都内で開催中の「第38回東京国際映画祭」(TIFF)で29日、映画『TOKYOタクシー』(11月21日公開)の舞台挨拶が行われた、倍賞千恵子、木村拓哉、山田洋次監督が登壇。同映画祭の特別功労賞を受賞した山田監督にトロフィーと花束が贈られた。


山田監督は「長生きしたからたくさん映画も撮ってきてしまった。そのことで今日褒められてこんな賞をいただけたんだと、戸惑いながらも思っております」とコメント。

「僕が映画界に入った頃、助監督として撮影所に入ったんだけど、今から70年近く前ですよね。その頃の日本映画は本当に充実していた。まさしく日本映画の黄金時代だなと思います。まだテレビがそれほど普及してなかったし、アジア諸国がほとんど映画らしい映画を作っていない時代でした。だから、映画には大勢の観客が集まり、娯楽の王者と言ってよかった。その頃の映画界は今思うと豊かだったなと、とてもゆとりがあったなと思います」と映画界に入った頃の日本映画の盛り上がりを振り返った。

続けて、「その時代から比べると今は本当に厳しい時代で、今の映画人はみんなとても苦労しながら映画を撮っている。時々かわいそうだと思うことすらあります」と今の映画界の状況に言及。「そういう時代であるからこそ、こういう映画祭が催されて、映画はなんて素晴らしいだろうということをもう1回、日本はもちろん世界中の人たちと一緒に考える、そして映画を鑑賞する、映画を称える、そういう催しがあることを本当に感謝しています。これからもこの映画祭が大きい実りを日本の映画界に与え続けてくれること心から期待してやみません」と同映画祭への思いを語った。


第38回東京国際映画祭のセンターピース作品に選出された『TOKYOタクシー』は、山田洋次監督の91本目となる最新作で、2022年に公開され、スマッシュヒットを記録した『パリタクシー』の日本版リメイク。タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、高野すみれ(倍賞千恵子)を東京・柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設まで送ることになり、その道中で起こるさまざまな出来事、すみれに起こった過去が描かれる。
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