●「ミステリアスな人間でいたい」「親しき仲にも距離感」
来年2月7日より上演されるPARCO PRODUCE 2026『プレゼント・ラフター』でスター俳優役を演じる稲垣吾郎にインタビュー。役との共通点を聞くとともに、「ミステリアスな人間でいたい」との思いや、3匹の猫との生活などを語ってもらった。


本作は、数々のヒット作を生み出した20世紀英国を代表する劇作家ノエル・カワードによる傑作ラブコメディ。1942年の初演以来、繰り返し上演されてきた。稲垣が演じるのは、実力とカリスマ性を兼ね備えたスター俳優のギャリー。魅力的だけどどこか大人げないギャリーは、人気俳優ならではの孤独感と老いへの恐れを抱え、私生活でも演技をしてしまうという人物で、次々と現れる個性的な訪問者に翻弄されていく。

稲垣は、本作の魅力について「約80年前の作品なのに普遍的な面白さがあり、大スターのノエルさんが当時の自分を投影した作品というのもすごく興味深いですし、俳優の役というのが、すごく面白いなと思いました」と語る。

自身も俳優であり、ギャリーに共感する部分も多いという。

「私生活でもつい演じてしまうとか、仮面をかぶってしまうとか、自分も俳優だからわからなくはないですし、誰でもそういう面はあると思います。本当の自分を隠して自分を演じてしまったり、本当の自分はどこにいるんだろうと迷ってしまったり、その辺が興味深いし、共感できるなと思いました」

大人げなさについても「似ていると思います。当て書きされたかのよう」と役と重なると言い、ギャリーが起こされると機嫌が悪くなる点についても理解を示す。

「俳優は妙なこだわりや、生活のルーティンを崩されたくないというのがあると思うし、傍から見るとわがままで自分勝手に生きてきたなという心当たりはあります。楽屋に急に人が入ってくるとイラッとしたり(笑)。僕は起こされたくないというのはないですが、そもそも寝ているところを見られたくないので。
寝ているところや食べているところなど、生理現象みたいなものを見られるのがすごく嫌です」

ギャリーは家の中に付き人など人がたくさんいるが、稲垣はパーソナルスペースに人が入ってくることに抵抗があるそうで、「ミステリアスな人間でいたい」と語る。

「親しき仲にも距離感というか、近い人にもミステリアスな存在でいたいなと。何でもかんでも知られたくないというのはあります。自分を知ってほしい、理解してほしいという思いはなく、人と人との距離は大切だなと思います」

●時を経て再び始めた猫との暮らし「生き生きした生活環境に」
人との共同生活は苦手だという稲垣だが、現在3匹の猫と暮らしており、「猫は全然いいです。猫の方が侵食されるのを嫌がって距離を保つので」と笑う。

過去にも、20歳頃から15年間猫を飼っていた経験があり、そこから時を経て、2022年にまた飼い始め、2023年の夏に3匹になったという。

「昔飼っていたときの後悔があって、ペットを飼うのはやめようと思っていたんですけど、そこから20年近く経って、植物がすごく好きになって育てているうちに、また飼いたいなと。時間の余裕も出てきたし、前できなかった分までちゃんとかわいがることができるかなと思って飼い始めました」

そして、「猫は崇高な生き物で憧れています」と語る。

「自立しているし、人間より立派だなと思うことも多いです。自分で自分を喜ばせて自分の機嫌をとることもできるし、凛としていてたくましいですよね。マイペースだけど人に迷惑をかけることもなく、美しく生きている姿はすごくかっこいいなと思います」

また、猫との時間が「すごく力になっている」と言い、「帰ってきて動物がいると気持ちも切り替えられますし、部屋が動いている感じがして、生き生きした生活環境になっています」と話していた。

本作は2026年2月7日~28日に東京・PARCO劇場にて上演。
3月には京都、広島、福岡、仙台で上演される。

■稲垣吾郎
1973年12月8日生まれ、東京都出身。1991年CDデビュー。2017年9月に草なぎ剛、香取慎吾と「新しい地図」を立ち上げ、映画やドラマ、舞台、テレビ番組、ラジオ、CMなど幅広く活躍。近年の主な出演作は、ドラマ『燕は戻ってこない』(24)、『僕達はまだその星の校則を知らない』(25)、映画『正欲』(23)、『あんのこと』(24)、舞台『No.9─不滅の旋律─』(15・18~19・20~21・24~25)、『サンソン-ルイ16世の首を刎ねた男-』(21・23)、『ハリー・ポッターと呪いの子』(25)など。

スタイリスト:黒澤彰乃 ヘアメイク:金田順子
編集部おすすめ