米Microsoftは10月23日(現地時間)、Copilotの秋のアップデート「Copilot Fall Release」を発表した。音声対話時に表情や色で反応する新キャラクター「Mico」など、合計12の新機能や改善・強化を導入する。
同社は、人に寄り添う“人間中心の設計”を掲げ、個人の創造性や判断を支えるAI体験を広げる狙いを示した。まず米国で提供を開始し、数週間をかけて英国、カナダ、その他地域にも展開する。

Mico(Microsoft Copilotが名前の由来)はCopilotの音声モードで現れるキャラクターであり、利用者の発話に呼応して表情や色合いが変化する。

Micoに対して、かつてMicrosoft Officeに搭載されていたアシスタント「Clippy(クリッピー)」を想起させるとの声が上がっている。従来のテキスト中心のアシスタントに温かみや共感のニュアンスを加え、対話をより自然に感じさせる狙いがある。 MicrosoftはAIを「ユーザーの役に立ち、支えるパーソナルな存在」と位置づけている。

Copilotの秋のアップデートでは、すでに発表されているWindows 11のCopilotアップデートや、Microsoft Edgeの「Copilot Mode in Edge」の新機能のほか、以下のような強化が行われる。

Groups:最大32人の参加者で、同時にブレインストーミングや共同執筆などの作業を行える共有Copilotセッション。スレッド要約、投票集計、タスク分割、決定事項の要約、未完了アクションの追跡など、Copilotは共同作業を多面的に支援する。

Imagine:AI生成コンテンツの作成とリミックスのためのコラボレーションハブ。企業環境では、ビジュアル、マーケティング原稿、トレーニング資料などの迅速なプロトタイピングを可能にする。

Real Talk:ユーザーのコミュニケーションスタイルに適応し、適切な返答を提供する。


メモリとパーソナライゼーション:長期メモリ機能により、ユーザーの考えやToDoリストを記憶し、過去の会話に基づいて提案できる。たとえば、マラソンのトレーニングを記録し、長期的なトレーニングプランや目標に沿った対話が可能になる。

コネクタ:OneDrive、Outlook、Gmail、Googleドライブ、Googleカレンダーと接続し、サービスを横断した自然言語検索を行える。

プロアクティブアクション (プレビュー):最近のアクティビティやリサーチ内容に基づき、適切なタイミングで洞察を提示し、次のステップを提案する。Copilotが「質問への反応」から「先回りした支援」へと進化し、作業を効率的に前進させる新たな方法である。

Copilot for Health(米国):健康関連の質問に対応。Harvard Healthなど信頼できるソースに基づく情報基盤が改善された。

Learn Live:質問、ビジュアル、ホワイトボードを使用した音声対応のソクラテス式学習体験(答えを直接教えるのではなく、質問を通して学習者に考えさせ、理解を深めさせる)。

Copilot Pages(コラボレーション用のキャンバス):複数ファイルのアップロードに対応、文書、画像、テキスト形式で最大20ファイルを扱える。

Copilot Search:AIが生成した回答と従来の検索結果を1つのビューに統合し、引用付きの明確な回答を提示することで、迅速かつ信頼性の高い検索体験を提供する。

秋のアップデートは、MicrosoftがCopilotを“生産性ツール”から“文脈を理解して支援する基盤”へと拡張しつつあることを示している。Windows、Edge、Microsoft 365にまたがる形で、共同で考え、学び、創造する体験を統合し、ユーザーの判断と創造性を支援する方向性を打ち出している。
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