第51期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は挑戦者決定トーナメントが進行中。9月19日(金)には佐々木勇気八段―吉池隆真四段の一戦が東京・将棋会館で行われました。
対局の結果、相雁木のねじり合いから抜け出した吉池四段が105手で勝利。強敵を下してベスト8進出を決めています。
○初手合いは相雁木で
本トーナメントは藤井聡太棋王への挑戦権をめぐって総勢33名が争うもの。ベスト4進出者には敗者復活戦の機会が認められる棋王戦ならではの制度が特徴です。両者の初手合いとなった本局は先手となった吉池四段が雁木を採用。相居飛車ではほとんどこれと言えるほどの採用率の高さで、対する後手の佐々木八段も雁木で応じて戦型が決まりました。
先に戦いを起こしたのは吉池四段。「戦いは歩の突き捨てから」の格言通りに歩をぶつけたのは棋王戦初参加の若手らしいはつらつとした指し回し。手順に攻めの主役の桂をさばいて早くも指しやすさを手にしました。先輩らしく「同歩、同歩」と堂々とした受けを見せていた佐々木八段ですが、結果的には素直な対応が裏目に出てしまった形です。
○猛追されつつも逃げ切り
吉池四段が好調に攻め続けるなか佐々木八段も勝負手連発で猛追します。狙われた銀を自玉から遠ざけるように逃がしたのは形にとらわれない好手筋で、金銀を取らせている間に反撃しようという狙い。
佐々木八段が飛車と銀を見捨てて先手玉に肉薄した局面は形勢接近を思わせましたが、最後は吉池四段が読みきりました。竜を切っての王手が決め手に。
終局時刻は19時30分、最後は自玉の詰みを認めた佐々木八段が投了。全体を振り返ると、序盤から軽快な攻めを見せた吉池四段が、終盤で追い込まれつつもなんとか逃げ切った形となりました。佐々木八段としては終盤の時間切迫にも泣かされた格好に。1回戦の豊島将之九段戦に続いて強敵を連破した吉池四段は次戦で前期挑戦者である増田康宏八段と対戦します。
水留啓(将棋情報局)
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