家を建てるときやリフォーム/リノベーションするとき、バスルームの設計ではくつろげるデザインも大切だが、掃除のしやすさなども気になるところ。加えて、バスルームは家族が毎日使う場所であり、疲れや気持ちをリセットする場所でもある。


パナソニック ハウジングソリューションズ(以下、パナソニックHS)が注目したのは、お風呂を使った全身ケアだ。12月3日から、セルフケアをテーマにしたシステムバスルームとして「Beauty care style(ビューティ・ケア スタイル)」を提案する。

厚生労働省の「健康日本21」でも示されるように、人生100年時代を見据えた「心と体の健康=ウェルビーイング」への関心は高まる一方だ。パナソニックHSの調査では、「心も体も健康だと感じている」と答えた人は半数に満たず、「睡眠の質に満足していない」「運動が十分にできていない」と感じている人も多数……(皆さんはいかがだろうか?)。

さらに、セルフケアへの関心が高い人ほど、「湯船にゆっくり浸かる入浴習慣」「スキンケア・ヘアケアなどの“美容ケア”」を、心と体を整える手段として挙げていることが分かった。

こうした背景を踏まえて、今回の新コンセプト「Beauty care style(ビューティ・ケア スタイル)」のバスルームが生まれた。お風呂を「身体を洗う場所」から「毎日のセルフケア拠点」へと位置づけ直す。
住宅設備と美容家電、両方を持つメーカーだからできること

パナソニックHSはこれまでも、「睡眠」をテーマにした浴室提案「おやすみビバス」、「温度」をテーマにした「ビバス ヒートセーフ style」など、ウェルビーイング(心と体の健康)発想のバスルームを発表してきた。今回のテーマは3つめの柱となる「ビューティー(美容)」だ。

パナソニックはグループとして、住宅設備としてのバスルーム事業に加え、「パナソニック ビューティ」に代表される美容家電事業を展開している。今回、その強みを掛け合わせ、髪や肌といった全身のうるおいケアを「いつもの入浴の延長線上」で叶えるのが、新提案のバスルーム「Beauty care style」だ。
3つの機能でつくる「ながらセルフケア」バスルーム

「Beauty care style」は、以下に挙げる3つの機能を組み合わせたシステムバスとして構成されている。


オイルベール酸素美泡湯(マイクロバブル+オイルの入浴機能)
ファインバブルシャワーヘッド「ファインベール」
クラフトラインLED照明

いずれも単体では既存の機能/製品だが、すべてを合わせてひとつの入浴体験として再構成したところがポイントだ。
1:泡とオイルでしっとりする「オイルベール酸素美泡湯」

まず印象的だったのは、浴槽に搭載される「オイルベール酸素美泡湯(さんそびほうゆ)」だ。これは、マイクロバブル入浴と専用の化粧用オリーブオイルを組み合わせたもの。

マイクロバブルの効果でオイル成分が細かく均一に分散し、水面に固まらないため、とろりとした乳液のようなお湯の入浴を楽しめる。湯船に浸かるだけで、全身の保湿効果が期待できるそうだ。

この技術は、2016年にマイクロバブル+オイルという業界初の仕様として製品化されたもの。まもなく発売10年を迎えるロングセラー技術だ。

1回あたりのオイル使用量は約2ml。浴槽裏に搭載した装置によって、マイクロバブルとオイルを細かく攪拌(かくはん)する。

「オイルベール酸素美泡湯」を張った水槽に手を入れて触ってみたが、温泉のようなとろりとしたお湯が心地よく、出したあとは手がしっとりとしていた。使用するオイルの量が少ないため、オイルによる浴槽の汚れはほとんど気にならない程度。追い焚き配管の洗浄も、従来の配管洗浄剤と同じ考え方で定期的に行えばよいとのことだった。


たとえば背中のように。自分ひとりでは全体のスキンケアが大変な部位でも、お湯に浸かるだけでしっとりした肌になるのはうれしい! 上質だが手がかかりすぎない「保湿浴」は、日常使いに落としこまれた機能といえる。

2:ヘアケア発想のファインバブルシャワーヘッド「ファインベール」

2つ目は、ファインバブルシャワーヘッド「ファインベール」。一般に「ファインバブル」というのは、「マイクロバブル」と「ウルトラファインバブル」を合わせて呼ばれている。パナソニックの場合、浴室機能(酸素美泡湯)で使われているのはマイクロバブル、シャワーヘッドの「ファインベール」で使われているのはウルトラファインバブルだ。

ファインベールの特徴は肌ケアだけでなく、ヘアケア発想のモードを備えていること。「プレシャンプーモード」は、ジェット水流で頭皮の汚れにしっかりアプローチし、シャンプー前の“予洗い”で泡立ちを高める。「ヘアケアモード」は、2つの水流をミックスした強弱のある水流。 シャンプーやトリートメントを流すときに使う。

このほか、ストレートな水流で身体全体を流す「ボディケアモード」、ミスト水流でクレンジングや洗顔に使える「ミストモード」などがある。そして「シルクスパモード」は、ヘッド部分を取り外して浴槽に入れ、ファインバブルを含んでいる水流を身体に当てて使う。シャワーで身体を流すだけで、髪と肌のケアをサポートできるというわけ。
日常生活に取り入れやすいシャワーヘッドは、時間や手間をかけずに行うセルフケアの第一歩になりそうだ。

3:シーンで切り替える「フラットラインLED照明」

3つめは、浴室の「フラットラインLED照明」だ。天井に設置したLEDを、シャワー中は白色に、湯船に浸かってゆったりしているときは電球色(オレンジ系)にと、時間帯や過ごし方に合わせて光の色を切り替えられる。

明るさや色温度で印象が大きく変わるのは、リビングや寝室だけではない。「バスルームも、光をデザインする」というのは、心地よい浴室づくりの大きなヒントだ。

乾燥が気になる人も忙しい人も、幅広い人の美容習慣をサポート

標準的な「Beauty care style -BEVAS-(PLAN No.BVS6427 1616サイズ)」のプラン希望価格は155万7,500円(税別)。ターゲットは「自宅でのセルフケアを日常に組み込みたい人」を幅広く想定している印象だ。今後はシステムバス商品の「BEVAS(ビバス)」シリーズ以外でも、順次展開していく予定とのこと。

ショールームでは「お風呂ソムリエ方式」で提案

今回、メディア向けの発表会では、12月1日から全国のショールームで順次スタートするという「お風呂ソムリエ」方式の提案も公開された。

これまでの浴室提案は、色柄・サイズの組み合わせ、掃除のしやすさ、断熱・節水性能といったスペック選びが中心だった。しかし、なかなか意識として表れないだけで、お風呂に入って「リラックスしたい」「肌や髪のケアをしたい」という欲求はあるはず。

そこでパナソニックHSは、入浴スタイルをアドバイスして適切なバスルームプランをコンサルティングする「お風呂ソムリエ」方式を導入する。
Webサイトからショールームを予約するときに「お風呂ソムリエ」と入力すると、コンサルティングを受けられる。

ショールームで簡単なアンケートに答え、その人が重視している入浴スタイル(リラックス・美容・睡眠サポートなど)を診断して、研修を受けた「お風呂ソムリエ」がスタイルに合わせた浴室・機能を一緒に選んでいく。現在、各地のショールームでは担当者の研修が進んでおり、今後はさらに専門性の高いプロ人材も育成しながら、順次配置を広げていく方針とのこと。
「洗う場所」から「自分を取り戻す場所」へ

一日の始めや終わりに“自分を整える”場所であるバスルームは、住まいの価値を底上げする空間だ。

「広さ」「掃除のしやすさ」「断熱性能」などに加えて、「自分のコンディションをどう整えたいか」で浴室を選ぶ――。そんな新しい基準を示したのが、今回のバスルーム「Beauty care style」ではないだろうか。

伊森ちづる 家電・家電量販店ライター。家電量販店の取材や家電メーカーの取材、家電製品のレビューを中心に活動。売り手、メーカー、ユーザーという3つの視点で家電を多角的に見るのが得意。雑誌、ニュースサイト、ラジオ、シンクタンク、自治体での情報提供など、多方面で活躍中。最近は、テクノロジー×ヘルスケア、テクノロジー×教育などにも関心あり。趣味は音楽鑑賞(クラシック)とピクニック。
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