マンションリサーチは11月13日、「東京都各エリアのマンション売却相場に関するレポート」を公開した。同レポートは2016年~2024年、東京都全域(23区および市部)のマンションデータを基に分析した。


同レポートは、全国14万3,000棟のマンションデータを公開する「マンションナビ」の保有データと、レインズ(東日本不動産流通機構)のデータを基にしている。

過去9年間で、東京都の中古マンションのレインズ成約平米単価は約1.4倍に上昇し、都心を中心に高値圏での取引が定着している。

レインズデータの成約平米単価は2021年以降、マンションナビデータの平均売買平米単価を上回る傾向が続く。特に2021年以降は、成約平米単価が平均売買平米単価を上回る年が続いており、「価格相場よりも高く売れる物件」がより明確になった市場といえるという。

都心5区だけでなく、下位区でも上昇傾向が続き、都内全域で資産価値の底上げが進んでいる。その背景には、「金利上昇」、単身・DINKS世帯の増加といった「人口構造の変化」、「再開発の進展」が新たな価格形成要因として浮上している。金町・立石・小岩の東部エリアや交通整備が進む練馬区でも、今後の資産価値向上が期待されるという。

都心プレミアムエリア(港区、千代田区、渋谷区、中央区、目黒区、新宿区、品川区、文京区)の平均売買価格は、最も高い港区で1億6,000万円台、最も低い文京区でも8,000万円台。平均築年数が20年~30年以上にもかかわらず、3年前と比較して20%超~65%と高い上昇率で価格が推移している。

都心近接エリア(江東区、豊島区、台東区、世田谷区、中野区、墨田区)の平均売買価格は6,000万円超~7,000万円台。平均築年数はすべて1990年代と築30~35年程度だが、平均売買価格も3年前から約16%~34%上昇している。

都心近郊エリア(杉並区、北区、荒川区、大田区、練馬区、板橋区、 江戸川区、 葛飾区、足立区)の平均売買価格は3,000万円台後半~6,000万円超。
3年前の平均売買価格と比較して約11%~約17%と全体的にばらつきが少ない上昇幅となっている。

23区外エリアで平均売買価格の上昇率が高かったのは、町田市・多摩市・昭島市・武蔵野市の5市だった。上位5市以外でも同様の傾向が見られ、価格・上昇率ともに上位5市に次ぐ国分寺市の一方で、上昇率は10%未満でも平均売買価格が町田市を上回る国立市・府中市・立川市などがあった。調布市や三鷹市など平米単価が60万円を超える都心近郊エリアとあまり変わりない市も多かった。

高く売れるマンションの傾向としては、レインズの統計(2022~2024年平均)によると、築10年以内の物件は全体平均より約32%高く成約していることがわかった。一方、築21年以上では約19%低くなるなど、築年数によって価格差がはっきり表れている。

また、駅徒歩10分以内の物件は全体平均より約66%高く、徒歩20分を超えると約30~40%低い水準にとどまるなど、アクセス性の違いも価格に大きく影響している。
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