高度にインターネットが発達した現代では、知りたい情報をすぐに検索して調べることができる。一方で、本を読むことで得られる想像力やインスピレーションも重要だ。
"本でしか得られない情報"もあるだろう。そこで本連載では、経営者たちが愛読する書籍を紹介するとともに、その選書の背景やビジネスへの影響を探る。

第12回に登場いただくのは、ネットワークやセキュリティなど中堅・中小企業のIT基盤構築を支援するNTTPCコミュニケーションズ(以下、NTTPC)の代表取締役社長 工藤潤一氏。同氏はリチャード・ドーキンス氏の科学書『利己的な遺伝子(原題:The Selfish Gene)』(紀伊國屋書店)を選んだ。

同書では生物の個体を「遺伝子のヴィークル(乗り物)」であると表現しており、親から子へ、子から孫へ、連綿と続く遺伝子を中心に生物の進化を説明している。個体の行動は遺伝子の影響を受けるが、この行動は遺伝子のコピーが遺伝子プール内で増える方向に"利己的な"圧がかかる。

なお、同書内では、遺伝子の利己的なふるまいは他の遺伝子に対する相対的な関係性について述べられており、必ずしも各個体の生存や生殖に有利な行動に直結しているとは限らない。すなわち、個体の行動として見れば利他的であっても、その生物種の遺伝子としては次世代にコピーを受け継ぐようなふるまいが見られる場合もある。

生物はなぜ恋をし、繁殖をし、ときには子育てや他個体の保護をしながら生きていくのか。遺伝子はどのように個体を操り、生物の進化を導いてきたのか。個体ではなく遺伝子の生存戦略に着目することで、その理由を理解できるのかもしれない。

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