フジサンケイグループの日本美術協会が主催する「第36回高松宮殿下記念世界文化賞」の授賞式典が22日、都内で行われ、岸田文雄元首相が祝辞を述べた。

芸術・文化の分野で優れた功績をあげた人に贈られる「世界文化賞」。
今年は、ピーター・ドイグ氏(絵画部門)、マリーナ・アブラモヴィッチ氏(彫刻部門)、エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ氏(建築部門)、アンドラーシュ・シフ氏(音楽部門)、アンヌ・テレサ・ドウ・ケースマイケル氏(演劇・映像部門)、ナショナル・ユース・シアター(若手芸術家奨励制度)が受賞した。

岸田元首相は「日本では、今月閉幕した大阪・関西万博や、来月開催予定の東京2025デフリンピックなど、多様性を称賛しながら国際的なつながりを体験できる機会が続いています。これらは文化の力、未来の創造、国際社会を強力に寄与するかけがえのない場であり、国境や民族を超えてお互いを称える、この世界文化賞と志を同じくするものだと考えます。自由で開かれた国際秩序の維持強化はもとより、核軍縮不拡散、感染症対策、気候変動など、地球規模の課題の解決に向け、世界的視座に立った取り組みが今、求められています。世界文化賞が、国際理解を基本理念としながら、文化芸術の普及と発展に寄与するとともに、受賞された皆様が引き続き、ご研鑽とご活躍を重ねることで、国際社会との相互理解、他者との共感が促進され、世界平和の礎になっていくことを期待しております」と挨拶。

日本美術協会総裁の常陸宮殿下のお言葉を代読した常陸宮妃華子さまは「世界は今、各地で紛争が収まらず、人々はますます心の平安を必要としています。今こそ、国境や人種を超えて人々の心をつなぐ、芸術の力が求められています。この度の受賞お祝いするとともに、今度一層の研鑽を重ねられ、さらなる業績を上げられますことを願ってやみません」と述べられた。

なお、日本美術協会の日枝久会長は、体調不良のため欠席。代理として主催者挨拶に立った熊坂隆光評議員は「世界は分断と対立の深まりによって、混迷を極めております。こうした時代だからこそ、私どもは世界文化賞を通じて、芸術文化のさらなる振興に努め、世界の平和と繁栄に少しでも貢献してまいりたいと願っております」と話した。

ほかにも、ヒラリー・クリントン氏ら国際顧問がスピーチし、受賞者への祝辞を述べた。
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