リブセンスが運営する不動産情報サイト「IESHIL」は12月16日、首都圏の中古マンションにおける売出価格と成約価格の乖離について調査し、現在の不動産売買の状況について解説した。

東日本不動産流通機構のデータによると、東京都では2024年10月から2025年10月にかけて平均売出価格が約34%上昇し、8,282万円に達した。
しかし、実際の平均成約価格の上昇率は15.6%にとどまっており、両者の間に大きな差が生じている。

この乖離の背景には、近年の価格高騰トレンドを受けた売主側の「もっと高く売れるのではないか」という希望的観測があるという。また、一般消費者と不動産業者との情報の非対称性も要因のひとつ。消費者は物件の売出価格は確認できるが、実際の成約価格のデータは不動産業者しか閲覧できない。そのため、売主はよく目にする高値の売出価格に影響を受け、高値設定することが多いという。

対して買主側は、住宅ローン金利への警戒や家計の支払い能力に基づいた冷静な判断を下しており、住宅ローンを提供する金融機関も、売出価格ではなく過去の成約事例や収益性を考慮した適正な担保評価を行っている。買主・金融機関の冷静で適切な判断も、成約価格を抑制する要因となっている。

首都圏の成約件数自体は12カ月連続で増加しており、物件は市場価格に近い水準で活発に取引されている。新築高騰を受けて中古を検討する消費者が増えるなか、売主による売出価格のみに惑わされず、複数の業者から相場情報を得て市場の実態を正確に把握することが重要だという。
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