昭和レトロブームの広がりとともに、二次流通市場で人気を集めているのが「ナショナル(現パナソニック)の扇風機」だ。ポイントは"青いプラスチックの羽根"。
昭和の記憶を象徴するアイコンとして再評価されているという。驚くべきは、動かない個体(不動品)でさえ売れるという点。買取業の「買いクル」を運営する株式会社RCのCSO・島津大輔氏に、その人気の背景を聞いた。

――「ナショナルの扇風機」、実際に買取現場で出会うことは多いのでしょうか?

出張買取や遺品整理のお手伝いなどで、まだまだ目にする機会があります。押し入れや依頼者のご実家に眠っているケースが多く、出品が増えています。

当時の扇風機の中でも特に「青いプラスチック羽根(通称:青ハネ)」は、昭和の記憶に直結する見た目で、インテリア需要が旺盛です。

――動かない扇風機でも売れるというのは本当ですか?

個人のコレクターが買い求めるだけでなく、昭和の世界観づくりの"ディスプレイ"として需要があります。カフェや古民家リノベ物件の演出、テレビ番組・CM・映画の小道具用途でニーズが継続しています。もちろん動作品は評価が高いですが、インテリア目的なら不動品でも成立するのです。

――扇風機は"ナショナル製"である必要があるんでしょうか?

市場では、ナショナルの流通量・知名度が頭一つ抜けていますが、"青い羽根"というビジュアル自体が強い訴求力を持つため、他社品でもチャンスはあります。

一般的な青ハネのナショナル扇風機は、状態次第ですが3,000~5,000円が相場の目安です。羽根の色抜け・欠けが少ない個体はプラス評価となります。
ガードや土台のサビ・黄ばみの程度も価格に影響します。

――"青い羽根"であることは絶対条件なのでしょうか?

当時は赤や緑、ベージュの羽根なども存在し、レトロ感があれば同様の相場で売れることがありますが、青に比べるとやや弱めです。

ただし「メタルガード」(金属製ガード)モデルは希少性が高く、コレクター需要が強いので、直径の大きいタイプで10万~30万円クラスの成約例もあります。流通量の少なさがダイレクトに値付けに反映されていますね。

押し入れの一台が、カフェの主役や映像作品の小道具に生まれ変わるかもしれない。まずは羽根の色とガードの材質、外観コンディションをチェックし、丁寧な写真と説明で出品してみてほしい。

島津大輔 しまづだいすけ 株式会社RC CSO/フランチャイズ 本部責任者、SevenStarsIslands株式会社 SNS事業責任者、買いクル本部 中学・高校・大学 特別授業講師。2018年、出張買取サービス「買いクル」初期立ち上げメンバーとして株式会社RCに参画。買いクルフランチャイズ全国122拠点への展開・教育体制構築に貢献し、2024年から現職。外部の企業PR、新サービス開発コンサルティング事業にも携わり、事業開発と現場支援を両立。SNS講師として教育機関・自治体・企業研修で登壇実績多数。 この著者の記事一覧はこちら
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