M5チップを搭載したMacBook Proが登場しました。AIを中心に処理性能が高められ、生成AIApple Intelligenceがよりスピーディに活用できるようになりました。
M1以前の世代のMacBookから買い替えれば、仕事や趣味で性能アップを存分に体感できるでしょう。

ですが、日ごろWindowsを活用している人にもぜひ注目してほしいと感じます。「Parallels Desktop」を導入すればMacでWindows 11が動き、多くのWindowsソフトが使えるようになるからです。しかも、トラックパッドやキーボードの操作感、美しい表示の液晶パネル、パンチのある音を響かせるスピーカーなどは、多くのWindowsノートを上回る仕上がりなのです。

macOSとWindowsの両方を同時に動かせるのは、ピュアなWindowsパソコンにはできないMacだけの特権。iPhoneを使っているなら、iPhoneと親和性の高いMacが使えると何かと便利なのは間違いありません。Macだけに許された“二刀流”の魅力、Windowsユーザーにも体験してほしいと感じます。

M5チップ搭載でAIまわりの処理性能が特に向上

M4モデルの登場から1年経たずに一新したMacBook Pro、大きな変化はM5チップの搭載にあります。処理性能やグラフィックス性能以上に力が注がれたのがAI性能の強化で、AI処理を加速するNeural AcceleratorをGPUに追加したほか、Neural Engineを高速化するなどして、オンデバイスのAI処理パフォーマンスを高めています。Apple Intelligenceはもちろん、生成AIをオンデバイスで処理するアプリがより高速に使えるようになります。

SSDやメモリーの読み書きも高速化され、全体にパフォーマンスが底上げされたのも見逃せません。
M5の高性能を生かしてWindowsも快適に使える!

このように性能が向上したM5 MacBook Pro、AI時代にふさわしい高性能Macに仕上がっていますが、これほどの性能を持つ1台をMacとしてしか使わないのは実にもったいないのです。


Mシリーズを搭載したMacは、Alludo(アルード、旧コーレル)のユーティリティソフト「Parallels Desktop」を導入することでWindows 11も動かせるようになります。以前アップルが提供していた「BootCamp」のようにそれぞれを切り替えて使うのではなく、macOS上でWindowsが動くので両方のOSが同時に使え、ファイルも共有できます。

macOSとWindows 11はトラックパッドの左右スワイプで切り替えられますが、ユニークなのが「Coherence」機能。WindowsのソフトをmacOS上にウインドウで表示し、まるでmacOS用のソフトのように使えるようになります。「メインの作業はmacOS用のソフトを利用するが、特定のソフトだけはWindows版を使わなければならない」といった用途では、とても便利に活躍してくれます。

macOSとWindowsの両方のOSを動かしてもバッテリーが急に減ることもなく、本体が熱を持つこともなく、実用性も不満はありません。

実際に、Parallels Desktopを導入したM5 MacBook ProにさまざまなWindows版ソフトを入れてみたところ、いろいろなソフトが軽快に動作しました。純粋な高性能Windowsパソコンと遜色ない軽快さで、SSDが高速になったので大容量データの読み書きもスピーディーで待たされません。

ビジネスソフトや各種ユーティリティをはじめ、多くのソフトが問題なく動きますが、ゲームだけはグラフィックスまわりの制約で動かないものが少なからずあります。3Dグラフィックスを駆使した重量級ゲームを遊びたい人は、本物のWindowsパソコンを使うのがよいでしょう。

古くからのWindowsユーザーで愛用する人が多いジャストシステムの日本語変換IME「ATOK」も、現時点でArm版Windowsでは動作しないため、Parallels Desktop環境でも利用できません。こちらはジャストシステムの対応待ちですが、ジャストシステムは毎年2月に新製品を発表することから、2026年のタイミングでArm対応を発表する可能性も期待できます。

コストダウンとは無縁の装備でWindowsを操れる!

単にWindowsが動くだけでなく、MacBook Proならではの作りの良さをWindows環境で堪能できることも見逃せません。指の動きに吸い付くようにポインターが動かせるトラックパッド、打鍵感に優れ日本語配列でも無理のない配列のキーボード、美しい発色で広い視野角の液晶パネル、質感の高いアルミボディ、Bluetoothスピーカーはいらないと思えるほどパンチのあるサウンドを響かせる内蔵スピーカー、冷却ファンが回っても静かな点、本体を押さえないでも液晶が開けられることなど、さまざまな点が挙げられます。

どれもMacBookユーザーにとっては当たり前なことばかりですが、Windowsパソコンでここまで上質な造りに仕上げた機種はなかなかありません。慣れ親しんだWindowsをMacBook Proで使うと「トラックパッドやキーボードが扱いやすい!」「画面が驚くほどきれい!」とインパクトを受けると思います。

ひとつ注意したいのが、Windowsパソコンにある「PrtSc」など一部のキーがMacBook Proには備わっていないこと。スクリーンショットは、macOSの作法で「command」+「shift」+「3」でできますが、それ以外のキーが必要になった場合はWindows対応の外付けキーボードを接続するのがよいでしょう。

サブスク費用はかかるが、キャンペーンをうまく利用すべし

費用については、Parallels Desktopが1年間のサブスクリプションで年11,500円かかり、Windows 11 ProのOSが28,380円(Microsoft Storeでの価格)するので、初期コストはある程度かかります。ただ、Parallels Desktopはよくキャンペーンを実施しており、現在も通常価格の45%引きで1年間のサブスクリプションが利用できます。年11,500円のサブスクリプションが6,325円に割り引かれるので、OSと合わせても約35,000円でWindowsが使い始められます。

【お詫びと訂正のお知らせ】記事の初出時、Parallels Desktopの対応OSを誤って記載していました。対応OSはWindows 11 Proのみとなります。お詫びして訂正いたします。
記事は修正済みです。(2025年10月26日 21:00)

また、macOSに加えてWindows関連のデータやソフトも保存するため、MacBook Proの内蔵SSDは1TB以上の容量はほしいところ。ただ、Parallels DesktopはWindowsのデータを外付けSSDに置くことも可能なので、できるだけ高速な外付けSSDを購入して使えば、MacBook Proの内蔵SSDの消費を抑えつつ、Windows用のストレージ領域を十分に確保できます。

以前と比べてWindowsとMacの両プラットフォーム版を用意するソフトが増えましたが、それでもWindows版しかないソフトもまだ少なからず存在します。ふだんMacを使っていて、仕事でWindowsのソフトを使わなければならない場合も、MacがあればわざわざWindowsパソコンを別に買う必要はありません。2台持ち歩いたり設置する必要がなく、トータルでは出費も抑えられコスパも高くなります。性能が高まったM5搭載MacBook Pro、Macだけに許された“二刀流”で2倍活用してみては?
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