電通、電通東日本、電通総研と京都大学は9月10日、ヘルスケア領域における産学連携プロジェクト「evidact(エビダクト)」を始動したと発表した。科学的根拠(エビデンス)に基づくヘルスケア関連商材の開発と普及を目指していくという。


○取り組みの背景

背景には、高齢化が進む中で「治療」だけでなく、予防や健康増進に基づく取り組みの重要性が高まっている一方、ヘルスケア関連商材では科学的根拠の不足が課題とされてきた事情がある。今回の取り組みは、エビデンスを明示した上で商品やサービスの信頼性を高め、社会実装を後押しする狙いがある。

このプロジェクトでは、京都大学の公衆衛生研究者らが保有・評価する予防や健康増進に関する科学的根拠を、企業の新規事業や既存プロダクトの改善に活用し、社会実装を推進する。具体的には、エビデンスの解釈やヘルスケア市場の潮流を学ぶ勉強会、研究者と企業のマッチング支援などを実施するという。

取り扱うエビデンスは、疾患や障害の発生を防ぐ「一次予防」を中心に、生活習慣病、女性や高齢者の健康、メンタルヘルス、行動変容などが対象。

AMEDの「予防・健康づくり基盤事業」の研究成果や、公衆衛生研究者が社会実装に適切と判断した成果を活用し、信頼度を明示して公開する。

エビデンスレベルは原則として、複数群を比較するランダマイズド・コントロールトライアル(RCT)以上を基準とし、薬剤や医療機器など治療を目的とする根拠は対象外とのことだ。
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