俳優の高畑充希が、12月14日に34歳の誕生日を迎えた。2024年11月に俳優・岡田将生との結婚、今年7月には第1子妊娠を発表。
新たなライフステージへ歩みを進める今、これまでの軌跡を振り返ると、俳優としての存在感だけでなく、言葉の一つひとつからにじみ出る真摯さと繊細な感受性、そして温かい人柄も浮かび上がる。

数々の作品に命を吹き込み、多くの現場で信頼を集めてきた彼女。マイナビニュース・エンタメチャンネルの新たな定番記事を目指すお試し企画「日曜トライアル」第4回は、昨年から現在に至るまでの取材記事から、高畑充希の魅力に迫る。

○「輝きすぎてどうしよう」カルティエのイベントで見せた幸せの輪郭

「輝きすぎていてどうしようっていう感じなんですけど、パンテールを胸元と手首につけさせていただいて、野生の勘や軽やかさ、強さをすごく感じます」

2025年9月、東京・銀座で開催された高級ジュエリーブランド「カルティエ」のオープニングイベント。ふっくらとしたお腹を包むブラックコーデに、総額1億5,325万2,000円相当のジュエリーをまとって登場した高畑の姿は、凜とした輝きを放っていた。やわらかな笑顔と落ち着いたたたずまいが、自然体のまま“女優”であることを物語っていた。

○パートナーと紡ぐリアルな関係性

2024年には、Prime Videoのドラマ『1122 いいふうふ』で岡田将生とW主演を務めた。劇中で演じたのは、結婚7年目を迎えた夫婦役。セックスレスや婚外恋愛許可制というセンシティブなテーマを扱いながらも、互いを思いやる“今どき夫婦”の姿を、柔らかく丁寧に演じ切った。後に夫となる岡田とのツーショットインタビューでは、このようなコメントを残している。

「私は親友にしてもパートナーにしても、自分と違う観点を持っていてほしい。私自身いろんなことを思いついたらとパッといってしまうタイプなので、そうじゃない観点を持った人が周りにいると『あっ、そういう考えもあったのか』と選択肢が広がるなと、いつも思うのでパートナーにしても性格がそっくりな人よりは違う面を持っている人の方が、異性としても見続けられるし、単純に自分自身の選択の広がりも感じられるかなと思います」

本作は撮影現場の空気感も特別だった。
1フロア1部屋のマンションを舞台にした撮影では、スタッフとキャストが同じ空間で過ごし、自然と関係性が育まれていったという。

「支度部さんとかとも仲良かったよね! メイクさんや衣装さんとみんなでいつも同じ部屋でおやつを食べながら、やいのやいのやっていたので(撮影が終わってからは)結構ロスでした」

演技スタイルについて語る一節には、岡田との呼吸の違いがプラスに働いたことがうかがえる。岡田が、「高畑さんはその日のその空気を察して、さらにそこに一子の感情を乗せてお芝居をされる」「だからすごくリアルで本当にこの部屋に住んでいる人に見えるんです」「日々『すごいなぁ』と思って一緒にお芝居をさせてもらいました」と感嘆すると、高畑は「褒められて嬉しいです……(笑)」と照れくさそうにこう返す。

「私は感情だったり、その場の空気だったりに左右されるタイプなのですが、逆に岡田くんはちゃんとプランニングして、いろんなことを考えて準備して現場に持ってくる。もちろん私も準備はしていくんですけど、準備の仕方も違えば、芝居の仕方も違って、たどり着きたい到達点はお互い同じなんですが、経路が全然違っていて、それが私はすごくおもしろかったです」

“呼吸の違い”は、2人だけのシナジーを生む。

「あと、岡田くんがすごいなと思ったのはセリフの正確さ。語尾まで一言一句がいつも完璧なんです。私はその辺がものすごく苦手なんです……なので電話のシーンとかは、私のセリフがざっくりしているのがバレるからやりたくない!(笑)」

高畑にとって、岡田の“正確さ”はある意味で脅威だったようだが、「どんな作品に出ていても皆さん全然やり方が違うし、その現場によっても違うと思います。自分と違うアプローチをする方と組むほうがより広がる気がしていて、足りないものを補い合う感覚」と受けとめていた。

○演じることで得た「文化へのまなざし」

NHK大河ドラマ『光る君へ』では、藤原定子役を演じた。貴族社会の中で翻弄されながらも気高く生きた中宮。高畑はこの役に全身全霊をかけて挑んだ。


「演じ終わった今は、定子さんをずっと見つめていたような感覚が残っています」

「こういう作品を海外の方に見てもらえたらいいのにと思いました。かつて自分の中に染み込んでいた平安のなんとなくの知識と自分の感覚がハマってグッときた経験が初めてだったので、多少でも勉強しておいてよかったなと思いましたし、こういう作品に出演できたのは本当に幸せだったなと思います」

数々の歴史的名場面の中でも、彼女が印象深かったと語るのが、『枕草子』誕生のシーンだった。文字の力、文学の力を、現場で改めて実感したという。

「『定子さんはそんなひどい人じゃない』と叫ぶより、文字の力というか、文字に残すことがこんなにパワーがあるのだと実感としてそこまでなかったのですが、『枕草子』が誕生するシーンを撮影し、そのオンエアを見た時に、こういう守り方があるんだなと実感として受け取れて、少納言に対して『なんてかっこいい女性なんだ』と思いました」

○人との縁が引き出す“高畑充希らしさ”

映画『ゴールデンカムイ』では、主演の山崎賢人と再共演。関係性を築いてきた間柄だからこそ生まれる空気感が現場を和ませた。

「クランクインからの参加だったので、1番早くクランクアップさせていただいて」

「『どう? 頑張ってる?』と山崎くんにメールしたら、顔に串が刺さった写真が送られてきて、ケータイを落としそうになりました」

一見ふざけたやり取りの裏にある、互いの信頼感と安心感。クランクアップ後も自身が関わった作品を気にかける責任感、そして人柄がこうした発言からも伝わる。

○新たな日常を歩む中で

2024年11月、SNSを通じて岡田将生との結婚を発表。「親友のように過ごしてきた私達ですが、これからは夫婦となります」とつづったその言葉通り、二人は穏やかな関係を育んでいる。

芝居の場では互いのアプローチに学び合い、私生活では違う観点を尊重し合うパートナー。新たな暮らしのなかでも、2人の穏やかな空気はこれからも変わらず続いていくだろう。

34歳という節目を迎えた今も、彼女の歩みは止まることなく続いている。
表現者として、一人の人間として、これからも多くの言葉と感情を私たちに届けてくれるに違いない。

■プロフィール
1991年12月14日生まれ。大阪府出身。近年の出演作に、映画『浜の朝日の嘘つきどもと』(21)、『怪物』(23)、『ゴールデンカムイ』(24)、『国宝』(25)、『光る君へ』(NHK)、『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』(日本テレビ)、『unknown』(テレビ朝日)、舞台『宝飾時計』など。
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