地下アイドルとして活動した後、TikTokで動画投稿を始めたRaia。流行りのダンスやコスプレを経て、もともと好きだったASMRに本格的に挑戦し、“癒しの音”で多くのファンを魅了。
そんなRaiaの活動の根底にあるのは「誰かを癒したい、楽しませたい」という思い。ネタ動画には必ずオチを入れ、恐怖症の方への配慮も忘れない。日常の音を拾い集めて作品にしたり、水色と白を基調とした“天使界隈”のファッションを貫いたりと、その表現は多彩だ。
ゲームに熱中した日々や推しの存在から始まった挑戦は、やがて国内外で支持される大きな力に。10月にはASMR朗読劇にも挑戦するなど、夢中で楽しむ姿勢がRaiaらしさを形づくっている。
○“推し”の影響で地下アイドルに
── ASMRクリエイターとして多くのフォロワーさんがいらっしゃいますが、現在の活動を始める前はどのような活動をされていたんですか?
前も動画投稿をしていて、TikTokが始まった頃は流行りの曲に合わせて踊ったり、コスプレやVlogを中心に投稿していました。
──もともとそういったインフルエンサーのような活動をしていたんですね。
そうですね。さらにさかのぼると、今は「Raia」という名前なんですけど、その前は違う名前で地下アイドルをやっていました。そのグループが解散になったので、名前も変えて心機一転でなにかしよう! と思って、TikTokを始めたんです。
──なるほど。
地下アイドルになろうと思ったきっかけが、実は“推し”の存在で……女優の武田玲奈ちゃんがすごく好きなんですが、玲奈ちゃんが見ている芸能界の世界を見てみたい! という推し活の延長みたいな気持ちでした。
そこから色々調べてみて、アイドルがおもしろそうだなと思って、オーディションを受けました。
──おもしろいきっかけですね。ダンスや歌を習っていたからというわけではなく、憧れの気持ちから飛び込んだんですね。
ライブやイベントをやったりして、とても大変だったんですけど、ファンの人に喜んでもらえるということを初めて経験して、「こんな自分でも人を幸せにできるんだ」と思えたんです。それが嬉しくて、グループ解散後も、どういった形でも表に出て活動したいと考えていました。
○eスポーツチームに所属していた過去 プレイ時間は1,000時間超
──そこからSNSを通じて活動することになったと。Raiaさんは、eスポーツチームにも所属されていたそうですね。
もともとゲームも好きでしたし、活動を始めた時期にコロナ禍になってしまい、リアルイベントの開催などが難しかったので、家でできることとして、ゲーム実況の配信を始めたんです。そうしたら、eスポーツチームの方から声をかけていただいて所属していました。
──その頃はゲーム中心の生活だったんですか?
はい! 一日中やっていました。私がやっていたのは、『ポケモン ユナイト』というタイトルだったのですが、見返したら1,000時間プレイしていました(笑)。
──大会などにも参加されていたりしたんですか?
一応、ストリーマーの枠だったんですけど、「成績を残したい!」と思って、本気で練習していたら、そんな時間に……(笑)。
──1,000時間はすごいですね。そこから現在のASMRの活動に移行していくわけですね。
はい! アイドル時代からASMRが好きで、やりたいと思っていました。ただ、ASMRのマイクって、すごく高い。特に私が好きだった耳かきのASMRで使われている耳型のマイクは、10数万円するので気軽には始められなくて。
あるとき、耳型マイクをお借りできる機会があって初めて挑戦したんですが、あまりうまくできず、不完全燃焼だったので、「もっと練習したい」と思って自分でマイクを買って、本格的に始めました。
○大好きだったASMRに挑戦 大事にしていることは「癒しを与えること」
──実際やってみて、大変だったことはありましたか?
自分が好きな音と視聴者さんが好きな音が違うことも多いので、全員にマッチする音を見つけるのが難しいです。
──逆にASMRのおもしろい部分は?
ASMRって、あとで音を録って編集で合わせる方が多いんです。葉っぱの映像が出ているけど、実際は紙をくしゃくしゃしているとか、映画やゲームの効果音を作っているような感覚で、「これを使ったらどんな音になるんだろう」と試すのが楽しいです。
日常的に“音”に敏感になっていて、「いい音」を探す癖もつきました。
── ASMRというと、食べ物系の動画のイメージが強いですが、それだけではないんですよね。
私はいま、YouTubeで「らいあふれこ」という動画をアップしているんですが、“日常にある音のないものに音をつける”をテーマにやっています。例えば、“清涼”という言葉に炭酸の音とか水の音を合わせてみたりして、私が考える“清涼”を音で表現しています。
――ASMRでのVlogも投稿されていますよね。
Vlogのナレーションを全部ささやき声で撮った「ASMR Vlog」も投稿しています。そのほかにも、もしⅤlog内でいい音がする箇所があれば、そこにも音を入れたり。スパンコールのクッションをもらうVlogのときには、そのクッションを触る音をあえて、動画に入れたりしています。
──本当に様々な形があっておもしろいですね。Raiaさんが活動する上で譲れないポイントはありますか?
「視聴者さんに癒しを与えること」を大事にしています。なので、炎上するようなことはしない! サムネで釣るみたいなこともしないようにしていますし、ネタ動画をやる時も最後にネタばらしを入れます。
あと、先端恐怖症や集合体恐怖症などの方へも配慮するようにしています。最初にそういった注意書きを入れると視聴率が下がるのですが、知らずに見て、嫌な気持ちになる人がいないようにしています。
○言語の壁を越えたASMR、天使界隈などで中国でも人気
──そこまで配慮してコンテンツを作られているんですね。Raiaさんは、国内だけでなく中国でも人気を集めています。
明確に理由はわかっていないのですが、ASMRは言語がわからなくても伝わるものなので、受け入れられたのかなと思います。あとは、ファッションがアニメっぽくて日本的に見えたのも理由なのかなと。
──Raiaさんのファッションは「天使界隈」と呼ばれるジャンルなんですよね。
はい。水色と白を基調にしたファッションです。もともとサブカル系のファッションが好きだったので、「天使界隈」というジャンルを知って、かわいいと思って!
先ほどお話しした地下アイドル時代も担当の色が水色だったので、そこに引っ張られているのかなとも思うのですが(笑)、自分で選んだ色だったので、好きなんだと思います(笑)。
最近では、私服もほとんど水色と白で……(笑)。前はほかの色も持っていたんですが、ほとんど捨ててしまって、常に「天使界隈」として生きています。
――また、Raiaさんは10月4日に「Raia ASMR風朗読劇 ~にびいろの石の二ビー~」を上演されます。今回のASMR朗読劇とはどういったものなんでしょうか?
やったことがないもので、これから作り上げていくのですが、考えていることとしては、自分で劇の内容を作って、それを朗読しながらその場で効果音をつけていくという形でできたらと思っています。
――全部お一人でやるんですね!
だいぶ忙しいです(笑)。来てくれた方が目をつぶりながら聞いて、癒されるようなものを作れたらいいなと思っています。
――物語の構想はあるんですか?
まだ決まっていないのですが、せっかくなら絵本とかにもできたらと考えています。個人的に大人が読んでも学びがある教訓があるストーリーが好きなので、そういった内容にできたらいいなと思っているのと、上演が10月4日の天使の日なので、天使を登場させられたらと……(笑)。
○「絶対公務員になる」と言われていた幼少期 表舞台への憧れも
――新しい挑戦になりますが、どんな仕上がりになるか楽しみですね! これまではRaiaさんの活動や経歴について語っていただきましたが、幼少期などについてもお伺いできればと思います。幼少期はどんな子どもでしたか?
引っ込み思案でした。ただ、テレビに出ている人や雑誌に載っている人への憧れはあったので、『ちゃお』のオーディションに応募したりはしていました(笑)。
矛盾しているんですけど、学校では目立ちたくないタイプで、真面目で遅刻もしないし、宿題も出すタイプでした。高校時代の友達には「絶対公務員になるよね」と言われていたので、今こういう仕事をしていると話すと驚かれます。
──部活は何かやっていましたか?
中学はバドミントン部で、高校は軽音楽部でドラムをやっていました。
──学生時代に一番ハマっていたものは?
やっぱり“推し”の武田玲奈ちゃんです。雑誌を毎月買ったり、イベントに行ったり、バイト代を全部つぎ込んでいて、認知をしてもらえるくらいには熱烈に応援させてもらっていました。
――武田さんを推すきっかけはなんだったでしょうか?
当時、玲奈ちゃんがファッション雑誌の読者モデルをやっていて、見た目がかわいくて好きになりました。アニメが好きだったり、オタクな一面もあって、私も当時アニメが大好きだったので、親近感もあって、ハマってしまいました。
実は最近あまりイベントには行けていなかったんですが、先日写真集のイベントがあって、写真集を買うとチェキが撮れるということだったので、どうしても撮りたくて参加してきました(笑)。
そうしたら、私のインスタグラムを見て活動のことを知ってくれていたみたいで! いつかコラボしてほしいです! とお伝えさせていただきました。
──今後の目標は?
いま『ひみつのアイプリ』という女児向けのアニメにハマっていて、先日イベントに遊びに行ったら、私の動画を見てくれているファンの子がたくさんいて! この日に行くとも言っていなかったのに、1日で50人以上に声をかけてもらったんです。
なので、子どもたちにも楽しんでもらえるコンテンツもやっていきたいですし、自分の好きなものと関われるようなお仕事もしてみたいです。
■Raia
3月29日生まれ。神奈川県出身。TikTokを中心に活動するASMRクリエイター。地下アイドル活動を経て、2019年頃より動画投稿を開始。女子プロeスポーツチームへの参加や、コスプレイヤーとしての活動を経た後に、お菓子動画でブレイクしたのをきっかけにクリエイター活動を本格的に始める。現在はASMRとVlogを融合させた、オリジナルコンテンツで国内外から支持を集める。10月4日には、東京・高円寺シアターバッカスにて、「Raia ASMR風朗読劇 ~にびいろの石の二ビー~」を上演予定。