退職は、人生における大きな転機である。退職金というまとまったお金を手にし、「これで、長年の悩みだった住宅ローンを一気に完済したい」と考える人は多いだろう。
長く続いた「借金」から解放され、老後はお金の不安なくスッキリ暮らしたい──そう願うのは、ごく自然な心理である。
しかし、FP(ファイナンシャルプランナー)であり、YouTubeチャンネル『鳥海翔の騙されない金融学』(登録者数35.3万人)を運営する鳥海翔氏は、この“常識”に待ったをかける。「退職金での繰り上げ返済は、はっきり言って悪手以外の何物でもありません」と言い切るのだ。
では、なぜ退職金による一括返済は、ここまで「正解」と信じられてきたのか。そもそも住宅ローンにはどのようなメリットがあるのか。
今回は、本当に選ぶべき選択肢は何かについて、鳥海氏の見解を詳しく伺った。
※本記事におけるシミュレーションは、すべて税抜き価格で計算。
○「一括返済」が根強く支持される理由
鳥海氏が一括返済は悪手と言及する一方で、世間では依然として「早期返済待望論」が根強い。その論調を整理すると、いくつかの理由が見えてくる。まず多く聞かれるのが、「借金のストレスから解放されたい」という、ある種の感情的な理由だ。
「借金を抱え続ける精神的な重さは想像以上です。毎月の返済や金利のプレッシャーから解放されたい、という声には多くの方が共感されるでしょう。
例えば、1%の金利で3,000万円を借りた場合、30年間で支払う利息は数百万円に上る可能性があり、これを節約できるなら合理的だ、と考えるのも当然だ。そして、「老後の家計を安定させたい」という現実的な視点も欠かせない。
「定年後にローンが残っていると、現役時代よりも収入が減少する年金生活での返済が、大きな家計負担になるという懸念です。仮に60歳以降も毎月10万円の返済が続けば、家計に重くのしかかると考えるのは、まっとうな感覚でしょう」(鳥海氏)
○その"常識"が招く、見過ごされた落とし穴
このように「住宅ローンを早く返すべき」という論調は、感情的な安心感を優先しがちだ。だが、その「スッキリしたい」という判断は、経済的に合理的なのだろうか。これまで1,000人以上からお金の相談を受けてきた鳥海氏は、具体的な"落とし穴"を挙げて警鐘を鳴らす。
「まず、手元資金を失う例です。50代夫婦が退職金2,000万円でローンを完済した直後、夫が病気で入院。手元に現金がなく家族は困窮しました。もし2,000万円をNISAで年4%運用すれば、医療費を賄えたかもしれません。安心感を求めた結果、リスクを背負ったのです」(鳥海氏)
また、「利息の節約」を意識しすぎ、住宅ローン控除という「国の制度」を放棄するのも本末転倒だ。
「控除の恩恵を捨てる例です。ある方が年50万円の税金軽減を受けていました。繰り上げ返済で控除額が年45万円に減少。軽減額5万円に対し、低金利(例:0.5%)での利息節約は初年度約3万円です。控除の減少分が節約額を上回り、損をしているのです」(鳥海氏)
住宅ローンは「借金」だが「生命保険」でもある。団信の価値を軽視するのも危険だ。
「団信の恩恵を減らしてしまった例もあります。ある方が1,000万円を繰り上げ返済した直後に亡くなりました。もし返済せず1,000万円を残していれば、団信でローンがゼロになり、家族に現金1,000万円が残ったのです。結果的に手元資金を失い、家族に何も残せなかったことになります」(鳥海氏)
○なぜ「繰り上げ返済をしない」選択が合理的なのか
とはいえ、「借金は借金だ」「利息を払い続けるのは無駄ではないか」という抵抗感は残る。金利上昇リスクを考え、返せるうちに返すべきだ、という考えも根強い。
「そのお気持ちはわかります。
「まず大前提は、現在の異常な低金利です。変動で0.5%前後、固定でも1%台。例えば3,000万円を金利1%で借りた場合の年間利息は約30万円。一方、もし手元に同じ3,000万円があるなら、新NISAなどで堅実に年4%で運用したとします。それだけで年間120万円のリターンが期待できます。『1%の金利なら、4%の運用益で余裕で払える』。この計算が成り立つ以上、金利を払いながら運用に回すほうが合理的なのです」(鳥海氏)
さらに、「国の制度」を自ら放棄することの不合理性を強調する。
「住宅ローン控除は、国が用意してくれたすばらしい制度です。もし1,000万円繰り上げ返済すれば、控除額も減ってしまいます。年間10万円もの『国からもらえるはずだったお金』を放棄するわけで、はっきり言って悪手以外の何物でもありません」(鳥海氏)
加えて、団体信用生命保険(団信)の価値についても、単なる「保険」以上のものがあると指摘。
「団信も同様です。借主が亡くなった場合、ローン残債がゼロになります。例えば2,000万円のローンを残していれば、万が一の際、家族にはローンなしの家と手元の資産(返済しなければ2,000万円)が残ります。しかし繰り上げ返済をしてしまうと、この団信の保障額を減らすうえ、手元資金も失う。正直リスクが高まるだけです」(鳥海氏)
○いまは「借り続けて備える」時代
返済すべきでないことは理解できた。では、その手元に残した退職金をどうすべきか。銀行に預けるだけでは意味がない。まさか「投資」などと、老後の資金をリスクに晒すのか、と身構える読者もいるだろう。
「ズバリ、新NISAやiDeCoで運用するほうが合理的です。ここで言う『リスク』とは、元本が減る以上に『手元資金を失うリスク』です。返済したがために現金がなくなり、病気や介護に対応できないことこそ、最大のリスクだと考えます」(鳥海氏)
鳥海氏は、リスクを避けるためにこそ「運用」が必要だと説く。その具体的な比較として、1,000万円を返済する場合と運用する場合の差を挙げる。
「例えば、1,000万円を新NISAで年4%・20年運用すれば、約2,200万円に増える可能性があります。一方で1,000万円を返済しても、節約できる利息は低金利では数十万円程度。そのうえ団信や控除の恩恵も失います。手元に現金を残し、運用益でローンをカバーし資産を増やす戦略が、明らかに効率的なのです」(鳥海氏)
かつて「借金は悪」「早く返すのが美徳」とされたのは、高金利時代の正義だった。鳥海氏は「『退職金で一括返済すべき』という考えは、金利が5~6%あった時代には合理的でした。しかし、0%台の金利が常識の今はまったく違います」と話す。
古い価値観や感情論に囚われず、手元の現金を失うリスクと、借り続けるメリットを冷静に天秤にかける。それこそが、豊かな老後を送るための第一歩となりそうだ。
西脇章太 にしわきしょうた 1992年生まれ。三重県出身。県内の大学を卒業後、証券会社に入社し、営業・FPとして従事。現在はフリーライターの傍ら、YouTubeにてゲーム系のチャンネルを複数運営。
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