第39期竜王戦(主催:読売新聞社)は各組ランキング戦が進行中。12月19日(金)には3局が行われました。
このうち東京・将棋会館で行われた6組の岩村凛太朗四段―中七海女流三段戦は117手で岩村四段が勝利。相雁木のねじり合いから抜け出してデビュー戦を白星で飾っています。
○期待の新鋭登場!

岩村四段は東京都出身の19歳。詰将棋の創作・解答に定評があり、三段時代に出場した詰将棋解答選手権では藤井聡太竜王・名人に次ぐ2位に入賞した実績を持ちます。振り飛車と居飛車の両方を指しこなす岩村四段ですが、この日は居飛車を志向。中女流三段が雁木で応じたことで、ともに中住まい調に構えるじっくりとした相雁木の戦型に落ち着きました。

本局は序盤から終盤まで岩村四段の手筋が冴えわたる展開に。2筋の桂頭に手裏剣の歩を放ったのがその始まり。これを取れない中女流三段は桂を逃がすしかないですが、手順につくったと金を活用して早くも香得の戦果を挙げました。受けては8筋へのと金作りを受けるため、ふんわりと空中に歩を放ったのが軽妙手。「大駒は近づけて受けよ」の格言通りに後手の狙いを防いで指しやすさを手にしました。

○教科書通りの快勝譜

優位に立った岩村四段の指し手が伸び始めます。
3筋の拠点に香を打って飛車取りとしたのは「優勢なときはシンプルに」の原則通りの厳しい攻め。この直後、遊び駒の角を引いたのもうまく、相手に歩を取り込ませることで同筋に歩をタタく狙いがわかっていても受かりません。岩村四段の緩急自在の指し回しを前に、さすがの中女流三段も力を発揮できませんでした。

終局時刻は19時26分、最後は自玉の詰みを認めた中女流三段が投了。序盤から手筋を駆使して自らの言い分を通しつつ、優勢になってからは教科書通りの指し回しでリードを拡大した岩村四段の快勝譜となりました。デビュー戦を白星で飾った岩村四段は「対局はずっと楽しみだった、勝てたことは嬉しい」と語りました。2回戦では山川泰熙四段と対戦します。

水留啓(将棋情報局)
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