米IBMとデータストリーミングのConfluentは12月8日(現地時間)、IBMがConfluentの発行済普通株式を1株当たり31ドルで全株取得する正式契約を締結したと発表した。取引の企業価値は約110億ドル(12月10日時点の日本円換算で約1兆8000億円)、2026年半ばまでに取引が完了する予定だ。
○買収の概要
Confluentはカリフォルニア州マウンテンビューに本社を構え、現在6500社以上にサービスを提供し、AnthropicやAWS(Amazon Web Services)、Google Cloud、Microsoft、Snowflakeなどの企業と提携。
データの移動を可能にするオープンソースのデータとイベントストリーミングプラットフォーム「Apache Kafka」を基盤とし、Apache Kafkaは分析、モニタリング、イベント駆動型アーキテクチャに対応する高速で信頼性が高く、スケーラブルなデータストリーミング機能を提供している。
Confluentのプラットフォームはリアルタイム性を有し、特にAIに適したデータを準備する能力に優れており、システムやアプリケーション間でデータをクリーンに保ち、接続し続けることで、エージェント型AIに内在するサイロ化を解消するという。プラットフォームには、Data Streaming、Connectors、Stream Governance、Stream Processing、Tableflow、Confluent Intelligence、Streaming Agentsが含まれている。
IBM 会長兼CEOのアービンド・クリシュナ(Arvind Krishna)氏は「IBMとConfluent社が一体となることで、企業は生成AIやエージェント型AIをより迅速かつ効果的に導入できるようになります。これは、環境、アプリケーション、API間で信頼できる通信とデータフローを提供することによって実現されます。データはパブリッククラウド、プライベートクラウド、データセンター、そして無数のテクノロジープロバイダーに分散しています。Confluentの買収により、IBMはAIに特化した企業IT向けのスマートデータプラットフォームを提供します」と述べている。
一方、Confluent 共同創業者兼CEOのジェイ・クレプス(Jay Kreps)氏は「創業以来、Confluentは複雑化するIT環境において、データの可能性を最大限に引き出し、イノベーションを推進してきました。リアルタイムデータストリーミングプラットフォームを通じて、生成AIやエージェント型AIの次の時代を支える基盤を提供してきたことを誇りに思います。IBMと共に戦略を加速し、IBMの市場展開力、グローバルな規模、幅広いポートフォリオを活用できることに大きな期待を寄せています」とコメント。
なお、IBMは取引完了後の初年度に調整後EBITDA(Earnings before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization:利払い前・税引き前・減価償却前利益)に対して増加効果をもたらし、2年目にはフリーキャッシュフローに寄与すると見込んでいる。
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