「PORTER」「LUGGAGE LABEL」などのブランドを手がける「吉田カバン」が、今年で創業90周年を迎えた。カバンから財布、小物類に至るまで、幅広いプロダクトを展開するメイドインジャパンのトップメーカーだけに、同社のアイテムを手にしたことがある人も多いだろう。


数多く展開されるオフィシャルストアの中でも、ブランドの世界観を表現しているのがフラッグシップストア「PORTER OMOTESANDO(ポーター 表参道)」(東京都渋谷区神宮前5-6-8)だ。そんな吉田カバンが誇るフラッグシップストアの魅力やここでしか味わえない体験とは? 副店長の石田さんに詳しく教えてもらった。

○高級ホテルのような落ち着いた佇まい

東京・表参道の閑静な路地裏に、吉田カバン初のフラッグシップストアとして2000年に誕生した「PORTER OMOTESANDO(ポーター 表参道)」。

吉田カバン創業80周年の2015年には、ホテルのロビーをイメージした内装にリニューアルした。これはメインブランド「PORTER」の由来でもある、ホテルで宿泊客の荷物を預かる"ポーター"からインスピレーションを受けているという。

その言葉通り、1階フロアは内装をはじめ、ライトや小物類など、ホテルのロビーを彷彿とさせる仕掛けが盛りだくさん。なかでも印象的なのが、会計カウンターだ。

壁面にはルームキーをかけておく棚をイメージしたスペースが設けられる他、「PORTER」の金看板を配置することで、ホテルフロントを表現している。

螺旋階段でつながる2階フロアはホテルギャラリーをイメージした作りになっており、1階とは少々趣が異なる。高級感のあるフロアでは、ビジネスバックやレザーアイテムがまるでアート作品のように鎮座する。

また、店内には不定期で企画内容が変わるギャラリースペースが常設される。ここでは最新アイテムのインスタレーションや、スターバックスなど他業態とのコラボイベントが開催されるので、訪れた際は必ずチェックしておきたい。


○注目アイテムをピックアップ

石田さんによれば、フラッグシップストアという位置付けもあって限定アイテムの取り揃えが特に多いという「PORTER OMOTESANDO(ポーター 表参道)」。

その中から最初にピックアップしたのが、ウッドランドパターンのカモフラージュ柄をベースに、絶妙な濃淡の差を表現したオリジナルカラーで製作される「カウンターシェイド」だ。

バッグからウォレットまでとバリエーションに富んだアイテム展開も魅力の「カウンターシェイド」は、フラッグシップストア限定アイテムの中でも人気シリーズ。落ち着いたカモフラージュ柄は性別や年齢に関係なく使用できるアイテムとなっている。

次に、レザーアイテムからGLAZEシリーズをピックアップ。イタリアの老舗タンナー・ワルピエの「ブッテーロ」に型押しし、1枚1枚職人が丁寧に手染めとグレージング加工を施す。使い込むほどに艶が増し、経年変化が楽しめるアイテムは、世代を問わず人気が高い。

また、あまり知られていないというが、馬蹄形のコインケースやラゲッジタグに星座の型抜きやアルファベットを刻印するカスタマイズサービスも、フラッグシップストアらしい特別感が得られてオススメ。どちらも日頃手にする機会の多いアイテムだけに、オリジナルのカスタマイズを施せば愛着もひとしおだ。

○実店舗だからこそ得られる2つの体験

吉田カバンでは「フラッグシップストア」の他にも、「PORTER EXCHANGE(ポーター エクスチェンジ)」「KURA CHIKA by PORTER(クラチカ バイ ポーター)」「PORTER STAND(ポーター スタンド)」など、コンセプトの異なるストアを展開している。石田さんは、各ストアの特徴を次のように話す。

「『PORTER EXCHANGE(ポーター エクスチェンジ)』は、PORTERを代表するシリーズ「TANKER」と、PORTER EXCHANGE限定シリーズ「PX TANKER」を取り揃えています」

「『KURA CHIKA by PORTER(クラチカ バイ ポーター)』はお客様が足を運びやすいストアです。
駅ビルなどアクセスの良い場所(ロケーション)に出店しており、気軽に立ち寄ることができるのも魅力です」

「品川駅や京都三年坂などの『PORTER STAND(ポーター スタンド)』は人の通りが多い場所に出店していることもあって、バッグに精通したスタッフとお客様が交わる場所がコンセプトです。定番ラインは確保しつつ雑貨類の限定アイテムが豊富なことも特徴で、『任天堂』製作のオリジナルプレイングカード(トランプ)や猿田彦珈琲とコラボレーションしたドリップコーヒーなど、旅を楽しくするアイテムも並びます」

それぞれの個性が際立つポーターストア、訪れる店舗に迷ったら、「ホームページのショップ概要欄に載せている写真や、SNSの投稿を見ていただきながらお探していただくのも1つの手だと思います」とのこと。

例えば、「PORTER OMOTESANDO(ポーター 表参道)」では、新アイテムや不定期開催するイベントなどの情報をホームページやSNSで発信している。

「実はスタッフのショップコート(制服)やショッピングバッグ、ラッピングもストアのコンセプトによって少しずつ違うので、複数店舗を巡っていただいても楽しいと思います。特に目的がない場合は、『PORTER OMOTESANDO(ポーター 表参道)』に来ていただくと探しやすいと思います」

コロナ禍以降、オンラインショッピングが飛躍的に伸びている。ブランド品も自宅にいながら購入できる時代にあって、実店舗の魅力はどこにあるのか。石田さんに聞いてみた。

「個人的には体験というところにあると思います。体験にも2つあると考えていて、1つは商品の体験です。実際に足を運んでその店舗の空間も楽しみながら、商品の手触りを楽しんでいただく。特にポーターは100シリーズ以上を展開しているので、実際に手触りやポケットがどう違うのかといったところを楽しんでいただけるのは魅力の1つだと思います。もう1つが接客の体験です。
弊社には知識が豊富なスタッフが多く在籍し、話し出したら止まらない熱い思いを持ったスタッフもたくさんおります。具体的に何が欲しいかわからない時でも気軽にご相談いただければ、一緒にお探しもできるのも実店舗ならではの魅力かなと思います」

今後も90周年限定モデルの販売やイベント開催を予定する「PORTER OMOTESANDO(ポーター 表参道)」。フラッグシップストアらしい特別な体験を提供してくれるに違いない。
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