日本製鉄は12月9日、同社の高耐食性フェライト系ステンレス鋼板「SUS445J2」が、あなぶきアリーナ香川(香川県立アリーナ)およびKUROKIRI STADIUM(宮崎県山之口陸上競技場)の屋根に採用されたと発表した。

○「あなぶきアリーナ香川」への採用

2025年2月に開館した「あなぶきアリーナ香川」は、1万人収容のメインアリーナにサブアリーナと武道施設を加えた3施設で構成され、瀬戸内海の小島を思わせる外観が特徴。


ドーム屋根にはジョイントのない曲線デザインを実現するため、過去最長となる130mの長尺材が用いられ、その材料としてSUS445J2を母材にした塗装ステンレス鋼板が採用された。設計はSANAA、施工は大林・合田・菅共同企業体が担当した。
○「KUROKIRI STADIUM」への採用

同年4月に開場した「KUROKIRI STADIUM」は、2027年開催の第81回国民スポーツ大会と第26回全国障害者スポーツ大会のメイン会場として整備された陸上競技場で、楕円球体を曲線状に切り出した温かみのある屋根形状が特徴。

屋根には新燃岳の降灰に強くメンテナンス性にも優れるステンレス材が採用され、さらに高速道路に近い立地に配慮して、ダル仕上げ材にブラスト加工を施すことで防眩性を確保したとしている。

設計は佐藤・益田建築設計・工事監理業務共同企業体、施工は清水・都北・下森特定建設工事共同企業体が担当した。

今回2件の大型スポーツ施設に採用されたSUS445J2は、汎用オーステナイト系高耐食ステンレス鋼「SUS316」を超える耐食性を持ちながら、ニッケルを含まない省資源素材で価格安定性にも優れるという。

また、フェライト系の線膨張係数はオーステナイト系の約6割と小さく、温度変化に伴う変形やひずみが抑制されるため、屋根の長寿命化が可能になるとしている。
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