動画配信や生成AIの普及などで携帯電話のモバイル通信は年々増大しており、今後10年で5~9倍にもなる、という予測が出ています。現在の5Gネットワークでは、このトラフィック増大をカバーし切れず、このままでは2030年ごろにパンクする可能性も指摘されています。


そこで切り札となるのが、次世代通信の6G技術です。6G用に利用する周波数帯は現在検討が進められていますが、現時点では「センチメートル波」と呼ばれる7GHz帯が注目されています。周波数帯が5GのSub6に近いため、現行の5Gで培われた技術や知見が活かしやすいためです。

現在、ソフトバンクはノキアと協力して、東京・銀座の中心部で7GHz帯のフィールドトライアルを実施しており、電波の特性や通信品質が5GのSub6で使われている3.9GHz帯とどう異なるかを検証しています。

検証は、銀座エリアのビル3カ所に7GHz帯の基地局とアンテナを試験的に設置し、7GHz帯と3.9GHz帯の通信機器をクルマに搭載して銀座エリアを走行し、電波の強度や品質を測定する仕組みです。今回、このクルマに乗車して、7GHz帯通信の実力を取材しました。

基地局から見通せる大通り沿いでは、事前のシミュレーションよりは電波の減衰が少なかったことが分かりました。立ち並ぶビルに電波がうまく反射して外に分散しづらかったことが要因ではないか、と見ています。

ビルを挟んで基地局が見通せない細い路地では、やはりある程度電波が減衰しましたが、圏外になったり通信できない状況になることはありませんでした。

ソフトバンク担当者は「7GHz帯でも商用レベルに近いカバレッジができ、通信品質も良好だった。7GHz帯でも、高い出力で広域をカバーするマクロ基地局でエリア構築できることが分かったのは大きい。今後、6GHz帯や8GHz帯でも実験を進めていきたい」と語ります。
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