを離さないで』『生きる LIVING』は、日本でも公開されている。