2025年10月17~19日、アメリカ カリフォルニア州サンディエゴにて、動画配信サービス「Twitch」のコミュニティイベント「TwitchCon 2025」が開催されました。
今年で10周年を迎えたTwitchConは、サンディエゴではすっかり定番化した年次イベントとなっています。
世界各国から、Twitchで配信をしているストリーマーや関連企業、さらに視聴者が一堂に介し、ライブイベントやストリーマーによるワークショップ、ストリーマーとのミート&グリート、スポンサー企業による体験ブース、ゲームの対戦会、ナイトパーティ、コスプレイベントなど、多岐に渡るイベントを開催。まさに、Twitchや動画配信の祭典といったところです。
今回はTwitchCon 2025初日と2日目の2日間取材し、その様子をレポートします。
CEOダン・クランシー氏がTwitchの新しい取り組みを発表
初日の開演と共に、オープニングセレモニーと基調講演が行われました。オープニングセレモニーではDJのDIPLOが演奏を披露。基調講演ではCEOのダン・クランシー氏が登壇し、さまざまな発表がなされました。
最初はモバイルアプリによるデュアルフォーマット配信の説明。デュアルフォーマット配信は、縦画面と横画面の両方のフォーマットで同時に配信できるサービスです。
2025年初めにTwitchConロッテルダムで発表され、8月から一部のストリーマーによるテスト配信が始まっています。テスト配信によりβテストに移行する準備が整い、希望者の中から承認されたストリーマーがデュアルフォーマット配信を試すことができるようになります。
次にMeta製AIグラスへの対応です。
他にも、クリップ機能の強化や連続視聴記録、ミラー配信の合計視聴者数の表示、ストリーマーの収益アップ支援、スポンサーシップの獲得などが発表されています。
配信者とファンが直接交流できる“コミュニティ空間”
基調講演が終了したあとは、会場全体を回ってきました。
まずは、会場の2階を探索です。最初に訪れたのはストリーマーのワークショップが並ぶアーティストアレイ(Artist Alley)です。
Artist Alleyでは細かく区分されたブースに、手作りの小物やイラスト、アパレルなど、ストリーマーによるさまざまなグッズ販売が行われていました。これだけ見てもすでにTwitchがゲーム配信に特化したサービスではなく、取り扱うコンテンツが多岐に渡っていることがわかります。
お互いのことは配信で知っていながらも面識のないストリーマーが連絡先を交換するなど、“オフ会”的な出会いの場としても機能していました。占いや音楽ライブ、ジャグリングなど、配信で行っている特技を現地で披露しているストリーマーも見かけました。
オープニングセレモニーが行われたメインステージである「Glitch Theater」でも、定期的にイベントが開催されており、中にはコスプレイベントも行われていました。
2階は他にも小イベントスペースがあるNomNomTheaterや個室で行われたカンファレンスなどが行われていました。
『スト6』対戦が大盛り上がり! Twitch Rivalsで白熱バトル
次に1階を探索です。訪れたのはスポンサーなど関連企業が展開している企業ブース。日本からはCAPCOMやTOYOTA、YAMAHAが出展していました。
Tabletop Play Areaでは、ポケモンカードゲームなど、カードゲームで対戦できるエリアがあり、ストリーマーや視聴者が自由に対戦できていました。
Twitch Rivals Areaは、eスポーツ大会のようにステージと観客席が用意され、ストリーマー同士の対決の様子が見られました。日本で人気の『ストリートファイター6』の対戦も行われており、会場は満席。北米での『スト6』人気の高さも感じ取れました。
Meet & Greet Areaでは有名配信者と握手をしたり、写真を撮ったりすることができ、この為に駆け付けたファンも多そうでした。
街全体がお祭り会場になった「Block Party」
2日目の19時からは、コンベンションセンターにほど近い商店街「Gaslamp Quarter」の一角を封鎖し、「Block Party」と呼ばれるナイトパーティが開催されました。
TwitchCon 2025の参加者から希望者のみが入場できる有料イベントで、アルコールドリンク3杯とフリーソフトドリンク、フリーフードがふるまわれるパーティです。
会場内ではライブを行ったり、アーケードゲームが路上に置かれたり、ヘッドフォンを装着してダンスをしたりと、大いに盛り上がっていました。Block Partyが終了した後には、ダルビッシュ有選手が所属するサンディエゴ・パドレスの本拠地、ペトコ・パーク上で、ドローンショウも開催。
まさに、ストリーマーのための祭典と言えるイベントで、参加したストリーマーも視聴者も年に一度のお祭りを楽しんでいるようでした。
Twitchモバイルアプリの今後は? CPOインタビュー
TwitchCon 2025では、Twitchのチーフ・プロダクト・オフィサーであるマイク・ミントン氏へ取材を行うことができました。Twitchのモバイルアプリの今後の展開について話を聞いてきました。
――モバイルアプリのユーザーが増えていると思いますが、ブラウザ版に比べてどのくらいの割合で使用されているのでしょうか。
マイク・ミントン氏:そうですね、非常に増えています。新規視聴者の約3分の2以上の人たちはモバイルから始めており、月間のアクティブユーザーも半数以上がモバイルを利用しています。視聴者と新規ユーザーの両方とも、モバイルの利用が増えていると言えます。
モバイルユーザーは、比較的、若い人たちであるという傾向があります。ここ数年で人気になったクリエイターや新しいクリエイターをフォローすることが多いですね。例えば、Kai Cenat氏やIShowSpeedの氏ようなクリエイターが、主にモバイル視聴者に人気があります。
――今回のオープニングセレモニーでもデュアルフォーマット配信について発表がありました。現在の状況はいかがでしょうか。
マイク・ミントン氏:デュアルフォーマット配信は現在α版で、一部のストリーマーがテスト中です。
このような状況になっているのは、本当に良い体験になるように時間をかけて慎重に進めているからです。開始当初、ストリーマーに提供し始めた際に、テレビデバイスでの問題が発見され、その修正が必要でした。一部ストリーマーに試用してもらい、機能を成長させる準備をしています。
ダン・クランシーが基調講演で発表したのは、現在この機能がα版からβ版にへ移行しているということですね。この移行により、利用者は数百人から数千人、数万人と増えていき、最終的には数十万~数百万人へと増えていくことになります。
視聴者とストリーマーの両方からの反応は非常に肯定的です。特にスマホを縦向きに保ったままでも映像がきれいに見える点が好評です。
一方でチャットがスペースを取り過ぎているという指摘もあり、そこは調整予定です。全体としては、「もっと早く進めてほしい」と言う要望も含め、非常にポジティブなフィードバックが寄せられています。
――EUのデジタル市場法や日本のスマホソフトウェア競争促進法、さらにApp Storeのアプリ外課金解禁の動きなど、アプリストアをめぐる規制緩和が進んでいます。こうした動きによって、Twitchアプリでのサブスクやビッツの購入に影響は出るのでしょうか。
マイク・ミントン氏:この質問について私自身はAppleがサブスクリプションやビッツで、Apple決済以外(ブラウザなど)での決済を許可しており、それによって、価格が抑えられると考えています。
私たちは、Appleの決済手数料をカバーするために、アプリでの課金には手数料分料金を上乗せしています。ブラウザなど、Apple以外の決済方法を使えば、手数料分安い価格となります。ストリーマーへの配分は今でも手数料分の上乗せを除いた金額となっており、こちらはどの決済を使っても変わりません。変わるのは購入する視聴者の方です。
――アプリ自体を第3のストアから販売することでも手数料は下げられると思いますが、TwitchアプリをApp StoreやGoogle Play以外のアプリストアで提供する予定はありますか。
マイク・ミントン氏:現時点ではそのような計画はありません。私たちは主に、iOSやAndroid、そしてテレビデバイス向けに注力しています。テレビの場合はOSがAndroidや独自OSなど様々なので、視聴者や人気に応じて対応を決定しています。
今後すぐに変更や新しいプラットフォームでのリリース予定はなく、現時点で大きなトレンドや変更はありません。日本のスマホソフトウェア競争促進法など、新たな法律が施行された場合にはそれに準拠して対応していくと考えています。
――デュアルフォーマット配信以外で、モバイルアプリに実装される予定の機能はありますか。
マイク・ミントン氏:モバイルアプリは私たちが最も注力している部分のひとつです。今日お話した内容でいうと、クリップ体験の改善、フィード機能の向上、縦型視聴の最適化が主な重点項目です。
具体的には、クリップの閲覧体験をより快適にし、フィードで視聴者が興味のあるコンテンツを見つけやすくする改善を続けています。また、縦型視聴では、ユーザーが短時間でも長時間でも、自分に合ったスタイルで、ライブやクリップを楽しめるようにしています。
広告体験の改善にも力を入れています。フィードから配信に移った際に不要な操作を減らすことで、よりスムーズに視聴ができるようにしています。さらに、アプリ起動時に最初のフィード項目が素早く表示されるように、パフォーマンスやナビゲーション、UIの改善にも取り組んでいます。これはダン・クランシーが基調講演で触れた「ストーリーズ」やショートフォーム機能にも含まれています。
これらの機能はすべてグローバル向けです。例えば、今年初めに対応した右から左へ読む言語(アラビア語など)のサポートもその一例です。ローカル視点で行っているのは、国ごとのコンテンツやマーケティングですね。プロダクトの観点では、すべてのユーザーが同じアプリ体験を提供しています。
――日本市場に求めるもの、期待していることはありますか。
マイク・ミントン氏:日本市場向けに特別に求める機能や期待しているところは、今のところ特にありません。一般的に、クリエイターのニーズは国ごとに大きな差はなく、共通していることが多いのです。
言語や地域が関わってくるのは、主にコンテンツのオススメや広告体験の部分です。例えば、日本語で配信するストリーマーは、日本の視聴者にお勧めされるようになっていますし、広告も日本向けの内容が表示されます。ただし、広告プロダクト自体はどの国でも同じです。
――ありがとうございました。
著者 : 岡安学 おかやすまなぶ eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)。@digiyas この著者の記事一覧はこちら











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