●完璧主義な性格ゆえの苦労吐露 芸能活動も「しんどい時期は長かった」
3児の母として子育てに奮闘しながら、俳優業のみならず、さまざまなテレビ番組などでも活躍している上戸彩。世界的大ヒットを記録しているディズニー映画『ズートピア2』では、前作に引き続き主人公・ジュディの日本版声優を務めた。
上戸にインタビューし、正義感の強いジュディと重なる部分が多いという自身の性格について、そして、これまでの人生における転機や、仕事と子育ての両立などについて話を聞いた。

本作は、動物たちが人間のように暮らす夢の都市“ズートピア”を舞台にした『ズートピア』(2016)の続編。頑張り屋なウサギ初の警察官・ジュディと皮肉屋だけど根は優しいキツネのニックは、100年ぶりに街に爬虫類のヘビが現れたことをきっかけに、ズートピア誕生の裏に隠された驚くべき秘密に迫っていく。

9年ぶりにジュディを演じた上戸は「続編があるということに一ファンとして喜びましたし、またお話をいただけてうれしかったです」と喜びを語る。

演じる際は、「声のブランクを感じさせないように」ということを意識したという。

「9年経っていますが、ストーリーは前作の1週間後から始まるので、声のブランクを感じさせてはいけないというプレッシャーがありました。前作を何回も見ましたし、アフレコの現場に着くまでも、車の中で流して耳に覚えさせたり、一緒に声を出したりしていました」

ジュディは正義感が強く行動的で頑張り屋。上戸は「こうと決めたらちゃんとやるとか、曲がったことが嫌いで真っすぐなところは似ていると思います」とジュディとの共通点を挙げる。

「完璧主義者で、自信のないものには手をつけないというか、うまくできないものに対してはスタートの一歩がなかなか出ないですね。うちの長男もそういうところが似ていて、私はすごく理解できるので、わかってあげたいなと思っています」

そして、完璧主義な性格によって「苦労ばかりでした」と吐露し、その性格ゆえに芸能活動も最初の頃は楽しめなかったという。

「人前に立つのも苦手で、歌も苦手で。もともと保育士になるのが夢で、芸能界は夢ではなかったので、仕事が舞い込むことを素直に喜べなくて、不安でしかなかったですし、お仕事がしんどい時期は長かったです」

仕事が楽しめるようになった転機は、25歳のときに出演したフジテレビ系月9ドラマ流れ星』だった。


「そのときに初めて企画書を見せてもらったんです。それまでは、やりたいかやりたくないかということではなく、次はこの作品が入っているからというやり方で何年も仕事をしてきたので、自分の気持ちで動き始めたら責任感が芽生えて。そうしたら、視聴率が気になったり、自分の芝居の反響が気になったり、感謝の気持ちもより増していきました」

●結婚・出産で和らいだ完璧主義な性格 仕事への感謝の思いも増す
プライベートでは2012年に結婚し、2015年に第1子女児、2019年に第2子男児、2023年に第3子男児を出産。母親になったことで、仕事に対する感謝の思いがさらに増したという。

「結婚するときも子供を産むときもそれまでに比べると仕事も減ってくるだろうという気持ちでしたが、そんな自分に引き続きお仕事をいただけていることにすごく感謝しています。お仕事が子育ての中の息抜きにもなっていて楽しいですし、本当に幸せです」

仕事を楽しめなかった時期は、オフの時間も暗い性格になってしまっていたそうで、仕事を辞めたいという思いもあったが、ジュディのような正義感で一つ一つの現場を乗り越えていたと振り返る。

「辞めたかったですけど、常に3年先のスケジュールまで埋まっていたので、辞められなくて。逃げることも何度も考えましたが、目の前にあるお仕事一つ一つに取り組み続けました。現場では仕事をくださった方たちをがっかりさせたくないという気持ちがありましたし、作品を作るために頑張っているスタッフの皆さんを見ていると、自分も一生懸命やらないといけないという感じでした」

明るさを取り戻したのは、夫の存在が大きかったという。

「旦那さんが仕事をしている私のことをすごく褒めてくれる人なので、旦那さんと知り合ってから、自分で自分を認められるようになり、自分はこれでいいんだと自信を持てるようになりました」

そして、結婚・出産を機に、完璧主義な性格も「和らいでいった」と明かす。

「以前は常に150%ぐらいで突き進んでいましたが、子供が生まれて子育てが一番、子供が一番という優先順位になってからは、息抜きの仕方もわかってきた気がします」

また、1人目の子育て時は「全部自分で子供を見なきゃ」という思いがあったが、徐々に家族にもサポートしてもらって1人で背負わず子育てできるように。子供たちも上戸の仕事を応援してくれているという。


「仕事でメイクして帰ると長女がすごく喜んで、『ママもっと仕事したらいいのに』と言ってきて。『ママもっと仕事していいの?』と聞いたら、『してして』と言われ、事務所に『もうちょっと仕事していいみたいです』と言ったりして。今は手伝ってくれる身内がたくさんいるので、そこの力も借りながら賑やかに子育てしています」

●『ズートピア』で子供たちが大好きな作品に関わる喜びを実感
『ズートピア』ジュディ役を上戸が演じていることも、子供たちは喜んでいるそうだ。

「娘自身も『ズートピア』が大好きですし、娘の周りにも『ズートピア』ファンが多いので、それがうれしいみたいです。完成披露を見に行ったんですけど、すごく喜んで帰ってきました。『ママ! あの終わり方さ~』って、今までできなかったような会話もできて楽しいです」

上戸が東京ディズニーランドで行われた『ズートピア2』日本公開記念スペシャルグリーティングに参加し、オープンカーに乗ってジュディとニックとパレードした姿も見ていたそうで、「子供たちが好きな作品のお仕事をしているママの姿を見せられる環境を作ってくださって、ディズニーさんに感謝しています」とうれしそうに話した。

上戸自身、ディズニーランドでのパレードは忘れられない思い出になったという。

「『彩ちゃん』って声をかけてくださる方がたくさんいて、振り向いたら『キャー!』なんて言われちゃって。アーティストさんとかはライブでそういう環境があると思いますが、私はあまりそういう機会がないので、めちゃくちゃうれしかったですし、皆さんが笑顔でこっちを見てくれて幸せでした」

今後の抱負を尋ねると、「今のままハッピーに80歳ぐらいを迎えたい」と回答。

「この幸せのまま年を重ねられたら。子育てでいろんな悩みや壁がこれからもあると思いますが、先輩ママもたくさんいるし、うちだけという悩みはないと思うので、悩みを明るく転換して、常にハッピーに過ごしていきたいです」

仕事に関しては「子育てが落ち着いた後に新しいステップが始まるのかなと思います」と述べ、「そのときに自分の席があったらいいなと。自分の居場所があればずっと演じさせていただきたいです」と話した。


最後にファンに向けて「自分も刺激のある役を演じたいと思っていますし、皆さんにも常に新しいものを届けられたらいいなと思っています」とメッセージ。「今年はファンの方や人前に立つことが多く、いろんな人からパワーをもらえる年でしたが、これからもそういう機会を大切にしつつ、お仕事を楽しんでいけたらと思います」と笑顔で締めくくった。

■上戸彩
1985年9月14日生まれ、東京都出身。1997年に「第7回全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞を受賞し、芸能活動を開始。2000年にドラマ『涙をふいて』で俳優デビュー。近年の主な出演作は、ドラマ『半沢直樹』シリーズ(13、20)、『となりのチカラ』(22)、映画『シャイロックの子供たち』(23)、『沈黙の艦隊』シリーズ(23、25)など。映画『SAKAMOTO DAYS』が2026年4月29日公開予定。

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