いつまでも若々しい肌でいたい──そう思ってケアしていても、加齢に伴い、出現してくる顔のシミ……。「今はまだシミなんてできてないから大丈夫」と油断していたら、あとで後悔してしまうかも? そもそもなぜ歳を重ねていくとシミが出てきてしまうのか。
そのメカニズムや、「消せるのかどうか」「消せるならどんな方法があるのか」について、ナチュラルスキンクリニック院長の皮膚科医・圓山尚先生に直撃! 予防法や照り返しの危険性などについても聞いてみました。

今回は美容や肌の悩みを抱える、35歳~60歳までの男性マイナビニュース会員400名にアンケート調査を実施。美容のための取り組みやスキンケアに関する悩みと疑問点を募集しました。
シミと癌は同じメカニズム……!? 放っておくと、イボになってしまうことも

加齢に伴い、顔のシミが増えてきました。そもそもシミは消せるのでしょうか? (47歳・会社員)

──加齢に伴って顔にシミが増えてくることに悩む男性は多いのではないかと思います。このシミって、何者なんでしょう? どうしてシミなんてものができるのか、まずは、そのメカニズムやリスクについて教えてください。

最も一般的なシミ(老人性色素斑)は実は「良性腫瘍」のカテゴリーに近いです。細胞がエラーを起こすことによって出現します。「良性」ではありますが、細胞の増殖エラーという点ではがんと共通点があります。紫外線など、毎日肌が刺激を受けることによって、細胞が分裂していく際にエラーを起こす。DNAを傷つけてしまい、メラニンの色素を溜め込む細胞が増殖してしまった結果なのです。

癌との違いは他に転移しないことですが、放っておくと茶色のイボのようなものに変化することもあります。
医学的には「脂漏性角化症」というのですが、シミから始まり、異常を起こした細胞が増殖を続けていった結果起こる症状です。癌のように健康被害も転移もないので、大丈夫といえば大丈夫なんですけれど、やはり見た目は気になってしまいますよね。ですから、やはりケアする、治療するということも大事になってきます。

──スキンケアで消えるシミもありますか?

男性の場合、スキンケアで消えるタイプはあまりないのですが、肝斑(かんぱん)は、トラネキサム酸を使っていくと、徐々に薄くなっていくケースもあります。これは、シミを作るエラーを起こした細胞が増殖した場合ではなく、そのシミを作るシグナルを出しやすい状況で起こるものだからです。そばかすもその範囲に入りますが、これらはスキンケアである程度、抑えられます。

ただし、老人性色素斑と呼ばれるシミに関しては、レーザー治療を選択するのが一般的です。市販薬でこのタイプのシミを改善するのは、難しいケースが多いです。肝斑なのか老人性色素斑なのか、医療的知識がなければ見分けることはかなり難しいです。ですから、シミが気になるなら、美白化粧品などのスキンケアを続けてお金をかけるよりも、医師に診断してもらい、レーザー治療など症状に応じた治療を検討するのがいいかと思います。

──レーザー治療にはどれぐらいのお金がかかるのでしょうか。またリスクもあるのでしょうか。


まずレーザー費用の相場としましては、例えば直径1センチぐらいのものであれば、ひとつ1万~3万円程度になることが多いです。もちろん保険適用外。リスクに関しては、色素沈着が出る可能性があります。これは多くの方に起こりやすい反応です。レーザー治療は、エラーを起こした細胞にレーザーを当てて破壊するのですが、レーザーを当てたことによる炎症が起きてしまう可能性があります。

この色素沈着は早ければ1~2カ月で消える人もいますし、大体、半年から1年かけて消えていくことが多いです。逆に色素沈着でシミが濃くなってしまうという例がないわけではありません。また、色素沈着したところにさらに日焼けをすると長引く、などのリスクもあります。ここは医師からしっかりと説明を受けておくべきです。

また、逆に「白抜け」してしまうリスクもあることも知っておいた方が良いでしょう。これは、シミが取れすぎてしまい、真っ白になってしまう状態です。この点に関しましては、各クリニックが苦労していて、弱い出力で何回かに分けたり、前処置としてしてビタミンCやトラネキサム酸を2カ月飲んで、体にシミができにくい状態にしてからレーザー治療に入るなどの工夫が行われています。
ここが各クリニックの腕の見せ所です。つまりレーザー治療も万能ではないことは、知っておくべきです。
日傘をしていても照り返しに注意! 実は屋内でも…?

シミ対策で日傘をしても、照り返しにどう対策したらいいかわかりません。どんなケアで対応したらいいのでしょうか? (53歳・会社員)

──一度シミが出来てしまうと、結構大変なことが分かりました。ではその予防が大切になりますね。昨今は日傘などを使う男性も増えていますが、そういう方々の悩みとしてよく耳にするのが「照り返し対策はどうすればいいのか」ということです。

確かに照り返しに関しては、都会のビルからの照り返し、あとは雪、海などさまざまあります。ばらつきはありますが、直接の日差しから受ける紫外線量の約30%ぐらいあると言われています。これを予防するとなると、まず目の周りであったらサングラスを利用するという方法があります。あとはやはり、日焼け止め。照り返し予防でいうと、大体これで防げると思います。

具体的には、SPFは50ぐらい。
PAは++++(4プラス)ぐらいあれば十分だとは思います。

──紫外線予防の日焼け止めは、紫外線吸収剤といういわゆる紫外線を吸収してしまうものと、紫外線散乱剤などの紫外線を反射するものがありますが、どちらがいいのでしょう。

これは、それぞれメリットとデメリットがあります。吸収剤のほうは、人によっては肌がかぶれたりアレルギーを起こすことがあり、最近はあまり使われていませんが、肌への馴染みが非常に良いというメリットもあります。一方で、主流になりつつある散乱剤の場合、紫外線を反射はしてくれるのですが、ちょっと白浮きしやすいというデメリットがあります。

特に肌が弱い方でしたら、吸収剤不使用といった表示があるものを選んだ方が安心です。白浮きするのがどうしても気になるという方は、吸収剤と散乱剤が併用されているものがありますので、それを利用するのがいいかと思っています。ただ、今の医学的な基本としては、吸収剤は肌質によっては合わない場合があるということを覚えておいてください。

──ところで、シミ予防という観点では、今現在シミが出ていないので油断してしまっている場合もあると思います。今はシミがなくても、予防は必須ですか?

予防するに越したことはありません。今は大丈夫でも、歳を重ねるごとにシミが現れる可能性は高まります。始めるなら、まさに「今から」です。
たとえ屋内にいることが多い方だとしても、屋内での照り返し、窓からの紫外線などで、皮膚は確実にダメージを受け続けています。

今からでも紫外線やその照り返しなどを防ぎ、皮膚がダメージを受けてしまわないよう、日焼け止めクリームやサングラスなどを心がけてください。

衣輪晋一 きぬわ しんいち メディア研究家。インドネシアでボランティア後に帰国。雑誌「TVガイド」「メンズナックル」など、「マイナビニュース」「ORICON NEWS」「週刊女性PRIME」など、カンテレ公式HP、メルマガ「JEN」、書籍「見てしまった人の怖い話」「さすがといわせる東京選抜グルメ2014」「アジアのいかしたTシャツ」(ネタ提供)、制作会社でのドラマ企画アドバイザーなど幅広く活動中。 この著者の記事一覧はこちら
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