日本銀行は12月19日、政策金利を0.5%程度から0.75%程度に引き上げる追加の利上げを決定した。0.5%超の政策金利は1995年以来、30年ぶりとなる。
今回の利上げを受け、住宅ローン金利、特に変動金利はどのような影響を受けるのだろうか。日銀の利上げが住宅ローンに与える影響について、住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を提供するMFSの取締役CMOで住宅ローンアナリストの塩澤崇氏に聞いた。
○日銀の利上げ、住宅ローン金利への影響はいつ出る?

塩澤氏によると、今回の利上げによって「住宅ローン金利がすぐに上がるわけではない」という。

「多くの銀行では、住宅ローンの基準金利の見直しを4月と10月に行っています。今回の利上げが反映されるのは、次の見直しタイミングになる可能性が高いです」(塩澤氏)

このため、今回の利上げを受けて住宅ローンの変動金利が引き上げられるのは、2026年4月になるとみられる。
○実際に返済額が増えるのは「7月」以降

さらに、注意したいのが「金利が上がる時期」と「家計への影響が出る時期」の違いだ。

「基準金利が4月に引き上げられたとしても、実際にその金利で返済が始まるのは3カ月後になる銀行が多いです。そのため、返済額が増えるのは7月頃になるケースが一般的です」(塩澤氏)

仮に、借入残高3,500万円、金利0.5%で借りている場合、0.75%へ上昇すると毎月の返済額は約4,000円増加することになる。

○今回の利上げは「通過点」 中期的には1.5%水準も視野

塩澤氏は今後の政策金利について、2025年度に0.75%、2026年度に1.25%、2027年度には1.5%まで上昇する可能性があると見立てている。

「これまでの物価上昇はコストプッシュ型の側面が強く、日銀も慎重でした。ただ、賃金上昇を伴うディマンドプル型に移行したと判断されれば、持続的に利上げする可能性があります。年2回程度のペースで利上げされるのではないでしょうか」(塩澤氏)

○利上げ後こそ、住宅ローンは"比較"が重要に

今回の利上げ以降も、住宅ローン金利は段階的に上昇していく可能性が高い。
「いつ、どの程度影響が出るのか」を冷静に見極めながら、住宅ローンを選ぶことが、これまで以上に重要になりそうだ。

塩澤崇 しおざわたかし 株式会社MFS 取締役CMO。2006年に東京大学大学院情報理工学系研究科修了後、モルガン・スタンレー証券株式会社にて住宅ローン証券化ビジネスに参画。モーゲージバンクの設立やマーケティング戦略立案、当局対応を担当。2009年、ボストン・コンサルティング・グループで、メガバンク・証券・生保の国内営業戦略・アジア進出ロードマップ等の経営コンサルティングに従事した後、2015年9月より現職。株式会社MFSの住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」では、属性や希望条件から最適な住宅ローンを提案する「住宅ローン診断」を無料で提供。借換ユーザーも借換メリット額が試算できる。 この著者の記事一覧はこちら
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