米中関係の複雑化や高市早苗氏の首相就任など、株価を変動させる大きなトピックスに事欠かない現在、株式投資をしている人、とりわけ信用取引をしている人にとっては、リスク管理には細心の注意を払わなければいけない日々が続く。リスクを抑え、着実に利益を出すためには、情報収集に加え、その情報を分かりやすく把握できるサービスを活用する必要がある。


信用取引をメインに扱うSBIネオトレード証券がリリースした「ネオトレAPI for Excel」は、ビジネスシーンではおなじみのツール「Excel」を活用することにより、自分仕様の投資管理や情報収集を可能にした斬新なサービスだ。

株式投資にある程度慣れた人にとっては"痒い所に手が届く"サービスとなっている「ネオトレAPI for Excel」の開発を主導したリテール事業部次長・山羽泰斗氏に、同サービスをリリースした経緯やリリース後の手応え、さらには今後の株式市場の注目ポイントなどをうかがった。

○差別化できている点は

――改めて「ネオトレAPI for Excel」とはどのようなサービスなのですか?

証券基幹システムと Excel をAPI連携し、Excel上で株価情報やランキング情報、発注といった、取引に関する多岐にわたる操作ができるサービスとなります。Excelの機能を活用できるため、文字の配色やフォント変更などを簡単に自分好みにカスタマイズすることが可能です。また、VBAやマクロの知識があれば、専用の関数を組み合わせることで、よりお客様に適した取引手法を実現することもできます。

――Excelはビジネスシーンにおいては必須ツールです。それでもExcelの知識がない人も一定数いるため、使い勝手は人を選びそうですが。

取得したい項目や表示数などを選択するだけで株価情報やランキング情報、注文照会などを呼び出せる入力補助機能を設けています。Excelに慣れていない人でも、簡単に操作できます。

――リリースするうえで特にこだわった点を教えてください。

「どうやったら使いやすさを実現できるのか」という点です。日経225採用銘柄の銘柄情報をExcel上で一気に見られるシートをはじめ、さまざまな用途でご活用いただけるサンプルシートを多く掲載するなど、"「ネオトレAPI for Excel」だからこそできること"をご利用されているお客様に伝える取り組みは徹底しました。
また、使い方をレクチャーするセミナー動画も公開したのですが、複雑な操作を求める場合、「どのように動画で説明するのか」という点にも苦労しました。

――リリース後にはユーザーから"使い方"に関する問い合わせはありましたか?

やはり多かったです。問い合わせに応えるため、サンプルシートや動画を作る社員が0から勉強してお客様と一緒に成長し、使いやすさが伝わるコンテンツを揃えられたと思っています。また、カスタマー対応をしている社員の中には、これまでExcelを触った経験がないスタッフもいるため、お客様から教えていただくこともあり、お客様と一緒に作り上げているサービスと言えるかもしれません。

――「ネオトレAPI for Excel」が差別化できている点を教えてください。

正直、競合他社でも似たようなサービスはリリースされていますが、他ツールも同時起動する必要があるものが結構あります。ただ、「ネオトレAPI for Excel」はExcelだけを起動すれば操作ができ、お客様から「使いやすい」と言っていただくことが多いです。また、注文に関する関数も多く用意しており、お客様の細かいニーズに幅広く対応できる点も差別化のポイントかと思います。
○今後の株式市場の動向

――現在の個人投資市場をどのように見ていますか?

やはり"高市トレード"で株価が上がっていますが、株価が上がるとリスク管理の重要度が増します。今後も上昇基調である可能性がありますので、逆指値なども選択肢に入れつつ、「ネオトレAPI for Excel」を使ってリスク管理をしていくと良いのではないでしょうか。また、どうしても"踊り場"のような局面が出てくるので、その際には一旦ポジションを切ったり、アラートを設定したりしてもらうと良いと思います。

――今後、株価に大きく影響を与えるトピックスとして注目すべきものは?

個人的にはアメリカと中国の動きが肝になるかと考えています。
中国は現在景気が悪いですが、アメリカとの距離感をどのようにとっていくのかには注目したいです。また、日本も「そろそろ金利が上がるかな」という状況です。当社の場合、信用取引をご利用されているお客様が多く、調達金利が上がるとどうしても収益悪化につながってしまいます。私どもとしては、より多くのお客様に低コストでご利用いただける環境を提供していきたいと考えておりますので、注視しておきたい分野です。

――最後に、今後注力していきたいことについて教えてください。

信用取引の認知度は上がっているものの、まだ十分に浸透しているとは言えない状況です。「信用取引研究所」というコンテンツを当社ホームページに用意しており、「信用取引はこうやって使う」「リスクを守れば資金効率も良く、使い勝手もいい」といった活動をしています。今後も信用取引の魅力を広く発信することに力を入れていきたいです。
編集部おすすめ