俳優の堺雅人と井川遥が主演を務める映画『平場の月』(11月14日公開)の主題歌が、歌手の星野源が書き下ろした楽曲「いきどまり」に決定した。あわせて、主題歌をのせた最新予告映像も公開になっている。
『平場の月』は、第32回山本周五郎賞を受賞した朝倉かすみの小説を原作とした作品で、時を経て再会した中学時代の同級生が、様々な人生経験を積んだ上で意気投合し、離れていた歳月を埋め、心を通わせていくさまを描く。
妻と別れ、地元に戻り印刷会社に再就職し、慎ましく、平穏に生活する主人公・青砥健将を演じるのは、映画主演が『DESTINY 鎌倉ものがたり』以来8年ぶりとなる堺雅人。青砥が中学生時代に想いを寄せていた須藤葉子を演じるのは、堺とは『半沢直樹』以来の共演となる井川遥。2人の中学生時代を演じるのは、TBSドラマ『不適切にもほどがある!』のキヨシ役で注目を集めた坂元愛登、ドラマ『あなたを奪ったその日から』での好演も記憶に新しい一色香澄。須藤の妹・前田道子役を演じるのは中村ゆり。青砥が勤める印刷会社の同僚・八十島庄助役にでんでん。青砥の元妻役には吉瀬美智子。そして、青砥の同級生・江口剛役に、堺とは『リーガルハイ・スペシャル』以来、11年振りの共演となる大森南朋の出演も決定している。
この度、主題歌として歌手の星野源が書き下ろした楽曲『いきどまり』の採用が発表された。主題歌ついて、星野、堺、土井裕泰監督からコメントが届いている。
■星野源
ある日、土井監督と那須田プロデューサーが「直に話したい」と僕の作業場まで来てくれました。映画『平場の月』の主題歌を制作して欲しいというオファーでした。
■堺雅人
曲を聴きながら、井川遥さん演じる須藤と過ごしたいろいろなシーンを思い出しました。映画の世界を、月光にも似た淡く優しい光で照らしてくれるような曲ですね。また、「間違いだらけの優しさ」「忘れられぬ呪い」「行き止まりの二人」といった、星野さんが言葉にしてくださったフレーズのおかげで、物語をより理解できた気がします。出演者として本当に嬉しく思います。星野さん、ありがとうございました。
■土井裕泰監督
俳優・星野源とはこれまで何度か仕事をしてきたけれど、勿論そのずっと前から、彼の音楽や文章のファンだった。紛れもない現代のPOPSTARでありながら、その表現のベースには常に市井の人の視線や実感があって、だからこそ彼の眼を通して見た世界はとても信用できる。
この平場の男女の物語は彼の眼にはどんな風に映るのだろうか?ある時、そんな興味に急にとらわれて、多忙な彼に台本を届けに行ってしまった。
数か月経って、ツアーが一段落した彼から返ってきたのは、彼の声とピアノだけのシンプルで美しい曲だった。
「切ない、大人の、恋物語」などという惹句ではとても掬いきれない、愚かしくも愛おしい人間の営みへの眼差しがあって、シニカルなのに温かく、諦念の中にささやかな希望を忘れていない。
この曲をもって完結することができる「平場の月」はなんと幸福な映画だろう。星野源の歌う言葉を、どうか劇場で、最後の一音までもらさずに聴いてほしい。
また、主題歌をのせた最新予告映像も公開となった。地元に戻って平穏に生活する青砥と須藤が再会し、共に過ごす何気ない穏やかな時間の中で、「なんかちょうどいい」距離へと徐々に関係を深めていく様子が映し出される。視線や仕草のひとつひとつにお互いへの特別な感情をにじませる二人。中学時代と現在の姿が折り重なるように描かれ、あの頃と今が静かに呼応する。「私は青砥が一緒にいたいと思うようなやつじゃない」と気持ちを吐露する須藤。「俺はお前と一緒に生きていきたい」とまっすぐに訴える青砥。主題歌『いきどまり』が、交差する青砥と須藤の想いをより鮮明に浮かび上がらせ、優しい光で包み込みながらささやかな希望をもたらす。そして、ナレーションは中学時代の須藤を演じた一色香澄が担当。
(C)2025 映画「平場の月」製作委員会
【編集部MEMO】
メガホンをとった土井裕泰監督は、TBSテレビ・コンテンツ制作局ドラマ制作部所属のテレビドラマの演出家でもあり、映画監督としては、『いま、会いにゆきます』や『ハナミズキ』など、恋愛ドラマの名手として知られる。また、本作の脚本は『ある男』で第46回日本アカデミー賞最優秀脚本賞、第44回ヨコハマ映画祭脚本賞を受賞した向井康介氏が担当している。