俳優の坂口健太郎と渡辺謙の共演による映画『盤上の向日葵』(10月31日公開)の主題歌を手がけるサザンオールスターズの『暮れゆく街のふたり』をフィーチャーした特別映像が公開となった。この主題歌の口笛バージョンの存在も明らかになり、本編の重要なシーンに劇中曲として流れることがアナウンスされた。
『盤上の向日葵』は、推理作家・柚月裕子氏の同名小説を原作としたヒューマンミステリー。とある山中で身元不明の白骨死体が発見されるのだが、事件の手掛かりは死体とともに発見された高価な将棋の駒。捜査の末、その駒の持ち主は、将棋界に彗星のごとく現れ時代の寵児となった天才棋士、上条桂介(坂口健太郎)だと判明する。さらに捜査の過程で、桂介の過去を知る重要人物として、「賭け将棋」で圧倒的な実力を持ちながら裏社会に生きた男、東明重慶(渡辺謙)の存在が浮かび上がる。
この度、サザンオールスターズが担当する主題歌『暮れゆく街のふたり』をフィーチャーした特別映像が公開となった。また、エンドロールでのみ流れる予定だった同曲が「口笛バージョン」として録音されていることが明らかになり、本編の重要なシーンに劇中曲として流れることが決定した。桑田佳祐が主題歌を映画の劇中曲として特別アレンジすることは、今回が初となる。
完成直前の本編を見た桑田佳祐は楽曲提供を快諾し、最新オリジナルアルバム『THANK YOU SO MUCH』のために制作を進めていた楽曲のひとつ『暮れゆく街のふたり』を「主題歌にしていただくのはどうか?」と提案。人間の情念を支える力強い声と、ドラマ性に満ちた楽曲の世界は、物語のラストシーンからエンドロールに寄り添い、映画の内容と余韻を深める印象的な主題歌として本編の締めにピッタリとはまった。だが、熊澤尚人監督やプロデューサー陣の仕事は、ここで終わりではなかった。
『暮れゆく街のふたり』の作詞・作曲をした桑田佳祐が、楽曲制作に着手した当初、仮歌として歌ではなく口笛を吹き込んでいた、という裏話を聞いた製作陣は、主題歌チームと相談しつつ、「口笛を本編に活かすことは出来ないか?」と、完成させたばかりの映画を編集し直すことを決断する。物語の中盤、生き方を模索していた主人公・桂介が、故郷にも通ずるような向日葵畑で亡くなった母を思い出す。
桑田は「仮歌を口笛でやっていて、これがいいという話になりまして、ツアー中に口笛を入れ直しましたんですよ。それが向日葵畑のシーンで使われることになりました」と、自身のラジオ番組で経緯を語りつつ「またあらためて、劇場で観ようと思います」と自らの言葉でリスナーたちに向けて、完成版への大きな期待をにじませた。熊澤尚人監督は「このように別バージョンの楽曲を特別に作っていただけることは、普通はないとのこと。映画の中でポイントになる、主人公の決断をこの曲で盛り上げることができたのは、大変嬉しいことでした」と感激を隠さない。
劇中曲の発表ともに「主題歌特別劇映像」が公開となった。サザンオールスターズによる主題歌はもちろん、初公開となる場面が印象的に盛り込まれている。
また、「主題歌特別劇映像」を60秒にカットダウンしたバージョンが、10月3日から10月30日まで、全国の SMT系映画館で全スクリーンの幕間映像として流れることになっている。
(C)2025映画「盤上の向日葵」製作委員会
【編集部MEMO】
推理作家・柚月裕子氏の同名小説を原作とする本作は、2019年にNHK BSプレミアムにてテレビドラマ版が放送されている。もともとは2015年から2017年にかけて『読売プレミアム』にて掲載されていた連載小説で、2017年8月に中央公論新社から単行本として刊行された。第15回本屋大賞では、第2位にランクイン。また、2022年10月からコミックウォーカーとニコニコ静画の『COMIC_Hu』にてコミカライズもされている。