●「心に余裕が生まれて、小さなことも幸せに感じられるように」
2021年4月にアイドルグループ・SKE48を卒業し、休養期間を経て2024年から個人で活動している松井珠理奈。今年9月に発売した2nd写真集『アイヲシル』(宝島社)では、地元・東海地方で撮影した自然体の姿を披露し、今の赤裸々な思いもつづっている。
松井にインタビューし、写真集に込めた思いや、休養期間を経ての変化などと聞いた。

2015年9月9日に1st写真集を発売してからちょうど10年後の今年9月9日に2nd写真集を発売。きっかけはファンから寄せられたコメントだった。

「1年前ぐらいにファンの方が『1st写真集を出してから9年経つよ』と言ってくれて、10周年で2nd写真集が出せたらすごく素敵な記念になるなと思ったのが始まりです」

10年ぶりの写真集は「今の自分の自然体の姿を見せたい」との思いで地元・東海地方で撮影した。

「地元にいるとすごく穏やかになるし、愛知出身ですが、休養期間中に岐阜の自然に癒やされたり、三重に釣りに行ったりして、楽しく充電できました。その感謝の気持ちもあり、皆さんに東海地方って素敵な場所なんだよと知ってもらいたいと思ったので、東海地方で撮影し、地元に身をゆだねて自然体で臨むことができました」

2022年4月から約1年半、体調不良で休養していた松井。その期間で「自分を愛する大切さを知ることができました」と振り返る。

「グループ時代は考える余裕も時間もない中、たくさんお仕事させていただき、お仕事を頑張りすぎて自分がおろそかになる人がいると思いますが、私もそれで体調を崩してしまって。休養期間は自分と向き合う時間をたくさん作り、心に余裕が生まれて、小さなことも幸せに感じられるようになりました。写真集のタイトル『アイヲシル』は、いろんな人からの愛を知るというのもありますが、皆さんにも自分を愛してほしいという思いも込めています」

そして、健康の大切さも改めて感じたという。

「自分が健康でハッピーじゃないと、お仕事もできないし、周りの人をハッピーにすることもできないということに気づき、自分を大事にしないといけないなと。以前は自分にも厳しく、人にも厳しいタイプで、それはいいこともあるけど、よくないことでもあるなと思いましたし、健康のためにサウナやよもぎ蒸しに行くようにもなりました」

○以前は傷ついていた批判的なコメントもプラスに捉えられるように

休養期間中はSNSもお休みして、仕事から完全に離れた生活を送った。


「SNSを1回やめて、自分のためだけにご飯を食べたり、景色をみたりして、写真は撮らずに記憶に残すみたいにしたら、すごく気持ちが楽になって、周りの目を気にしなくていいというか、そういう普通の生活がすごく幸せだなと感じました。それまでなかなかできてなかった同級生と会う時間も作って、すごく楽しい時間を過ごすことができました」

SNS再開後も、以前のようにコメントを気にしすぎることなく、いい距離感で向き合えているという。

「お休みしている間に考え方が変わり、自分が大事に思っている家族や友達が自分のことを大事に思ってくれていたら、それが一番幸せだなと。以前はSNSで批判的なことを言われたら傷つくこともありましたが、気にしないようにしようと思えるようになり、一つ成長したというか、SNSとの向き合い方が変わったなと思います」

むしろ、批判的なコメントもプラスに捉えられるように。

「ネットだと悪口みたいな投稿が広がったりしますが、松井珠理奈がまた元気に活動しているということをみんなに拡散してくれているんだなと。そう思ったら、嫌なことを書かれても、ま、いっかと。お休みしていた期間があり、復帰してお仕事をまたいただけるかなという心配があったからこそ、話題にされない方が悲しいというか、批判的なことでも話題にしてもらえる方がいいと思えるようになりました」

●活動再開を決意した思い「つらい経験も話すことで、誰かの心に…」
休養期間を経て、活動再開を決意した背景には、自分の経験が誰かの役に立つかもしれないという思いがあった。

「休養期間中、楽しいこともありましたが、つらいこともあり、これまでの活動の中でもそういうことがありました。このお仕事を通じて、明るい部分だけではなく、つらい経験も話すことで、誰かの心に届くことがあるのかもしれないと思ったら、表に出て活動する意味があるなと。例えば、私は親が離婚していることがずっとコンプレックスでしたが、そういうことも話すことで、同じように家族のことで悩んでいる人が『松井珠理奈も悩んでいるけど前を向いて活動しているんだ』と、少しでもいいので希望を持ってもらえたら。今までの経験はそのためにあったのかという風に感じています」

松井自身も、親のことで悩んだときに、同じような悩みを持つ人の言葉に救われたという。

「ネットで親に関する悩みを検索したら、同じような悩みを持っている人の書き込みがたくさんあって、それを見たときに、1人じゃないんだなと思って救われました。
仲間ができたみたいな気持ちになって。それがすごく心の拠り所になったので、私もそういう人になれたらと思っています」

○歌とダンスは「一生続けたい」 芸能以外の仕事にも意欲

2024年に独立してからまもなく2年。改めて今後の抱負を尋ねると、「健康第一」とした上で、さまざまな活動に意欲を見せた。

「自分の経験を発信していくこともそうですが、歌とダンスが本当に好きなので、一生続けたいと思っています。地元の東海地方を盛り上げたいという気持ちもありますし、苦手だったバラエティもすごく楽しめているので、いろいろ出られたら。グループ時代は真面目なことしか言えませんでしたが、今は自然体で、自分がOKだったら何でも言えるので、全部の活動が楽しいです」

歌手活動に関しては、作詞もしているという。

「歌詞は何個か書いていてストックがあるんですけど、曲を作るところまではいけてないので、作曲も挑戦したいです。松井珠理奈をプロデュースしたいという方が現れてくれてもうれしいですし、歌えるなら何でもうれしいというくらい歌うことが好きです」

芸能以外の仕事にも興味があるそうで、「休養期間中によもぎ蒸しにハマったので、よもぎ蒸しサロンを作ってみるとか、サロンで働いてみるというのもすごく興味があります。今の仕事も好きなので、転職ではなく、副業でやってみたい」と述べ、「自分のペースを守りつつ、いろんなことに挑戦していけたら」と語っていた。

■松井珠理奈
1997年3月8日、愛知県生まれ。2008年10月にSKE48の1期生として劇場デビュー。同年10月リリースのAKB48のシングル「大声ダイヤモンド」に最年少11歳228日で選抜入りし、Wセンターに抜擢。
選抜回数はSKEで26回、AKBで42回。2012~2015年はAKB48チームKを兼任。AKB48選抜総選挙は第1回(2009年)から出場し、2018年には1位を獲得。2021年4月にグループを卒業。2024年に独立し、個人での芸能活動を開始。テレビ出演やイベント出演、SNSでの発信など、様々な活動を行っている。

stylist:野田陽子(ミタケイショウ) hair&make-up:萩村千紗子
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