メルカリは10月9日、同社が定め2021年より公開している「マーケットプレイスの基本原則」の考え方と、新たに定めた対応方針に関する議論の経緯をまとめたホワイトペーパーを公開。同日に記者説明会を行った。


説明会では、需要の高まった商品の価格高騰や詐欺出品が横行する転売問題について、今後どういった基準で対応していくのか、「Nintendo Switch 2」の事例を元に解説された。

「マーケットプレイスの基本原則」は、コロナ禍におけるマスク・消毒液の転売をきっかけに作られたもので、策定から5年が経過。プレミアのついた商品の不正出品や、転売問題に端を発した誹謗中傷の発生により、基本原則だけでは判断が難しい場面が多くなってきたという。そこで、メルカリとしてどういった基準で個々の問題に対応するかという明確な基準を定めることになった。

同社は7月と9月に外部識者を招いて行った「第5回マーケットプレイスのあり方に関するアドバイザリーボード」での議論を踏まえ、マーケットプレイス内の安心・安全が著しく損なわれる可能性がある商品については、メルカリの経営判断として個別に出品禁止などを含む対応を実施する方針を策定した。

直近の事例として、メルカリで転売騒動が起こった「Nintendo Switch 2」の発売当時の対応について振り返りが行われた。

「マーケットプレイスの基本原則」に基づき、発売当時メルカリではSwitch 2そのものを禁止対象とはしなかった。代わりにメルカリ・任天堂両社による注意喚起や規約違反の出品削除、詐欺や取引トラブルには対応と補償を実施、高額取引にeKYCによる本人確認を必須として価格の高騰を抑制した。

アドバイザリーボードに参加した外部有識者からは、「会社の評判を守る観点からは別の対応もあり得たかもしれない」「株式市場の取引一時停止のように、一時的に価格上限を設ける対応なら基本原則の範囲内で当然できるのでは」といったコメントが寄せられた。
実際、Switch 2発売当時のメルカリでは本体の箱のみ、絵や写真、それらしく見せかけた商品、旧機種などの誤認を狙った出品が行われたため、そうした出品は削除。また、出品者のコメント欄に誹謗中傷の投稿があった場合、投稿アカウントの利用制限を行った。

結果として、Switch 2の転売問題により、メルカリのマーケットプレイスとしての安心・安全が著しく損なわれた。
このため、発売当時においてSwitch 2は出品禁止すべきだったと結論付け、今後は迅速に対応できるよう基本原則の枠外で個別の出品禁止措置などを行う方針が固まった。

また、メルカリは利用規約を10月22日付で改定すると予告。同社が指定した法人以外の事業者はメルカリの利用を禁止し、法人向けサービス「メルカリShops」に登録するように規約へ明記した。これにより、転売で常習的に利益を得ていたいわゆる「転売ヤー」への抑止力になるとみられている。

説明会では、Switch 2のほかマクドナルドのハッピーセットの転売問題に関する質問も上がったが、「基本原則にのっとり、お客様の安心・安全を損なうか否かで判断する」との説明が繰り返された。

いたちごっこが続く転売問題。今回の方針明確化により、「また転売ヤーか」と落胆するユーザーのイメージを覆すような対策の徹底を望みたい。
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