Googleは現地時間12月11日、AIを活用したWebブラウザの実験プロジェクト「Disco」と、その中核機能である「GenTabs」を発表した。

バックエンドには最新の大規模AIモデル「Gemini 3」が用いられ、ユーザーがブラウザで開いている複数のタブやチャット履歴をAIが解析し、目的に応じたWebページ(Webアプリ)を自動生成する。
従来の「検索」や「閲覧」の概念を再構築しようとする試みである。同社の実験的プロダクトを扱う「Google Labs」から、macOS向けにウェイトリスト制で順次提供が始まる。

旅行の計画を立てたり、新しい分野の学習をしたりする際、ブラウザのタブが増えて情報が散乱しがちである。Discoはこの課題に対し、単にタブを整理するのではなく、それらを統合してタスク遂行のためのツールへと変換することを目指す。

その中心となる機能が「GenTabs」である。開いているタブやチャット履歴から、AIが文脈を理解し、そのタスクの完了を支援する専用のインタラクティブなWebアプリを構築して、ユーザーの作業を補助する。

たとえば、来月ボストンを訪れる予定でDiscoに「旅行計画を手伝ってほしい」と依頼すると、Discoは冬季のアクティビティなど関連する情報を提示する。「スキーもしたい」など対話しながら条件を追加、興味のあるWebページを開いて情報を蓄積し、GenTabsを作成してもらう。開いているタブとチャット履歴に基づき、旅行計画がマップやカレンダーに整理されたインタラクティブなWebアプリが構築される。

Discoのインターフェースは特徴的で、サイドバーから「プロジェクト」と呼ばれる作業スペースを作成する仕組みになっている。「ブラウザの中に別のブラウザがある」ような多層的なインターフェースである。ユーザーが自分で調べた他のサイトの情報を追加すると、GenTabs側もリアルタイムで更新される。
人間とAIが共同で作業を進める点に重点が置かれている。

PerplexityなどAI検索サービスの多くは、情報ソースへのリンクを付けているものの、情報を要約・整理した回答の提示に比重が置かれている。一方でDiscoは、ユーザーが実際のWebサイトを開き、その内容をもとにタスクを進める体験を重視している点がユニークである。

コーディングの知識は不要で、チャットのみで専用のWebアプリを構築できる。デモを体験したThe Vergeの編集長はDiscoの体験を「Googling meets vibe coding(ググるとバイブコーディングの融合)」と表現している。
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