今回は、PC機器と自作パーツの専門店である秋葉原のパソコンショップ アークで、2025年に人気を集めたゲーミングマウスを尋ねました。

PCゲームは、長らくFPS(一人称視点のシューティングゲーム)が人気を集めており、自分の手に馴染み、素早く操作できる環境が求められています。
ゲーミングマウスでは、本体が軽くて操作情報の遅延が少ない製品がヒットする傾向にあり、基本的には同店の売れ筋モデルもこの傾向を踏襲しているそうです。

店舗スタッフの磯田尚輝氏は「マウスは相性が大きい製品です。微妙な形状やクリック感の違いなどによって、人によってベストなポイントが変わってくるので、できるだけ実機に触れて確かめることをお勧めします。1年を通して売れている製品は、そのあたりも上手くカバーしているものが多いと感じます」といいます。

パソコン周辺機器のなかでもラインアップが豊富で、新製品の投入も激しいジャンルだけに、1年を通してロングヒットするのは至難の業です。そのなかで2025年ベスト5に挙げられたのはどんなモデルでしょうか? 下記の「ゲーミングマウス選びの3カ条」を踏まえて、順番に見ていきましょう。
<ゲーミングマウス選びの3カ条>

まず重視すべきは、やはり形状。手の大きさや乗せ方にフィットするモデルを選ぶのが鉄則。
そのうえで重量をチェック。軽快さを求めるなら50gを切るモデルを、安定感を求めるなら60g台のモデルを比較したい。
クリック感も要チェック。メカニカルは個体差も多少あるので、それを加味して厳選したい。


※本文と写真で掲載している価格は、2025年12月12日15:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。
第1位:後部に独特のフィットがある8K対応の「LAMZU INCA」

一番人気に挙げられたのは、LAMZU(ラムズ)のワイヤレスマウス「LAMZU INCA」でした。8000Hzのポーリングレート(8K)対応のドングルを同梱し、本体重量は約40g(±2g)の軽さとなります。ブラックとホワイトがあり、取材時の価格は19,140円でした。

2025年6月の発売以来、安定してトップ級の人気を維持しているとのこと。「LAMZUのマウスはブランド全体で定番化していますが、そのなかでも爆発的に売れているのがINCAです。ポイントは形状です。お尻が少し突き出したような形になっていますが、この形状は以前からブランド問わず人気がありまして。それでいて最新のトレンドを備えたマウスが意外となかったんです。そこに約40gで8K対応のINCAが登場したということで、ゲーマーの人たちの需要に突き刺さった感じです」

第2位:1万円以下で買えてそつのない「SCYROX V8」

続く2位は、LAMZUのサブブランドであるSCYROX(サイロックス)のワイヤレスマウス「SCYROX V8」です。2024年9月に登場したモデルで、本体重量は36±3gとなります。
8Kドングルを同梱し、価格は9,799円でした。カラーはブラックとホワイト、イエローが選べます。

「細部までそつがないうえ、コストを下げて割安にしているという全方向に優秀なモデルです。LAMZUのサブブランドという信頼感もあって、販売開始から順調に売れています。ユーザーからの評価も高くて、そのまま定番化した流れですね」

第3位:サイズとカラーが多数選べる肉抜きデザイン「Beast X」シリーズ

3位は、WLMOUSE(ウィルマウス)のワイヤレスマウス「Beast X」シリーズとなります。2024年1月から出回り始め、2025年にも新作が投入されるなど、多彩なラインアップを備えています。2025年に登場したのは、コンパクトな「Beast X mini Pro」と通常サイズの「Beast X Pro」の2種類。価格は22,950円~25,500円の間で、多数のカラーバリエーションを揃えています。いずれも8Kポーリングレートに対応し、重量はX mini Proが約34~36g、X Proが39~41gです。

「マグネシウム合金を採用した肉抜きマウスです。とても軽くて頑丈なのですが、そこに加えて2種類のサイズ、さらに兄弟シリーズを加えると複数のサイズが選べるところが定番化を後押ししたと思います。オンラインでプレイ中にチームメイトからお勧めのマウスを尋ねられることはよくありますが、チームメイトの手のサイズを知らなくても勧めやすいんですよね。
意外とそういうところで口コミが広がっているのもありますね」

第4位:約35gからの軽さと癖のなさで人気の「Pulsar X2 CrazyLight」

4位にランクインしたのは、Pulsar(パルサー)のワイヤレスマウス「Pulsar X2 CrazyLight」でした。本体重量約35gの基本モデルが2025年4月に登場し、カラーバリエーションを増やしつつ、秋には約37gの「X2H CrazyLight」や約39gの「X2 CrazyLight Medium」などのバリエーションも加わりました。いずれも8Kポーリングレートに対応しています。取材時の価格は16,390円~17,820円でした。

「こちらも左右対称デザインで形状に癖がなく、それでいてサイズが複数選べるということで定番化しています。カラーバリエーションは本当に多彩で、派手なラインアップもありますが、どの持ち方でもしっくりくる形状なんですよね」

第5位:品質の高さと評判でロングヒット「Razer Viper V3 Pro」

5位には、Razer(レイザー)から2024年4月に登場したワイヤレスマウス「Razer Viper V3 Pro」でした。重量は標準のホワイトモデルで約55g、ブラックモデルで約54gとなります。取材時の価格はホワイトが26,480円で、ブラックは26,400円でした。ほかにもコラボモデルが複数展開されていて、いずれも8Kポーリングレート対応となります。

「基本スペックが非常に高くて、Razerファンの人でもそこまでではない人にもよく選ばれています。FPSの世界大会でも使用率が高いので、そこから指名買いする人もいますね」

はみ出し情報…最適化の最後の一手になるアタッチメントも要注目

ゲーミングマウスに関連する注目アイテムも尋ねました。磯田氏が挙げたのは、SOSPACER(ソスペーサー)のシリコン製アタッチメント「SHAPE SHIFT」です。
マウスの側面などに両面テープで貼り付けることで、指のひっかかりを作ったり、グリップ感を増強したりできます。ホワイトとブラック、レッドがあり、取材時の価格はいずれも2,750円でした。より小型の「SoSpacer Grip V3」も選べ、こちらは1,980円でした。

「手の置き方や指の力の入れ具合も個人差があります。そこをカバーするのに持ってこいのツールといえます。自分にフィットするマウスを見つけたけれど、ちょっと滑ってしまうことがあったり、指の置き場所に迷いがあったりするときは強い味方になると思います」

著者 : 古田雄介 ふるたゆうすけ フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年~)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007~2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『スマホの中身も「遺品」です』(中公新書ラクレ)、『ここが知りたい!デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。 この著者の記事一覧はこちら
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