Googleは10月29日(現地時間)、同社が提供するリサーチ・ライティング支援ツール「NotebookLM」のアップデートを発表した。最新のGeminiモデルを採用。
全プランで100万トークンのコンテキストウィンドウをフル活用できるようになり、チャット回答のカスタマイズ機能が全ユーザーに開放された。より強力で専門的なニーズに応えられるリサーチパートナーに進化した。

Googleによれば、NotebookLMのAIチャットの基盤に「最新のGeminiモデル」が導入された。これにより、応答性能、回答品質、文脈理解が向上したという。新たな基盤モデルの詳細は明かされていないが、“最新”という表現からGemini 2.5系である可能性がある(従来はGemini 1.5 Pro)。

コンテキストウィンドウのトークン数は、AIが対話で「記憶」しておける情報の上限を指す。100万トークンを利用できることで、大規模な資料やデータを扱う際の分析精度と一貫性が向上する。文脈を保持したまま複数回のやり取りを行う「マルチターン会話」におけるメモリ容量も6倍以上に拡大し、 長い対話を続けてもAIが初期の指示を見失わずに整合性のある応答を維持できる。

NotebookLMは、ユーザーが追加したノートや資料を検索・要約・参照しながら生成する「RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)」を採用している。この仕組みにより、AIのハルシネーションを抑制し、ソースが明確な情報やユーザー固有の資料を反映した回答を生成できる。

今回のアップデートでは、このRAGの精度も向上した。プロンプト(指示)に対し、AIが自動的に複数の視点から資料を探索・分析し、よりニュアンスに富んだ、深い洞察を含む回答を生成できるようになった。
特に、資料量が多く複雑なノートを扱い、より高い文脈理解が求められるケースで効果を発揮するという。

Googleは社内テストにおいて、膨大な資料を扱った回答に対するユーザー満足度が従来比で50%向上したと報告している。

チャットの回答のカスタマイズでは、チャットAIの「ペルソナ(役割)」や目標を設定して、用途に応じた回答スタイルを指定できる。たとえば、チャットAIを「博士課程の学生」として厳密な仮説検証を促したり、「マーケティングストラテジスト」として具体的な戦略を提案してもらうといった設定が可能である。カスタマイズは、[チャット] パネルの[チャットを設定] から行える。

また、会話履歴の自動保存が追加される(今後1週間をかけて展開)。セッション終了後に再開しても会話履歴は失われないため、長期プロジェクトを継続しやすくなる。
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