2025年、Apple Watchは発売から10周年という大きな節目を迎えました。発売当初は、ペアリングしているiPhoneが受信したメールやメッセージの確認、アプリの通知などが手もとで見られる便利なウェアラブルデバイスとして注目されましたが、watchOSの進化やセンサー技術の高度化を背景に、健康を見守るヘルスケアデバイスとしての機能が評価され、アップルの人気商品となっています。
現在、アップルが展開するApple Watchには「Series 11」「Ultra 3」、そして「SE 3」という個性豊かな3つのモデルが揃っています。このレポートでは、最新モデルのヘルスケア機能を比較しながら「いま選ぶべきApple Watch」について解説します。
15分の充電で8時間使える! 3万円台のApple Watch SE 3
最初に「Apple Watch SE 3」を紹介します。現行ラインナップの中で入門機として位置付けられるモデルです。
40mmケースのGPSモデルが37,800円からという、Apple Watchの中で一番親しみやすい価格設定でありながら、アップルがおもにウェアラブルデバイス向けに設計したSiP(チップセット)の最新版である「Apple S10チップ」を搭載しています。その操作感は上位モデルに肩を並べるほどスムーズで、ストレスを感じさせません。
ケースは40mmと44mmの2サイズ展開。カラーバリエーションはスターライトとミッドナイトの2色。主要な本体素材がアルミニウムなので軽く、手首に馴染みやすい装着感も魅力です。
Apple Watch SEシリーズとしては、このSE 3から初めて常時表示Retinaディスプレイを搭載しました。手首を持ち上げなくても時刻が確認できるので、腕時計としての実用性も大きく向上しています。
Apple Watch SE 3は、とても軽いことが最大の特徴です。
「スマートウォッチは毎日の充電が面倒」という声は筆者もよく耳にします。最新モデルのSE 3も、確かに毎日の充電が前提となるスマートウォッチです。ただし、前世代のSE 2にはなかった高速充電に対応したことで、使い勝手は大きく改善しています。約15分の充電で、最大8時間の通常使用に相当するバッテリーを回復できるため、就寝前や外出前に短時間充電する習慣を身につければ、外出先でバッテリー切れに悩まされる場面は減らせるでしょう。
一方、バッテリーの持続時間そのものに目を向けると、SE 3はフル充電からの通常使用で最大18時間にとどまります。これに対し、Apple Watch Series 11は最大24時間、Apple Watch Ultra 3は最大42時間と、上位モデルほど余裕があります。日中にウォッチを外して充電する時間を確保しにくい仕事に就いている人や、充電の手間からできるだけ解放されたい人にとっては、SE 3以外のモデルも検討する余地があるといえるでしょう。
充実の入門機だが、SE 3のみ非対応な機能もある
SE 3は、Apple Watchによる健康管理の基本機能を幅広く網羅しています。例えば心拍数測定、睡眠トラッキング、そして歩数計算のような健康増進のためのアクティビティについても、土台となる機能は標準で備わっています。最新のwatchOS 26から睡眠アプリに追加された「睡眠スコア」の機能から、毎日の眠りの質を可視化することも可能です。
Apple Watch SEシリーズの中で、最新モデルのSE 3から初めて「睡眠時無呼吸の通知」機能が使えるようになりました。
SE 2から進化したポイントとして、SE 3には手首皮膚温センサーも搭載されました。2024年にアップルがリリースしたwatchOS 11に始まった「バイタル」アプリによる日常の健康チェックや、女性ユーザーの健康管理に関する機能にも手首皮膚温センサーが活躍します。
ヘルスケアに関連するベーシックな機能を網羅しつつ、価格もユーザーフレンドリーなApple Watch SE 3の充実度は特筆できます。一方で、心電図(ECG)や血中酸素濃度(SpO₂)の目安を計測できる血中酸素ウェルネスアプリには対応していません。そして、12月4日から日本国内でも使えるようになった高血圧パターンの通知機能が、2025年モデルのApple Watchシリーズの中では、SE 3だけが非対応であることにも要注意です。価格以外の要素についてもよく吟味して、自分が必要とするヘルスケア機能を備えたApple Watchを選びましょう。
本当にコスパが高い! Apple Watch Series 11
次に、オリジナルシリーズの最新モデルである「Apple Watch Series 11」です。GPSモデルの価格は64,800円から。ケースの素材はアルミニウムとチタニウムから選べ、それぞれに複数のカラバリから選べる楽しさがあります。
ビジネスとカジュアルの両方の装いにも合わせやすい落ち着いたデザインもApple Watchの魅力ですが、ナンバリングシリーズは画面が大きいので表示も見やすく、実用性にも富んでいます。
SE 3との違いは、先に触れたバッテリー持ちの良さもありますが、加えて画面が明るく、明るい屋外でも表示が見やすいことも挙げられます。マリンスポーツを楽しむ人は、Series 11は水深6メートルまで計測できる水深計を搭載していて、スイミングとシュノーケリングまでサポートしていることも押さえておくべきポイントです。SE 3はスイミングまで、Ultra 3はスキューバダイビングも楽しめます。
今回の比較のテーマであるヘルスケア機能を見ていきましょう。Series 11とSE 3の大きな違いの1つは「心電図(ECG)アプリ」の有無です。
Apple Watchによる心電図アプリは北米から提供が開始され、2021年1月下旬から日本国内でも使えるようになりました。アップルのソフトウェア技術によって実現するアプリと機能が、日本の厚生労働省の所管機関である独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)から管理医療機器として承認を受けています。
心電図アプリを起動して、Digital Crownに軽く指を添えながら30秒間の計測を行います。Apple Watchを身に着けているユーザーが任意のタイミングで、常時計測が行えます。記録はApple WatchとiOSのヘルスケアアプリに残せます。
このほかにも、Series 11とUltra 3には、身体に取り込まれた酸素の濃度をチェックする「血中酸素ウェルネス」のアプリが搭載されています。
ウォッチを身に着けるだけで高血圧の兆候が調べられる
そして今年の12月4日から、日本でもApple Watchの「高血圧パターンの通知機能」が使えるようになりました。現行モデルではwatchOS 26.1をインストールしたSeries 11とUltra 3が対応します。
Apple Watchを30日間身に着けて過ごすと、期間中に重大な健康リスクをもたらす高血圧の症状につながるパターンが検知されると通知が届きます。この機能を実現するアップルのソフトウェアもまた、PMDAから管理医療機器として承認を受けています。Apple Watchで血圧を測るための機能ではありませんが、自覚症状がなく、リスクの兆候が見つけにくかった高血圧パターンを、日常生活の中でシンプルに「Apple Watchを身に着けるだけ」で調べられる意義は大きいと言えます。
20代など若い人であっても、生活習慣や体質的に高血圧のリスクを抱えている人は少なくないといいます。高血圧は早くその症状を見つけて、血圧をコントロールする習慣を身につけることで重大な病気につながるリスクを減らすことができるといいます。Apple Watchを買えば無料で手軽に血圧パターンのチェックができるのだと考えれば、本当にコスパの高いApple WatchはSE 3ではなく、Series 11なのかもしれません。筆者の高齢になる家族がiPhoneユーザーなので、そろそろApple Watchもプレゼントしようかと思案しています。
タフネスを極めるApple Watch Ultra 3! 装着感は要確認
最後に紹介する「Apple Watch Ultra 3」は、2022年の9月にApple Watchシリーズの仲間に加わりました。価格は最も高価な129,800円からですが、その位置付けはフラグシップモデルと表現するよりも、アウトドアで楽しむスポーツやアクティビティの際にも“究極の耐久性能”を発揮するApple Watchのタフネスモデルと呼ぶべきかもしれません。
Apple Watchシリーズで最も長持ちするバッテリー性能、視認性能の高い大画面、そして12月9日からUltra 3のユーザーが日本国内でも使えるようになった衛星経由のメッセージがなど、アウトドアでアクティビティを楽しむ際、「Apple Watchにあると心強い機能」が充実しています。耐水性能が高く、49mmチタニウムケースの堅牢性も優れています。カラバリは、チタニウム金属の質感が楽しめるナチュラルとブラックの2色があります。
ヘルスケア系も、Series 11と同じく最先端の機能が揃っています。とにかくバッテリーの持ちがよいスマートウォッチなので、「これからバイタルデータを計測したい時にバッテリーが切れそう…」というストレスからは最も縁遠いApple Watchです。
ただ、Ultraシリーズに関しては「本体が大きい」ので、身に着けたまま落ち着いて眠れないという声を筆者はよく耳にします。筆者は、Ultraを着けて寝ることにもだいぶ慣れましたが、正直に言えばSeries 11の方がずっと楽だと思います。
使い勝手とデザインは好みの問題だと思いますが、高血圧パターンや睡眠時無呼吸の通知など、Apple Watchを長い時間身に着けて過ごしながら計測するバイタルデータが必要なヘルスケア機能もあります。スマホやパソコンなどのデバイスと同様に、Apple Watchを選ぶ時には「自分が一番使いたい機能を使う時のこと」をイメージするとよいでしょう。
型落ちではなく最新のApple Watchを買う方がベターな理由
最後に、これからApple Watchの購入を検討される人は、2025年秋にアップルが発売した最新モデルを第1候補にするべき理由を説明したいと思います。
Apple Watchは、中古市場にも多く流通している人気のスマートウォッチです。いわゆる「型落ち」であっても、状態の良い製品に出会える機会は少なくありません。
ただ、Apple Watchのヘルスケア機能の中にはハードウェアが比較的新しいApple Watchでなければ使えなかったり、SEシリーズだけが対応しない場合があります。例を挙げるならば、高血圧パターンの通知機能はApple Watch Series 9以降とUltra 2以降のモデルだけが使えます。つまり、Series 8はwatchOS 26.1以降にアップデートしても、高血圧パターンの通知機能が使えないので注意が必要です。
Apple Watchのバッテリーは消耗品です。アップルは有償のバッテリー交換サービスも提供していますが、中古品を手ごろな価格で購入できたとしても、直後にバッテリー交換が必要になると割高に感じてしまうものです。
そして、ウォッチ単体によるデータ通信に対応する「GPS+Cellularモデル」のApple Watchを必要とする人には、モバイル通信時に消費する電力を低く抑えて効率よく駆動できる新しい5Gモデムを搭載する2025年モデルがおすすめです。
これからApple Watchを新たに購入して、さまざまなヘルスケア機能を使ってみたい人に、筆者はバランスのよいApple Watch Series 11をイチオシのモデルとして推薦します。コスパ的な観点も大切ですが、特にApple Watchに対してヘルスケアデバイスとしての用途を期待する人は、自分が必要とする機能を最も心地よく使えそうなモデルを見つけてほしいと思います。
著者 : 山本敦 やまもとあつし ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。 この著者の記事一覧はこちら











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