横浜市とAGCは11月21日、市立二俣川小学校の旧校舎解体工事に伴って発生する廃棄窓ガラスを対象に、水平リサイクルの実証実験を共同で実施することを発表した。

日本国内では現在、年間50万トン以上もの廃棄窓ガラスが発生している。
ただしその多くは、埋め立て処分されるか、元の製品よりも低品質の用途で活用される“カスケードリサイクル”に回されており、窓ガラスとしての水平リサイクルにはつながらないことがほとんどであった。

そこで今回の実証実験では、市立二俣川小学校の旧校舎解体に際して廃棄された窓ガラスを、新たな窓ガラス製品の原料として再利用することを目指すという。具体的には、再生利用可能な廃棄ガラスの数量や、解体現場での作業工数・時間・コストなどを調査・検証するとのこと。こうした窓ガラスの水平リサイクルを推進することで、産業廃棄物の削減のみならず、新規採掘される窓ガラス原料の使用量節減にも寄与するとしている。なお回収された廃棄ガラスについては、AGC横浜テクニカルセンターの板ガラス製造ラインの原料として再資源化される予定だ。

また実証実験によって生じるカレット(ガラスを細かく砕いたもの)は、新たに採取された原料と比較すると低温で溶解できるため、製造工程における温室効果ガス排出量の削減にも寄与するとした。

横浜市では、リサイクルや産業活性化など各分野のサーキュラー施策を連動して推進することで、“循環型都市”への移行を目指しているとする。特に公共建築分野においては、サーキュラー建築実現のため、建築物を長く使い続けるための施策や、木材などのバイオ資材の活用、廃棄物の削減などに取り組んでいるといい、今回の廃棄窓ガラス水平リサイクルに関する実証実験もその一例だとしている。

一方のAGCグループは、製品・技術で創出する社会的価値のひとつとして“Blue planet”を定めており、原料調達から顧客での使用に至るまでの環境負荷低減を目指して、持続可能な地球環境の実現を目指す中で、資源の有効利用加速による社会への価値提供を行っていくとする。

両者は今回の取り組みを通じて、今後の地域における持続可能な窓ガラスの循環システム構築に向けて、官民一体で取り組むとしている。
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